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“日本アクション映画、最後の闘女”屋敷紘子インタビュー③ 君よ、いま憤怒の河を渉れ!編

2018-02-15 12:16:37 | その他

ーさあ、ここからは屋敷さんがこれまで出演された映画について、それも敢えてアクション映画を中心にお聞きしていきます。
まずは「るろうに剣心 京都大火編/伝説の最後編」(14)の本条鎌足役ですが、この映画はアクション監督が谷垣健治監督ですね。
屋敷さんは映画の後半からラストの船上の乱戦シーン辺りまで登場します。

屋敷 実は「るろうに剣心~」は私はオーディションすら受けていないんです。鎌足役のオーディションはしたんですけど、誰も鎌足役にハマらなかったらしいんですね。
そもそも鎌足は実は男性の設定なんですよ。原作の漫画では人気キャラのベスト5に入るくらいの人気キャラで、大鎌を使う女装の男性なんです。
私はあんな大作映画に役で入った事がなかったんですけど、でも気負わなかったですね。
アクション監督が谷垣さんと大内さんのツートップだったんで、勿論メチャクチャ厳しい事を言われるんですけど。
でも私の彼らに対する信頼は「カムイ外伝」でご一緒させて頂いてから揺るがないものなので。

ーそうでした。屋敷さんは健治監督とは「カムイ外伝」で既に一緒だったんですね。

屋敷 はい、私が小雪さんのスタントで丸々半年間一緒にお仕事をさせて頂いたので、「るろうに剣心~」での私は出来る限りの事と出来る以上の事をするだけだと思っていたんですけど、もう佐藤健君がアクション上手すぎでしたね。

ー船上の乱戦シーンでは、まず屋敷さんが佐藤さんに一太刀斬りかかってから乱戦が始まります。

屋敷 あの一太刀だけで私どれだけ怒られたか分からないです(苦笑)。「本当に殺しにいけー!(怒)」って。

ー殺しにいけー!(笑)。

屋敷 「遠慮してんじゃねー!(怒)」みたいな。本条鎌足は人気キャラでしたけど、そこは余り気負わずに、映画なのでエンタメですから。
原作は知ってはいましたけど、逆に敢えて読みませんでした。
衣装も澤田石和寛さんという凄く有名なスタイリストの方がやって下さって、原作とは違いますけど、あれ全部革なんです。
着物を前後ろ着るっていう斬新な衣装でSMグッズみたいなのも着いてるんですけど、このビジュアルに似合う動きにしようと思ってやってましたね。
あの雨の船上のアクションは1日か2日で撮ったんですけど、実はそれぞれの役に立ち廻りのシーンがリハーサルも含めてあったんです。でも日程の関係で全員撮れなくなっちゃって、私の立ち廻りも無かったんですけど、それでも谷垣さんへの感謝の気持ちしかなかったですね。

ー屋敷さんは下村勇二監督とも仕事をしてらっしゃいます。健治監督と下村監督ではそれぞれアクションの撮り方も違うと思うんですが。

屋敷 違いますね。基本的には2人とも撮っていく順序とかは同じなんですけど、アプローチの仕方が違って、下村さんは役者に色々と投げかけてくれるんですよ。
「ヤッシーはここはどうしたい?ヤッシー、どうやったら心地がいい?」とか役者の意見を凄く聞きながらやっていくんです。で、私が「こういうのどうですか?」って言うと、下村さんが「あ、それいいね!じゃあもっとこんなのどう?」って作り方をするんですね。
あとこれは有名な話ですけど、下村さんは「NG、もう1回」じゃなくて「キープ」がメチャクチャ多いんです。「あ、今のキープ。それでいいんだけどもう1回」って「キープ」が10個とかになるんです。で、下村さんの中で「60点、62点、65点」と上がるのを待つみたいな。
やっぱり私たちも監督の「キープ」が来たら「もうすぐOKかな?」と思うから頑張れるんですけど、その「キープ」がマジで終わらないっていう(笑)。本当は会心で100点、120点で「OK!」出したいんですけど、下村さんはジッと待ってくれるところがあるんでひたすら「キープ」を出すんですね。
それで私が余りにもパニックになって「30点」ぐらいになっちゃったら、下村さんは「いいよ、ヤッシー、1回休憩しよう」って言ってくれたり「カット割ろうか?」とかジックリ待ってくれるタイプです。
で、谷垣さんは私が「カムイ外伝」で組んだ時は、シッカリと信頼したアクション・コーディネーターに「お前やってみろ」と任せるタイプだったので、意外と私は谷垣さんとは現場では一緒にいなかったです。
ただ谷垣さんはアクションにおいては技術的な事よりも役者の勢いとか激しさとか、もっとぶつかって込み上げて来るものでいけ!みたいなタイプだったので、綺麗な事をしようとか、綺麗にまとめようとかすると逆に怒られましたね。
「汚くてもいいから、もう思い切りいけ!」みたいな感じなので。でもそれは下村さんも一緒だと思いますけど。もっとパッションなところからいけ、みたいな感じの方でした。
あと谷垣さんも下村さんもですけど、現場では誰よりも見てるし誰よりも動くし、よくあるキャストと距離が遠いアクション監督ではないですね。多分、役者がその映画の監督よりも身近に感じて物が話せるアクション監督だし、役者を否定しないし、どんな動きが苦手なのかを聞いて、そこから何か一段上に昇華してくれるって感じだったので、2人とも役者からの信頼度は凄まじいです。

