「天国でまた会おう」 ピエール・ルメートル 早川書房 2015.10.10
続編らしい「炎の色」を読む前に再読。
ゴンクール賞。
膨大な犠牲者を出して、第一次世界大戦は終わった。
真面目な青年アルベールは、戦争で職も恋人も失ってしまう。
画才に恵まれたエドゥアールは顔に大怪我を負い、家族とのつながりを断つ。
戦死者は称揚するのに、生き延びた兵士たちには冷淡な世間。
支え合いながら生きる青年たちは、やがて国家を揺るがす前代未聞の詐欺を企てる。
恐怖、禍々しさ、卑しさ、悲哀、打算、青年たちの苦悩ーー
随所に滑稽さがある。
サラッと読める本ではないので、手に取るまで逡巡したが、
読み始めたら、ほぼ一気。
「炎の色」 ピエール・ルメートル 早川書房 2018.11.20
「天国でまた会おう」は三部作で、これは第二弾とのこと。
1927年、一大帝国を築き上げた実業家が死んだ。
その長女マドレーヌ・ペリクールは、
幼い一人息子ポールとともに、父の莫大な遺産を受け継いだ。
「天国でまた会おう」で
アルベールとエドゥアールの人生を狂わせたアンリ・ドルネー=プラデルは、
マドレーヌの夫であり、ポールの父親でもあるが、
既に失脚している彼は、最後にチラッと仄めかされるのみ。
さて、父の葬儀の日、事故に遭ったポールの看護に努めるマドレーヌは、
自らを取り囲む悪意に気づかなかったーー。
やがて裏切られて地位も資産も失った彼女は、復習を決意する。
ストーリーの流れに乗るまで時間がかかった (^^;
中ほどからは、やはり一気読み。
是非とも読みたいダン・ブラウンやジェフリー・ディーヴァーほどではないけれど、
第三部も楽しみだ。
因みに「天国でまた会おう」は映画化されて、この春に公開されるらしい。