おとぎのお家と青い鳥

本ブログでは、主に人間が本来持つべき愛や優しさ、温もり、友情、勇気などをエンターテイメントの世界を通じて訴えていきます。

青春うたものがたりシリーズ「風のある町」最終回 / A town with the wind

2011-08-10 22:14:21 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

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企画 / 下家 猪誠
作 / 猪 寿

最終回
/ 新たなる旅立ち
~もしも、君が生きていてくれたら、二人にとってどんな人生があったのだろう・・・~

風のある町を君は去って行った きっともう帰れないと知っていたから
(片道切符一枚で・・・Woo Wooo)
知らず知らずにいつか 二人の間を急ぐように時間が駆け抜け
知人(ひと)を通じて聞いていた 君の噂も聞かなくなったいつからか
あのまま君が生きていてくれたなら 二人にとってどんな人生があったのだろう
歳をとったせいだろうか こんなにも涙もろくなったのは
もう帰れないからだろうか 君と過ごした思い出の場所へ
どこまでも青く澄み切った 星空を見ていたら
子供のように夢を見る とても惨めな大人の姿の僕がいた

歳をとったせいだろうか 意味もない自分探しをするのは
もう帰れないからだろうか あのときめきの青春(じだい)の瞬間(なか)に
心地よい陽だまりの中の 眠りから目覚めたら
輝きもときめきもない 時の流れに置きざりにされた僕がいた

◎前回のあらすじ

百合子が話していた、愛が最後に大輝宛に書いた手紙が送られて来たのは、ちょうど彼女が亡くなってから一週間目のことだった。
ただ、おそらく相当に弱り切った躰で無理をして書いたのだろう、書かれている手紙の文字がところどころ力が入らずに上手く書けずに、何度となく一度書いた文字の上からなぞられて書かれていた。
封筒を開けると、その中には手紙と一緒に愛が結婚式の時にしていた指輪が入っていた。
それを見たとたん、大輝の目頭は愛との結婚式に日のことが思い出されて、自然に泣きたいわけでもないのに涙でいっぱいになり、いつの間にか涙が勝手に溢れ出して来て止まらなくなっていた。

―私が世界中で一番愛している大輝へ―

ごめんね。本当は大輝と一緒にお互いが年を取るまで生きて、“風のある町”で暮らしたかったのに、私だけが勝手に先に死んだりして・・・・・
でも、大輝と出会い二人で暮らしたのはわずか三ヶ月足らずだったけど、私にとっては三十年や四十年以上分の価値があったのは、嘘じゃなくて本当のことだからね。
大輝がこの手紙を読んでいる頃には、私はもうこの世にはいないと思うけど、せめて最後くらい本当のことを言っておかなくちゃあね。
実はね、私が「大空を飛んでみたい・・・」というのは、あくまでもパパやママや堂本先生を説得するための口実で、実際には仮でもいいから私の生きている証の思い出として、私が世界中で一番大好きで一番愛している、大輝と結婚式を挙げたかったの。
おそらく、うすうす大輝はそのことに気付いていたと思うけど、それなのに何も言わずに私の我儘に付き合ってくれて、本当に心から感謝しているからね。
もしかしたら、私が死んだらパパがあんな人だから、もう私たちがどんな形にせよ会えることは一生ないかも知れないけど、私の二十二年の人生の中で、私にとって大輝に会えたことは一番幸せなことだったし、神様に感謝しているからね。
ごめんね。本当はもっともっといっぱい大輝に対する私の思いを書き残して置きたいのだけど、もうちょっと躰がきつくなって来て無理みたいだから、ここら辺でやめとくね。
あっそうそう、私の最後の伝言として聞いて欲しいのだけど、大輝と結婚式を挙げた時につけた私の指輪を手紙に一緒に入れておくけど、これは二人の思い出を大事にして貰いたくて入れたのじゃあなく、大輝が学費や生活費などに困った時に、いつでもこれを処分して役立てて欲しくて入れたのだから、何か困った時があったら遠慮なんかしないでそうしてね。
そしてまた、これが私の大輝にしてあげられる最後のプレゼントだしね。
それとえーっとなんだったけね・・・もひとつ何か言っておかなくちゃいけないことがあったんだけど・・・
あっ、そうっか!私みたいに大病を経験しないと、本当の健康のありがたさってついつい忘れがちだけど、ほら大輝ってタバコ吸っているじゃない。
だから、無理にとは言わないけど、大輝が我慢できるんだったらタバコは止めちゃって、絶対に健康にだけには気をつけて、ずっとずっと私の分まで長生きしてね。
私が世界中で一番愛している大輝へ・・・
あなたの内縁の妻愛より(^^♥

大輝はこの手紙を読み終えた時には、もう彼の両手では拭い切れないほどの大粒の涙がボロボロと溢れ出して、その涙が彼の頬を伝って愛が書いた手紙の上に零れ落ち、そのせいでインクの文字が滲んでしまい、ほとんど愛が書いた手紙の文字が読めないほどになっていた。