ーそのお話は健治監督、下村監督双方とお仕事をした屋敷さんじゃないと話せないお話ですね。

屋敷 今のお2人の活躍振りを見ると、私は凄い人たちと一緒に仕事をしたんだなと思いますし、本当にありがたいです。
ただ私は下村さんに会っていなかったら谷垣さんにも会っていないんです。私を「カムイ外伝」で谷垣さんに推薦してくれたのは下村さんなんです。
ある日、突然谷垣さんから電話がかかって来て「小雪さんの吹き替えを探してるんだけど」って言われて、私が「でも私、そこまで技術ないので心配です」って言ったら、谷垣さんが「いやヤッシーにそれは求めてなくて、ヤッシーは小雪さんとアクション部との架け橋であって欲しいんだ。これは信頼がないと出来ないアクションだから、その信頼を繋ぐ役割をヤッシーがしてくれたらそれで十分なんだ」って言ってくれたんです。

ーうう~ん、いい話ですね。では「虎影」(15)は如何ですか。屋敷さんは三田真央さんとクノイチコンビで齋藤工さんと闘います。

屋敷 当時、真央ちゃんとは同じ事務所だったんです。真央ちゃんも「マッスル・ミュージカル」とか出演していたしアクションが凄く出来るので、私よりも身体能力とか全然高いんです。
で、忍者映画を撮るという事でキャスティングされたんですけど、ありがたい事に西村喜廣監督が私の顔が好きだからって仰っていたんですけど(笑)。
西村監督は血が出るようなアクション物が好きなので、それもあって私をよく使って下さるようになった作品の1本です。

ーこの「虎影」では屋敷さんと三田さんが合体しての“人間手裏剣”として齋藤さん演じる虎影と闘います。こう何と言うか異様なパワーを感じるアクションシーンでした(笑)。

屋敷 アハハ!・・・観た時は爆笑しましたけど(笑)。西村監督の現場の特徴としては1日に200カット以上撮るんですよ。
とにかく過去の監督さんでも最高に回す人で、西村さんはこれまでに280カット撮った事もあるくらいですから。平均200カットオーバーです。とにかく現場の進む速度が凄まじいんです。
しかも「虎影」はアクション監督が坂口拓さんで、アクション・コーディネーターで坂口茉琴ちゃんも入ってて、もう西村組の布陣で臨んでいたので、あの“人間手裏剣”のシーンも昼前くらいから日のある内の2時間ぐらいで撮り切っているんです。
西村さんの映画のアクションシーンは、現場にインする前にリハーサルの時間を結構設けて、そこでなるべく詰めるようにして、現場ではあとはやるだけって感じです。
あとアクション監督の坂口さんはまた下村さんとは違って、もう現場を盛り上げるのが一番上手い人なんですよ。
「あー屋敷、いいよ!いいよー!そのままいっちゃってー!」みたいな。もう私たちからすると「もう拓さん、ちゃんと観てます?ノリじゃない?」みたいにノリがいいんです。

ー次にお訊きする「リアル鬼ごっこ」(15)なんですが、今回私がこのインタビューに備えて改めて拝見した屋敷さんの出演作品の中で、この女教師映子の屋敷さんが一番カッコ良かったです。

