超級龍熱

香港功夫映画と共に

邵氏兄弟電影黄金時代⑥ 李小龍と邵氏公司、運命の契約交渉!!

2017-03-14 21:00:55 | 邵氏兄弟電影黄金時代
「邵氏兄弟電影黄金時代」第6回は、いよいよ邵氏公司の歴史上において最もドラマチックな出来事に迫ります。そう、李小龍と邵氏公司の世紀の契約交渉です。
1970年に鄒文懐が制作主任の何冠昌、監督の羅維、機関誌「南国電影」編集人の梁風、そして蔡立昌らを引き連れ邵氏公司を離脱し、新たな映画会社嘉禾影業を設立した時点でも、邵氏公司のドン邵逸夫は「フン、あんな撮影所すら満足に持てない奴らに何が出来る?鄒文懐に引き抜かれていった王羽だっていずれ台湾に都落ちだ。
どうせ嘉禾なんてすぐに潰れるさ!」と意に介していませんでした。
しかし、打倒!邵氏公司に燃える鄒文懐は、当時邵氏公司との興行戦争に敗れ瀕死の状態だった国泰公司のスタジオを借り受ける形で自分たちのスタジオを確保すると、オーディションで苗可秀、茅瑛、衣依ら後の看板女優となる“嘉禾三大玉女”を獲得します。
そして鄒文懐が次に打った秘策が王羽に次ぐ自分たち嘉禾の看板武打星の獲得でした。この時、鄒文懐たちはその看板武打星として2人の候補をリストアップしていました。
その1人が邵氏公司で“武侠影后”として一世を風靡し、当時は結婚引退してアメリカに移住していた鄭佩佩でした。しかし嘉禾のオファーに鄭佩佩の返事は「NO」。
恐らく、まだこの時の鄭佩佩にとっては銀幕復帰よりも幸せな結婚生活が優先していたのでしょう。
鄭佩佩に肘鉄を食らった嘉禾ですが、それにめげずに今度は当時の羅維夫人で女優の劉亮華を交渉役に抜擢します。
以前から“女傑”として知られ「私は誰も恐れないわ!」と豪語する劉亮華は、すぐに第2候補の武打星との交渉に向かおうとしますが、その武打星は既にアメリカから香港に帰国すると、嘉禾にとって宿敵である邵氏公司との契約交渉に挑もうとしていたのでした。
そう、その武打星こそがブルース・リーこと李小龍だったのです。
李小龍は幼馴染みで国泰公司や邵氏公司で端役武打星として活躍していた小麒麟の橋渡しで邵氏公司との契約交渉のため香港に帰って来ていました。
この当時の李小龍はアメリカで「グリーン・ホーネット」(66~67)や「ロング・ストリート」(71~72)などのTVドラマでそれなりの成功は収めてはいましたが、ハリウッドに立ちはだかる厚い人種の壁の前に否応なく故郷の香港映画界への復帰を余儀なくされていました。
さらに香港に帰国する前の邵氏公司とのやり取りで、邵逸夫の「まあ、何も心配いらないから黙って帰っておいで。悪いようにはしないから」的な“上から目線”の返答に対して過敏に反応しており、既に李小龍の邵氏公司に対する印象は余り良くはありませんでした。
そして邵氏公司と李小龍の運命の契約交渉の日がやって来ます。
長い邵氏公司の歴史において、もし邵逸夫に幾つかの判断ミスがあったとしたら、一つは有能な右腕だった鄒文懐の代わりに自分の愛人の方逸華に経理分門を任せた事で鄒文懐のプライドを傷つけ、その結果として鄒文懐に独立を決意させた事。
そしてもう一つが李小龍との契約交渉の場にドンである自分ではなく、自分の愛人の方逸華を出席させた事でしょう。
元は歌手だった方逸華は当初は衣装係で邵氏公司に入ります。すぐにドンの邵逸夫の覚えめでたく愛人の座を手に入れた方逸華は鄒文懐から社内の金庫番の座を奪い取ると、以後邵氏公司における徹底した経費削減に能力を発揮します。
同時に方逸華の横暴振りは社内では“女帝”として恐れられ、それは邵氏公司において様々な弊害を生んでいく事となるのでした。
李小龍と方逸華の契約交渉は結果として破談となります。方逸華にすれば李小龍からの映画出演のギャランティーが1本につき1万(米国)ドルの申し出は到底受け入れ難い金額であり、それはドンの邵逸夫も同じ考えでした。
何故なら邵逸夫率いる邵氏公司にとって自分たちが雇った演員は「安く長く使う」が当然の方針だったからです。
ところが、その邵逸夫の尊大さの狭間を突くかのように李小龍にコンタクトを取って来た女性がいました。
そう、嘉禾の使者である劉亮華です。李小龍と劉亮華は1本につき7500ドルの2本契約で合意に達し、ここに嘉禾影業は自分たちの看板武打星として王羽や“嘉禾三大玉女”に次いで李小龍の獲得に成功するのでした!!
憎き嘉禾が李小龍の獲得に成功した事を知った邵逸夫は苦々しく「お前たちはそうやって私を責めるが、子役と電視劇「青蜂侠」だけの李小龍にあんな大金が払えるか!」と吐き捨てますが、そう言い放った邵逸夫自身も、この李小龍獲得失敗が自分にとって“一生の不覚”になる事を既に予期していたのでした・・・。
運命の悪戯から共に打倒!邵氏公司に力を合わせる事となった李小龍と鄒文懐。李小龍は嘉禾影業での主演第1作「唐山大兄」撮影のためにタイの空港に降り立つと、自分を出迎えた鄒文懐に対して不敵な笑顔と絶対の自信に満ちた表情でこう言い放つのでした。
「チョウさんですね?僕が李小龍です。今あなたの目の前に世界のスーパースターが立っているんですよ!」
鄒文懐は目の前の李小龍の不遜で恐れを知らない言葉に一瞬戸惑いながらも「よし、この男に懸けてみよう。この男なら邵氏に勝てるかも知れない!」と決意を新たにすると、李小龍が差し出した握手の手をガッチリと握り返すのでした・・・!!
そう、香港映画の原点にして“最強無敵影城”は嘉禾影業にあらず、邵氏兄弟公司にあり!!
「邵氏兄弟電影黄金時代」、次回もどうぞお楽しみに!!
コメント   この記事についてブログを書く
« THIS IS 甄子丹(104) スピ... | トップ | 熱風!韓国LEGENDS(99)梁家... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

邵氏兄弟電影黄金時代」カテゴリの最新記事