「ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 上下 」
ダヴィド・ラーゲルクランツ 早川書房 2015.12.20
再読だが、新鮮。
急死したラーソンはもともと「ミレニアム」を十部作にするつもりで、すでに第五部までのストーリーを考えていたらしい。
三部作の版元が遺稿とは関係なく、第四部刊行を決め、ラーゲルクランツに白羽の矢が立った。
舞台は三部作から数年後ーー。
雑誌『ミレニアム』は大きなネタもなく赤字続きで、資本参加してきた大手町企業にいまにも乗っ取られそうな状況に陥った。
「ミカエル・ブルムクヴィストの時代は終わった」とメディアに叩かれる始末だ。
そんなとき、ミカエルは「大スクープとなる情報を握っているはずだから、人工知能研究の世界的権威であるフランス・バルデルに会ってほしい」と話をもちかけられる。男の話からすると、そのスクープにはここ何年も音信不通になっているリスベットが絡んでるらしい。
一方、アメリカのNSA(国家安全保障局)では、ある犯罪組織が産業スパイ活動に従事しており、それを知って情報を持ち出したバルデル教授の身に危険が迫っているという事実が判明した。
教授はつい最近、別れた妻のもとから自閉症の息子・アウグストを引き取ったばかりだった。
折しも、絶対安全なはずのNSAのセキュリティ・システムを突破して、何者かがネットワークに侵入する。
その後、数年ぶりにパソコン上で連絡を取り合うことになったミカエルとリスベットは、命を狙われるアウグストの身を守るために襲撃者と闘う……。
他人とのコミュニケーションが難しい一方、映像記憶と数学の天才的な能力を持つアウグスト。
そんな彼が、自分とどこか似ているリスベットにだけ心を許していく。
国家の中枢機関と巨大利権が絡むが、
更にその背後にいたのは……リスベットの双子の妹・カミラ。
第5部の記憶はけっこう新しいけど、
もう一度、ていねいに読もうかな。