屋敷 ありがとうございます。あの映子先生が突然ブチ切れて暴れ出すのって何の説明もないじゃないですか?でも・・・あれがいいんですよね(笑)。
自分でもどういうスイッチを入れたらいいのか映子先生の心情の整理とかつかないんですけど、もうあそこまで「ボン!」ってアクセル踏んでって言われたら、そこに行き切るしかなかったので、あの映子先生はやっててもメチャクチャ面白かったです。
だって私、あんなに一気にガトリングガンで人を殺した事って無かったので(笑)、あんなキャラは園子温監督の作品じゃないと逆に有り得ないですし。

ーさらに教会では屋敷さんと三田真央さんが篠田麻里子さんたちとガチンコで闘います。

屋敷 あの教会の対決シーンは、真央ちゃんと闘う篠田麻里子ちゃんは坂口拓さんと一緒に練習していたので大丈夫だったんですけど、私が闘った桜井ユキちゃんはアクションの経験が無かったんです。なので、アクション監督の坂口拓さんは私の事をよく知って下さっているし、リハーサルや練習もやっていましたから、坂口さんから「屋敷、申し訳ないけど、篠田はある程度アクションが出来るけど、桜井は何にも出来ないから、お前が桜井を上手く見せてやってくれ。三田だと不安だからお前に頼んでいいか?」って言われて託されたんです。あと拓さんが「桜井にはある程度攻めをお前に当てさせるけど、お前だったら受けられるから。お前が上手く受けて、上手くリアクションしてやってくれ」って。
この教会のアクションは撮影に結構時間がかかりましたけど、衣装を着て髪型を作ったら「こういう事か。こういうイメージでいいんだな」みたいなのがあったので、私的には凄くやりやすかったです。

ーこの教会の闘いでは最後は桜井さんの廻し蹴りを浴びた屋敷さんがケーキに突っ込んでいくんですが、かなり激しいアクションですね。

屋敷 あのシーンも「私、ここぐらいに飛びますから」みたいに自分で動きをコントロールして、ユキちゃんには「カメラに被るこの範囲だったら蹴ってね」って。
あのウェディングケーキに突っ込むのも私が自分でやってるんですけど、坂口さんが「屋敷、お前いける?」って言うので、私が「じゃあ、やります!」ってやりました。

ーあと教会の闘いの後、マラソンのシーンになるんですが、そこで屋敷さんと三田さんが再び登場して主人公たちを猛然と追走するシーンになって、あの屋敷さんがランナーたちを片っ端から蹴散らしながら主人公に迫るシーンは最高ですね!私はあのシーンはDVDでもう10回ぐらい見ました!

屋敷 アハハハ!あそこは楽しかったですねー!撮影が2月で大変寒くて大変シンドかったですけど(笑)。
あの私と真央ちゃんが追いかけるシーンは結構ロングで撮っていたので、私はどうやってカッコ良く見せて、どうタイミングよくランナーさんたちを蹴り飛ばすかだけを考えてやりました。
ただこの「リアル鬼ごっこ」が興行的にコケたのが凄く残念なんですけど、私はこの映画はとても好きですね。
あとこの「リアル鬼ごっこ」の時に園監督に「私が初めて出た映画が「自殺サークル」でした。あの首吊ってるの私です」って初めて言ったら、園監督が「ええー?そうなのー?」みたいな。ちょうど12年後にそんな話になって2人で「不思議だねえ」って話をしました。

ーでは「進撃の巨人:Attack On Titan 反撃の狼煙」(15)ですが、これは屋敷さんは女教官役と女型の巨人の2役で出演してらっしゃいますね。

屋敷 そもそも「進撃の巨人」はテスト撮影の時から西村監督が特殊造形プロデューサーで入ってて、女型の巨人なので動きがあるので、裸になる事を気にしない女性が必要となって「屋敷、やらない?」って言われて「あ、いいですよ。面白そう!」って引き受けました。
あの女型の巨人は全裸じゃなくてニップレスとTバックの9.8裸ぐらいで、あとは特殊メイクなんです。実は「進撃の巨人」と車の「スバル」がコラボCMをやってるんですよ。
そのCMの巨人も私がやってるんですけど、その半年ぐらい前のテストから何回かやっていて、そのままDTVやスピンオフ作品も私が女型の巨人をやっていたんです。
なので「進撃の巨人」での私はある意味スタッフ側だったんですけど、ある日に飲み会でプロデューサーが「屋敷さんがこれだけ「進撃の巨人」の功労者なのに、何でお前たち出演者で出してあげないんだよ?」と監督さんたちに言って下さった鶴の一声で女教官役が決まったんです。もう無理やり出してくれた感じです(苦笑)。

