超級龍熱

香港功夫映画と共に

弟よ、今その魂の旋律を愛する母に贈れ!イ・ビョンホン主演「それだけが、僕の世界」来年1月公開。

2018-09-19 21:08:31 | 作品レビュー

さて、スッカリ遅れてしまいましたが、先週都内某所でチェ・ソンヒョン監督、イ・ビョンホン主演「それだけが、僕の世界」(18)を試写で観てきました。

元プロボクシングの東洋チャンピオンながら、今は定職もなく住む家もない自堕落な生活を送っているジョハ(イ・ビョンホン)は17年前に自分を置いて家を出ていった母インスク(ユン・ヨジョン)と偶然に再会し、そのままインスクの家に転がり込みます。昔に暴力癖の父と自分を置いて家を出ていったインスクを許せないジョハは自分の弟でサヴァン症候群のジンテ(パク・ジョンミン。快演!)に対しても荒々しい態度で日々接するのでした。そんな息子たちを微笑ましくも心配気に見守るインスク。

ところが、ある日ジョハが事故が原因で演奏を止めていた著名な女性ピアニストと出会った時、ジョハはジンテがスマホに映る彼女の演奏を見ただけでそれを完璧に再現出来る天才的なピアノ演奏の才能を持つ事を知ります。ジンテの才能を認めた周囲の人たちの温かい支援と共にジンテは障害を乗り越え少しずつ自分に自信を持ち始めていきます。そんなジンテを傍らで不器用ながらも優しく支える兄のジンテ。

長い年月の空白を一歩一歩埋め合うように兄弟の絆を取り戻していくジョハとジンテを嬉しそうに見守るインスクでしたが、そのインスクの人生に残された時間はもう僅かしかありませんでした。その悲しき事実を知ったジョハは愛する弟の晴れ舞台であるピアノコンサートの日に、ある決意と共に母インスクの許に走るのでした!

とにかくイ・ビョンホンが素晴らしいです。ビョンホン演じる元ボクサーのジョハはあのモハメド・アリを崇拝していて、アリの名言「不可能とは事実ではない、思い込みだ」を座右の銘として心に刻み込んでいるんですね。そしてそのアリの名言を自分が“勝負コンサート”に挑む直前のインタビューで兄ジョハを真似て誇らしげに語る弟のジンテ。このアリの名言を通して以前は疎遠だった兄弟が今では固い絆で結ばれている様がシッカリと観客に伝わって来ます。また龍熱者にとっては、元ボクサーのジョハが生活費を稼ぐために総合格闘技選手相手にスパーリングするシーンは要チェックでしょう(^_^)。

映画の終盤で、2人の兄弟が母インスクに対する深い愛情をそれぞれの形で母に伝えようとするシーンは私も観ていて涙が溢れ出て来て仕方がありませんでした。親子の情愛、兄弟の愛情を描かせたら韓国映画に勝る国はありません。エンディングに素晴らしく感動的で心温まる名シーンが用意されたこの「それだけが、僕の世界」は来年1月TOHOシネマズシャンテ他にて全国ロードショー公開との事ですので是非!


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