愛が亡くなって、半年ほどは愛のことや彼女の家の噂を聞いていたが、一年ほどが経つとほとんど両方の噂を聞かなくなった。
それは、おそらく最初の二、三ヶ月間は百合子も大輝のことを心配して電話をくれていたが、やはり愛のことで彼を束縛しすぎることにでもなったらと、彼女なりに気遣ってのことだろう。
やがて、しだいに電話を掛けて来る回数も少なくなり、愛が亡くなって半年ほど経った頃から、ほとんど百合子からの連絡も来なくなった。
大輝自身も正直なところ、一年ほどは常に愛との思い出がつきまとい、いつも頭の中は彼女のことでいっぱいだったが、ちょうど大学四年生になった年に同じ国際社会学のゼミを取っていた沢尻陽子と親しくなり、かなり気があったせいもあり付き合うようになった。
それを機に、陽子が大輝のアパートに遊びに来るようになると、今まで机の上に飾ってあった愛との結婚式の日に写した二人の写真を、指輪と一緒に段ボール箱に入れて押入れの中にしまった。
だからと言って、決して愛のことを忘れたり嫌いになったりしたわけではなく、二人の思い出を自分の中から掻き消そうとしていたわけではなかった。
それは、愛自身に「私との思い出をいつまでもくよくよ引きずって、人生を見失うことだけはしちゃあ駄目よ・・・」と、釘を刺されていたこともあったからである。
きっと、大輝に対するその思いが愛の母親である百合子の中にもあり、彼からしだいに遠ざかって行ってしまったに違いなかった。

大輝は大学を卒業すると、両親に田舎に帰って地元の企業に就職するように強引に説得されたが、やはり愛との思い出がある“風のある町”を離れたくなくて、風のある町に残ってそこにある写真のフィルム工場に就職した。
陽子も、大輝が風のある町に残って就職することを選んだために、彼女も風のある町にあるスーパーに就職した。
その縁もあって、二人はお互いに就職してから三年目に結婚し、その後女の子ひとりと男の子ひとりの二人の子供(健太と凛)をもうけた。
ただ、愛の母親である百合子にだけは陽子と結婚する時に、電話でそのことを伝え結婚式の招待状を送ったが、「愛のことを思い出させるといけないから・・・」と、丁重に結婚式に出席するのを断る手紙と一緒に、祝儀袋が送られて来た。
その後の人生の中で、大輝自身も勤務している会社をリストラされたり、皮肉にも妻の陽子が愛と同じような病気の乳がんになり、右の乳房を切除すると同時に癌細胞が脇の下のリンパ筋に転移していたために、脇の下のリンパ筋をすべて切除しなければならなくなり、利き腕である右手が使えなくなどの色々な苦難に遭遇したが、その度に父母や兄弟たちに支えて貰ったり、友人たちに力を借りたりしながら、どうにかそんな人生の数ある難題を乗り越えて来た。


それから二十五年が経ち、長女の凛が同級生の赤西翼と結婚し子供が出来たとき、名前付け親になって欲しいと頼まれたので、その子に迷わず“愛”と命名した。
どうして、その子に“愛”という名前を付けたのかの理由については、妻の陽子はもちろんのことだが、娘の凛や家族の者は誰一人として知らなかった。
その孫の愛が、今では三歳になり他の子供たちと一緒に、大輝の座っている公園のベンチの目の前の砂場で、砂山やトンネルを作ったりして楽しそうに遊んでいる。
それから、最近年を取り老い先が短くなったせいだろうか。
急によく愛の夢を見るようになった。
その度に、愛に「今度生まれ変わったら一緒になれるだろうか?」と尋ねると、「あなたには、今は何よりも大切にしなければいけない、大事な家族があるでしょう・・・」と、よく叱られる。



         松山志信

◎紹介コメント

突然、僕のFacebookやアメブロに、もとアラフォーアイドルの松山志信さんが何故にやって来たのか?その真意(もしかしたら、志信さんが集めていると自ら言っている人脈とお金のためかも知れませんが・・・・・ / 笑う)は分かりませんが、志信さんの存在そのものがさわやかな春風のような存在や、心地よい初夏の太陽の日差しのような存在であることだけは間違いありません。それは、彼女自身が持って生まれた天性的なものか、自らの人生を歩いて来て身に付けたものなのか?彼女に聞いてみないとその答えを知ることは出来ませんが、彼女がそこにいるだけでその場が笑顔や幸福感でいっぱいになりそうな気がするからです。

◎プロフィール
勤務先: 三菱東京UFJ信託銀行
出身校: 長崎市立長崎商業高等学校
血液型: A型
出身地:長崎市
誕生日: 2月13日
ウェブサイト
http://profile.ameba.jp/star-moon-angel/
http://facebook.com/shinobu11



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あなたの愛で
福島の地を「ひまわり」の花でいっぱいにさせてください

 あの世界一美しいと言われている四季と、もう一度日本中に笑顔の花を咲かせるために・・・・・

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下家 猪誠








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