ー女型の巨人は目で屋敷さんだなって分かりますね。ラストで武田梨奈ちゃんと彼氏がハッピーエンドになると、巨人の屋敷さんも皆と一緒に拍手してますね(笑)。

屋敷 やりました、皆で(笑)。「屋敷も拍手して!」「はい。パチパチ!」みたいな。

ーではいよいよ「RE:BORN」をお訊きする前に、ここまでで屋敷さんがご自分の映画で思い入れのある作品がありましたら、仰って頂けますか。

屋敷 はい。そうですね。私もガンアクションとかノワールとか好きなんですけど、それこそ「男たちの挽歌」(86)とかウォン・カーワイとかジョニー・トーとか。
日本だと石井隆と北野武がバイオレンス映画の監督として大好きなんですけど、石井隆監督は「GONIN」」(95)とかを撮っている監督で今では日本の巨匠なんです。
その石井監督の「GONINサーガ」(15)で私は銃を撃つ女性の役で出演させて頂いたんですが、その経験があったので後にジョン・ウー監督の映画で余り緊張しなかったんです。
石井監督は凄くアクションを撮るのが上手い監督で大変厳しい方なんですが、私は石井監督の現場で鍛えられて、石井監督の映画のおかげで今でもお仕事が来るくらいなんです。なので私にとって石井監督の「GONINサーガ」や「甘い鞭」(13)は絶対に外せないほど大切な作品なんですね。

ー「GONINサーガ」の屋敷さんはどんな役柄なんですか。

屋敷 私は元ヤンキーのヤクザの組員で髪を金髪にしているんです。石井監督の映画って人がよく死ぬんですが、この映画の私の死に様が今でも一番褒めて頂けるんですね。
私は竹中直人さんに撃たれてハチの巣にされて死ぬんですけど、やっぱり血とか雨とか銃とかのシーンとなると撮影でも凄く緊張するんですよ。そこでシッカリ見せなきゃいけないし。
石井監督が私にその役を振って下さったのも私がアクションをやっているからで、あと屋敷さんのアクションが只々ケレン味があるからだけじゃなくて、屋敷さんは血生臭い事も出来るから僕は好きって事で選んで頂いたんです。
それこそもう2度と失敗が出来ないぐらい大量の血が出るような、皆がそこで撃たれて死ぬところで、私は大変素敵な死に方をさせて頂いたんです。
石井監督は北野武と並んでジャパニーズ・フィルム・ノワールを確立させた人なので、その石井監督の現場の緊張に比べたら、ジョン・ウー監督の現場は全然緊張しなかったんですね。
ちなみに「GONINサーガ」はガンアクションもあるので男性は観やすいと思いますけど、「甘い鞭」はR18です(笑)。

ー了解です(笑)。ではいよいよ昨年世界中を震撼させた革新的コンバットアクション「RE:BORN」(17)についてお訊きします。屋敷さんは最初どのような形でこの映画に入られたんですか?

屋敷 結構前から坂口拓さん(以下、拓さん)がお休みされている間から下村さんが「拓ちゃんの復帰作品を撮る」というのは聞いていたんですけど、どういう内容の作品になるかは全然聞いていなかったんです。
その時は私も稲川義貴先生にもお会いしていなかったんです。で、稲川先生にお会いした辺りから急激に話が具体化して来て、私に出演の声がかかったのは「RE:BORN」の制作が決まってからです。
先ほどもお話しましたけど、私にとって下村さんと拓さんはほぼ神に近い存在なので、拓さんが引退されるのはもう辛くて仕方が無かったですし、下村さんが拓さんの引退を辛そうにしていたのも私は知っていました。
私が「どんな形であっても協力します!」て言ったらイーグルの役を下さったので、もう私は拓さんと一緒にカメラの前に立てるなんて事が起こるんだろうかっと思ってひたすら練習しました。
「RE:BORN」のアクションは、とにかく私がこれまでやった事がないジャンルの動きなので、もう自分がやって来た事は一端捨てて、稲川先生のゼロレンジ・システムに染まらなきゃと思って稲川先生のYouTubeの動画を見たり練習に行ったりとかして、あの殺す、殺されるって緊張感、怖さを感じ取れるようにしました。
で、いざインして一番最初に下村さんに言われたのが「アクションがアクション映画じゃなさ過ぎて、俺、今この映画撮っていて面白い映画になるかちょっと分からないんだよ」って仰ったんですよ。アクションじゃないから見せ場どうこうって問題じゃないし、動きもカメラで追えないぐらい早いし。
で、下村さんが「だから三元(雅芸)ちゃんとヤッシーのシーンには少しアクション映画寄りにして欲しい」って言われたんです。
それは要するに、私たち2人がただ敏郎を殺しに行ってアッと言う間に倒されるんじゃなくて、アクション映画らしい“間”を作るとか、ちょっと観客が観やすいシーンにするからって事だったんです。

