パンと珈琲日記~整形外科じゃなくて成形~

パン焼きと珈琲を趣味とするある整形外科医の日記

大晦日にのんびり焼成したライ麦パン

2012-01-02 00:40:09 | パン
新年早々、のっけからこんなことを言ってしまうのも申し訳ないのだが、実は

「新年あけましておめでとうございます」という正月の挨拶は好きではない。

「本年もよろしくお願いいたします」

という挨拶は気にならないが、頭に例の(言いたくもない)定型文を持ってこないとしまりが悪いものだから結局、自分の気持ちを抑えてしまうことになる。
昔はそうでもなかったが、年々抵抗があるようになってきた。正月三が日まとめて休んだことはほとんど無く、仕事をしているので「めでたく」ないからかもしれないし、正月でも入院中の患者さんに「おめでとう」というのに抵抗があるからかもしれない。
そして昨年の大震災や福島原発も収束していない影響もあって「めでたい」気分には特に今年はなれない。

一休禅師の歌に

「門松は冥土の旅の一里塚めでたくもあり、めでたくもなし」

というのがある。昔は数えで年齢を数えていたので正月を迎えるということは今でいうところの誕生日が来るようなもので「新年あけましておめでとう」というのは「誕生日おめでとう」といった意味合いも含んでいたのだろう。年を取るということは無事1年過ごせたということでめでたいのだが、死へと近づいていることだからめでたくもあろうはずがない。

日本が正月なら西洋はクリスマス。同じような事をTS Eliotも'THE CULTIVATION OF CHRISTMAS TREES'という詩で言っている。

.....(抄訳)

人生の最後のクリスマスはこれまでの記憶が大きな喜びに凝縮されるとともに大きな恐れを伴ってやってくる。始まりは終わりを予感させ、キリストの生誕は再臨(最後の審判の日、あるいは個人の死の時、死後の審判)を予感させるからである。

.........

そうChristmas はmerry でもなければ新年はhappyでもない。ただ死への準備を思い起こさせるいいきっかけなのかもしれない。そう言えばこういう言葉もあった。

「一年の計は元旦にあり」

でも、計画たてるの苦手なんだよなぁ。。



大晦日にのんびり焼成したライ麦パン。いつもはクルミを入れているが、今回、ヘーゼルナッツで焼成した。大晦日はこのパンをカマンベールチーズとワインで楽しんだ。

基本的な配合他はいつも通り、ただ焼成時間を今回は蓋をしめて300℃20分、250℃10分、その後、蓋をとって250℃10分とした。



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4 コメント

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お正月 (miniko)
2012-01-03 10:41:14
orthoさん、お元気ですか?昨年はorthoさんのブログとても楽しかったです。ありがとうございます。本年も楽しみにしています。宜しくお願い申し上げます。

私は「あけましておめでとう」の挨拶がとても好きです。暗闇の中から朝が来るのが嬉しいからです。そして、飛行機に乗るのも大好きです。空の謎に出会えるからです。あと、「明けない夜はない」って、言葉も好きだからかもしれません。

家は、祖父がお正月の朝に、我々の訪問を迎える為に雪かきしていて、心臓が「ぶつっっ」と、言って、その後、祖母の胸に抱かれながら亡くなりました。幼い私たちが元気に「明けましておめでとうございます!」と、玄関を明けると、「しー、静かに。」と、叔父がささやいて、その時はもう祖父は逝っていました。
なので、家は親族まるごと「あけましておめでとう」をいいずらいらしいのですが、私としては、戦争中ラバウルまで行って生きて帰って来た祖父が、彼の愛する妻、私の祖母の胸に抱かれて死ねるなんて、良い最後なんじゃないか。と、思い、それは、かなりめでたいことなんじゃないのかな。と、思います。
お正月の朝、父はなんとなく静かに「命日なんだぜー」と、言う事もありますが、、、。
小さい頃見た、テレビの一休さんで、和尚さんが「し」って、大きく書いて「し」は良い言葉、死ぬことはうんぬん、、と、言っていたので、私は死ぬ事は良い事なのだと、解釈し、数字の4も怖くなくなりました。

それにしても、色んな条件下のなか、私はこうして生きてる事を奇跡に思い、感謝します。


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「おめでとう」の力? (ortho)
2012-01-04 20:33:41
いつも拙ブログを見てコメントいただきありがとうございます。また、貴重なお話しをお教えいただきありがとうございます。

「死」は誰にでも訪れることで必要以上に怖がるのは馬鹿馬鹿しいことだと思いますが、こういう仕事をしていて高齢者を見ていて死へのプロセスを目の当たりにするというか自分の行く末に思いをはせるというか、そういった意味では年々、年をとるごとに不安にはなって来ます。まあ、悩んでも仕方がないことでしょうけど、、、生きていることに感謝が足りないせいかも、、、

ところで今日は仕事始めでした(もっとも元旦から日に1~2時間回診、その他をしているので厳密には仕事始めではないのですが、、、)。そこで気づいたのですが、普段は会釈程度の挨拶しかしない職員の方々も立ち止まって丁寧に「あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。」と挨拶をします。私は知らない人でも挨拶をお互いにするようなアメリカ南部にいたので日本に帰って来た時、若干の違和感を感じましたし、今でも少し感じています。だから思ったのですが、「おめでとう」にはめでたいことだから年の始めだけでも挨拶をしようとそういう力があるのではないかと。でもでも、それでもおめでとうは抵抗あるんですヨねぇー。

今年もよろしくお願いいたします。
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Unknown (miniko)
2012-01-05 10:23:15
やはり、プロとして死に直面するお仕事は、私なんかの想像以上のプレッシャーの元での事なのでしょうね。。。ああ、なんだか、すみませんでした。

そういえば、イギリスでは知らない人同士でも、クリスマスにはメリークリスマス、ニューイヤーにはハッピーニューイヤーと言い合っていたのですが、ここ、NYでは、そうでもないです。
今日、チェルシーのギャラリーを訪れたとき、ビルの廊下でUPSの配達の人と目が合ったので、「ハッピーニューイヤー」と、言ったら、「サンキュー」と、言われてしまいました。やはり、まれなのかしら?

ところで、カマンベールとワインで楽しんだという上記のライ麦パン、美味しそうだなあ~。
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挨拶 (ortho)
2012-01-06 21:35:04
>やはり、プロとして死に直面するお仕事は、私なんかの想像以上のプレッシャーの元での事なのでしょうね。。。ああ、なんだか、すみませんでした。

別に気になさらないでください。整形と言っても救命救急ではないのでそんな修羅場はほとんどありませんが、高齢者の外傷後、特にしばらく放置されていて痛みで寝たきりになってしまった様な患者さんを初診で診ると暗い気持ちになりますね。

>ここ、NYでは、そうでもないです

確かに南部から出てシカゴやニューヨークなどの大都会に行くとエレベーターの中であんまり挨拶をしませんでしたね。そんな時、southern hospitalityという言葉を実感しました。
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