ーなるほど。仰っている事よく分かります。

屋敷 コンバット・システムで闘っているんだけど、アクション映画らしい芝居にしてくれって事なんです。それを私と三元ちゃんで心掛けて余りリアルにならないように、本当に息を止めて忍び寄っていって直ぐに切り返されて殺されるって流れは止めようって話ました。
だから拓さんと私たちが闘うシーンはそれを意識しましたし、拓さんは私と闘う時はウェーブは使ってないですし、アクション映画的な闘いをしていますから。それでもメチャクチャ怖かったですけど(笑)。

ーあのイーグルの髪型は素敵でしたね。最初は帽子を被っていますけど。

屋敷 あの髪型はありがたかったですね。実は設定だとイーグルは最後まで帽子を被ったままだったんです。でも拓さんと闘うシーンでたまたま帽子を飛ばされて「あ、ヤッシー、そのままでいいじゃない?」ってなったんです。
あの髪型も稲川先生に「女性の戦闘員だったらどんな髪型にしますか?」ってお訊きしたら、やっぱり実際も戦闘では邪魔にならないショートカットが多いらしいんですよ。
だったら映画的にカッコイイ編み込みがいいんじゃないかなとなって、下村さんと話してあの編み込みの髪型になったんです。

ー屋敷さんはご自身のツイッターにあの編み込みヘアにする写真をアップされてましたね。

屋敷 この「RE:BORN」は追撮をやっているんですけど、本撮影の時はメイクさんがいたんですけど、「RE:BORN」は手作りの映画なので追撮の時はメイクさんがいなかったんです。

ーいま仰った追撮ですが、これに関しては以前に屋敷さんがご自身のラジオ番組「Le Passage 」でも触れていましたが、それは本撮影で撮ったアクションをもう1度撮り直したんですか?

屋敷 正確には追加したと言ったほうがいいかも知れません。本撮影の時は私の殺され方がちょっと流れが違ったと言うか、もっとアッと言う間に殺されるんです。
それを追撮ではもうちょっと見せる形にしてくれたので、最初撮ったシーンよりは仕上がりがさらにアクション映画っぽくなってるかなと思います。
私が最後に拓さんに木に押し付けられて首を斬られるんですけど、あのシーンは元々無くて、私と三元ちゃんが死ぬシーンももう1回撮っています。

ーでは本撮でロケに行ったあの森に追撮では皆さんでもう1度行って撮ったんですか?

屋敷 いえ、全く同じ森じゃないんですけど、違うよく似た森に行ってよく似た木のところで撮りました(笑)。

ーあとこれは下村監督に聞いたんですが、フォックスとイーグルは元々は恋人同士だったという裏設定があったとか。

屋敷 それは私も後で聞いて「ええ?そうだったんですか?知らないって!」って(笑)。下村さんは現場では何も言ってなかったですもん(笑)。

ーあら~そうでしたか(笑)。フォックス役の三元雅芸さんとはお互いの役作りについてどんなお話をされたんでしょうか?

屋敷 私はスナイパーの役で、三元ちゃんは銃とナイフを使うし、それぞれ使う武器は違うんですけど絶対的に連携が取れた動きにしよう、と話をしました。
1対2の闘いなんだけど自分たちは限りなく1に見えるような動きにしたいねとも話してて、練習も三元ちゃんと組んでやってましたし、三元ちゃんの方がアクションの技術では俄然上手いので、私としては殆ど肩を借りる感じだったんですけど。
稲川先生に「どうやったら2人が連携を取って闘っているように見えますか?」ってお訊きしたら、私が自分の手を三元ちゃんの肩に置くような感じで構えるように言われたんです。
これならすぐにお互いに合図も出せるし、敵との距離を測るためでもあるし、何かあったらお互いを守るためでもある構えなんですね。

ーイーグルがフォックスのちょっと右後方で構えるポジションでしたね。

屋敷 そうです、そうです。これは実際の戦闘でも本当にこういう連携を取るそうなんです。お互い被らない位置で、イーグルはフォックスを盾にしてるわけでもないし、何かあったらイーグルがフォックスを引いてイーグルが前にも行けるという。
でもやっぱりフォックスがリーダーだし、イーグルはバディだけど外人の設定だったし。

ーあ、そうでしたか!?

屋敷 はい。映画の最初にモニターにフォックスの本名と一緒にイーグルの中国語の本名が出て来るんですよ。それを見て私も後で「へえ~!私は外人だぁ」って(笑)。

ー私が「RE:BORN」の中で一番好きなファイトシーンがこの敏郎vsフォックス&イーグル戦なんです。

屋敷 ありがたいです、本当に。そんな事言ってくれるのは龍熱さんぐらいです(笑顔)。

ーいやそんな事はないでしょう(笑顔)。では屋敷さんにとって「RE:BORN」という作品はご自身のキャリアでどういう位置付けになりますか。

屋敷 私の中で好きなアクションとか憧れを塗り替えた映画ですね。下村さんも拓さんも「「VERSUS」の呪いが解けない!」って言ってたんですけど、ファンの人たちもそうで「あの2人って「VERSUS」の人だね!」とか。
今度の「RE:BORN」も圧倒的な世界レベルでアクションをアップデートして、バックに大きな会社が無くてもこれだけハイ・クオリティーな映画を人間たちの手で作れるんだという証明でもあるし、よく「日本のアクション映画は終わった」とか単純な事言っていますけど、そうではなくてただやってなかっただけで、今から始まるんだ!って狼煙が上がった瞬間でもあったんです。

ー仰る通りです。

屋敷 この間も三元ちゃんも「贔屓目に見ても見なくても「RE:BORN」って凄くない?」って言ってましたから。「RE:BORN」ってアクションをやっている人間が「僕は何であの映画に出れなかったんだろう!」って挙って嫉妬したと聞きましたから。
それって凄い価値だと思うし、これからだなと思います。
拓さんも下村さんも言ってますけど「RE:BORN」で生まれ変わったんじゃなくて、生まれたばっかりなんで、今からだよな!って。役者もそうだけど、常に探求して自分たちからアップデートしていかないと、お客さんは育てられないし映画も変わらないからって。「RE:BORN」こそはその反撃の狼煙なんです。

ーいや素晴らしいコメントです。では今回のインタビュー最後の作品になりますが、現在劇場公開中のジョン・ウー監督作品「マンハント」(18)です。この映画での屋敷さんは韓国のトップ女優ハ・ジウォンと対決していますね。

屋敷 國村隼さんが人間を改造しちゃうような悪い会社の社長なんですが、その國村社長に恩があって尽くしている女殺し屋がハ・ジウォンなんです。
で、ハ・ジウォンは自分の生き方は間違っていると悟って國村社長を裏切って殺そうとするんですけど、私は國村社長の秘書のような役なんですが、ハ・ジウォンが國村社長に銃を向けた瞬間に私は秘書から殺し屋ばりの強さを持つ女戦士となってハ・ジウォンと対決する役なんです。

ーおおぉ!いいですねえ!秘書なのに実は強いんですね。

屋敷 でもそこはジョン・ウーなんで無理やり後付けで(笑)。だって最初の私は只のエキストラくらいの勢いでしたから。まだ全然脚本も決まっていなくて。
私はジョン・ウーは大好きなので、まさかジョン・ウーが日本で映画を撮るなんて思わなかったし、最初に「マンハント」が日本で撮影するって聞いた時は私は事務所の人間に「エキストラでもいいから出たい!ジョン・ウー真近で見たい!どうせ男だらけの映画だから女なんか出ないし」って言っていたんですよ(笑)。
ところが最初アクション部から「本当にアクション・エキストラみたいなんだけど、轢かれかける女の人みたいな役だけどやる?」って言われて「それでもいいからやりたい!」って。
そうしたらキャスティング部から正式に「殺し屋軍団の中に1人女性がいるんだけど入りませんか?」となって「勿論やります!」と現場に入ったのが最初でした。
その殺し屋軍団のコスチュームが男性たちは皆が同じようなライダースーツとか制服だったんですけど、私だけ秘書みたいなカッコイイ服だったので「おや?」と思いました。
そこで言われたのが「屋敷さんはボディガードみたいな役だから」だったんです。実際に現場に入っても撮影は全然進まないんですが、目の前にジョン・ウー監督がいるんで「うわ~!ジョン・ウーだぁ~♪」って感じでした(笑)。
でも現場の人からも日本側スタッフからも「台本が本当に固まっていなくて、君たちのシーンはドンドン削られているから、もしかしたらエキストラみたいな感じで終わっちゃうかも知れないよ」って言われていたんです。
でも私は「それでも仕方ないな。神のようなジョン・ウー監督と同じ空気を吸えているだけで私はいいし、学べる事を学んで帰ろう」と思っていたら、撮影の終盤になってハ・ジウォンvs國村さんのシーンに取りかかろうとした時にいきなり「屋敷さん、来てー!」て呼ばれたんです。

ー何か聞いててドキドキしますねえ!

屋敷 私も「え、何だろう?」と思って皆が待つオフィスのセットに走って行ったら、「はい、ここから女秘書が来て、ここから社長を守りながら銃を抜いて!」と言われて「えっ?私がですか?」って(苦笑)。

ーおお!日韓女ドラゴン対決、決定の瞬間ですねー!いやドラマチックだなぁ。

屋敷 そこで初めてアクションシーンの殺陣をつけて貰って、その流れでハ・ジウォンさんと1対1みたいな闘いになりました。

ー現在「マンハント」絶賛公開中ですが、屋敷紘子vsハ・ジウォンの対決、どんな展開なんでしょうか!?

屋敷 ガンアクションです。それもバリバリの。肉弾戦も交えたガンアクションで、実際その場でやったアクションよりも編集されて少し短くはなっていますが、映画を観て気がついた方たちは大変良いシーンだったと言って下さっています。
ただそのアクションで私は足の踝を骨折したんですけど(苦笑)。

ーええっ!そうだったんですか?(汗)。では相当激しいアクションなんですね。えっとハ・ジウォンさんはどんな方でしたか?

屋敷 最高でした。凄いいい人でした!メチャクチャ努力家ですし凄く優しいし、こんな謙虚で優しい女優さんにお会いしたのは初めてでした。

ー相手役の屋敷さんが足を折ったのを見たハ・ジウォンさんは・・・・

屋敷 もう本当に心配して下さいました。足にヒビが入って明らかに「あ、やっちゃったな」 って分かったんですけど、その日で私は3週間の休みに入ってアクションシーンの続きは3週間後だったので「とりあえず今日を乗り切ろう」って思ったんですが、もうその場で足が腫れてきちゃったのでテーピングとアイシングして、皆さんにご迷惑をかけてしまいました。
ジョン・ウー監督も私のところに来て「おい、大丈夫か?」と言って下さって、私は「はい、やれます!」みたいな(笑)。

ージョン・ウー監督はどんな感じの方でしたか?

屋敷 あの・・・何でしょう・・・仏さまみたいな方でした(笑)。セットでは決して声を荒げないし、でも絶対に妥協はしない方です。役者を完全に信用している人なので、うるさい事を仰らない、本当に仏さまのような方でした。
何時も笑顔だし、ただアクションの撮影でもう一歩いけるなと思ったら必ずもうワンテイクいく方ですね。何が嬉しいって、現場でジョン・ウー監督が遠くのモニタールームで見ていて、凄いいいカットが撮れるとバ~ッと出て来てその役者に向かって親指を立てて「グッドショット!グッドショット!」って言ってくれるんです。
あのジョン・ウーがですよ?それを言われた時、私「本当に生きてて良かった!」って思いましたから(笑顔)。

ーうんうん!(笑顔)。

屋敷 ジョン・ウーの映画を観ていると、ウー監督がこういう感じが好きなんだなって分かるじゃないですか。たまにウー監督が自分で動きながら「こうやって振り返りながらこう撃って」
みたいな事をやると「うわ~!凄い!ジョン・ウーの映画だ~!」って、その場にいる300人ぐらいのスタッフが「ウワー!」ってなるんです(笑)。
私のオールアップが作品のクランクアップの前日だったんですけど、ウー監督から花束を頂いて、お褒めの言葉も頂いて「嗚呼、夢のようだなぁ。アクションの神様はこうやってアクションを撮ってるんだなぁ」と本当に夢のような気持ちでした。

ー改めて「マンハント」楽しみですね。

屋敷 最初撮ったフィルムを繋いだら8時間ぐらいあったんだそうです。あ、これは1本じゃ無理だから前編と後編の2作品にしようかとなったらしいんですけど、映画の盛り上がりが終盤の方ぐらいからなので2作品に分けてしまうと何の盛り上がりもないままで終わっちゃうので短くしてみたいな。

ー屋敷さんは既に試写で「マンハント」ご覧になったと思うんですが、ご自分のシーンをご覧になって如何でしたか。

屋敷 カットされてなくて良かったなって(笑)。だって8時間あるってなったら、私のシーンまるごと無くなってたらどうしよう?って思ったんです(笑)。
ちなみに同じ研究所の中であちこちで闘いがあって、それが色々シーンバックしながら映るんですけど、その時のシーンバックで闘っているのが三元ちゃんです(笑)。
あとこれはカットされていましたけど、福山雅治さんとか主人公たちが全員集うシーンで、研究所で國村隼さんを先頭に歩くシーンを1回撮ったんですけど、それが國村さん、福山さんがいて、池内博之さん、私、三元ちゃんっていう構図だったんですよ。
そのシーンの時は「嗚呼、頑張っていたら良い事あるんだなぁ!」って思いました(笑)。

ーそのカットされたシーン観たいですねえ!私はアジアの女ドラゴン映画検証をライフワークにしているんですが、今回以前からどうしてもインタビューしたかった屋敷さんをお招き出来て、また大変中身の充実した面白いお話が沢山聞けて嬉しかったです。

屋敷 私はまだまだなんです。最近ちょっと危機を感じているんです。何かもっと出来る事があるんじゃないかなって。今から、今から進化と言うか。
今までの私ってガムシャラにアクションだけをやって来て、一生懸命ひたすら先輩たちにくっついて自分がカッコイイと思った事を追及するみたいな勢いでしたけど、もっと内面的な表現と言うか。私って余り技術的なアクションって興味がないんですよ。
私が目指すところって、女が闘うシチュエーションがそもそも面白くないと。女が闘うって時点でそこには本当に凄いドラマがあるわけじゃないですか。
女って基本的に闘うとかコブシを握るDNAを持っていないわけで、でもいま公開中の「悪女」もそうですけど、女が闘うという時点でそこには既に凄まじいドラマとか理由があるわけで、それを芝居も含めて体現出来たら面白くないはずがないと思うんです。
それを追及しない映画が日本も含めて余りにも多いと思うし、やってる本人たちも説得力もないし、強そうにも見えないし、アクションの技術もないし、カット割りで誤魔化しているわけだし。
そうではなくて、ちゃんと闘う理由を持って闘う女が演じられて面白いのって私は45歳以上だと思っているんです。
勿論、若くて、沢山動けて、体力があったらそれはそれで楽しい事もあると思うんですけど、私が女性アクション映画で一番好きなのがジョン・カサヴェテス監督でジーナ・ローランズ主演の「グロリア」(80)って映画なんです。

ーはい、ありましたね。確かリメイク版(99)も制作されました。

屋敷 はい、シャロン・ストーンで。そっちは私は全然引っかからなかったんですけど(笑)。元々のオリジナル版が大好きで、あの映画は女ならではの母性、守る力とかが絡んだ中で、ジーナ・ローランズがあんな風に銃を構えて、銃よりも銃を持っている女性に目がいくのって中々ないんですよ。
「グロリア」のあのシーンはジーナの圧倒的な力があってこそあのシチュエーションに説得力が出て来るので。あれは女にしか出来ないし。私もあんなようになりたいと思うし、今は勿論知識は広めていきたいし、映画も観ていきますし、ゼロ・レンジ・システムも練習しますけど、もっとリアルなアクション、闘いが出来たらいいなと思いますし、これからは若い時とは目指す状況も違って来るかも知れません。

ー私も屋敷さん、いえヤッシーさまが日本版「グロリア」に主演するその日まで応援していきたいと思います(笑顔)。

屋敷 よろしくお願いします(笑顔)。「グロリア」の話を下村さんにしたら、その時は下村さんがアクション監督やるからって言って下さったので、是非坂口さんにも出演して頂けたらと思います。
それには日々の過ごし方とか、どうやってアクションと触れ合うかが大事なので、私もなるべく進化をしていきたいなと思っています。

ーでは最後になりますが、当ブログ「超級龍熱」の読者の方にヤッシーさまからメッセージをお願いします。

屋敷 はい、「超級龍熱」存じております!今から私とか、いま闘っている映画人たちが必ず日本のアクション映画をもう1回違う形で見せてくれると思うので「日本のアクション映画なんか」とは言わずに、ちょっと暫くの間、辛抱強く信じて待っていて欲しいなと思います。
だからこそ今の若い世代と中堅にかかって来た私たちが色々多面的に変えていけるように努力をしていきたいと思います。よろしくお願いします!

ーヤッシーさま、素晴らしいインタビューでした。改めて本日はありがとうございました。

2018年2月4日。都内は渋谷で収録。

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