Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

釉裏紅 草花文 透かし彫筆筒

2021年07月23日 13時59分08秒 | 古伊万里

 今回は、「釉裏紅 草花文 透かし彫筆筒」の紹介です。

 この手の筆筒は、一時、よく、骨董市などに登場しましたが、この筆筒は、なかなかありそうで無いものです。

 一時、骨董市などによく登場してきた筆筒は、ほとんどが江戸後期に作られたものですが、これは、江戸前期に作られたものですし、何と言っても、器の中央に、辰砂と染付を使って草花文が描かれていることです。伊万里で、辰砂を使ったものは非常に珍しいからです。

 

立面

 

 

正面(仮定)

 

 

正面から右に90度回転させた面

 

 

正面から左に90度回転させた面

 

 

正面の裏側面

 

 

側面

 

 

上から見たところ

 

 

底面

 

生 産 地 : 肥前・有田

製作年代: 江戸時代前期(寛文期)

サ イ ズ : 高さ;10.1cm 幅;6.2cm

 

 

 ところで、これに類似した筆筒が栗田美術館にも収蔵されています。栗田美術館収蔵のものは、我が家の筆筒よりは一回り大きいですが、器の中央に辰砂と染付を使って描かれた草花文の花が1輪になっています。

 次に、その栗田美術館収蔵の筆筒を紹介いたします。

 それは、「伊万里」(栗田英男著 栗田美術館発行)(発行年が不明ですが、栗田美術館足利本館が開館した昭和50年頃に発行されたものと思われます)の図38に登載されています。

 

図38 伊万里釉裏紅草花図格子彫筆筒  h-11cm  d-7cm  寛文(1661~72年)

 

 

  なお、この「釉裏紅 草花文 透かし彫筆筒」につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中でも既に紹介しているところですが、次に、その紹介文を、参考までに再度掲載いたしますので、ご覧いただければ幸いです。

 

 

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        <古伊万里への誘い>

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*古伊万里ギャラリー25  古伊万里様式釉裏紅草花図透かし彫筆筒(平成14年2月1日登載) 

 

 

 一見、「ああ、よく骨董市で見かけるよ! 3,000円か5,000円で売ってるよ!」などと言われそうである。

 確かに、器形としては、よく骨董市で見かけるもので、珍しくも何ともない。器形だけに満足するなら、このような用途のものは、100円ショップででも購入が可能かもしれない。しかし、そんなところにとどまらないのが骨董であり、美の追求であり、ロマンの遍歴である。

 この筆筒は、その辺の骨董市で3,000円か5,000円で売られているものとは、まず、時代が違うのだ。3,000円か5,000円で売られているものよりは200年程は古いであろう。

 また、この筆筒の見所は、なんといっても、透かし彫りの中央に染付と釉裏紅で草花を描いて染付で囲み、それを四方に配しているところである。なんとも洒落た構成ではないか。しかも、釉裏紅で花を描くなど、古伊万里好きをうならせ、垂涎させる。伊万里には釉裏紅は少なく、珍しいのだ。

 その辺をじっくりと見ていただき、3,000円とか5,000円の物との違いを、篤と味わってもらいたいのである。一見ありそうでいてなかなかないものであり、いわば、玄人好みといえるものであろう。

江戸時代前期   高さ:10.1cm

 

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Dr.Kさんへ (遅生)
2021-07-23 20:22:43
これは珍品ですね。
しかも、粋人をうならせる逸品です。
しかも、しかも、粟田美術館の品よりも、明らかに古格があります。
美術館の本の写真を差し替えてもらってください(^.^)
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遅生さんへ (Dr.K)
2021-07-24 09:19:45
お褒めにあずかり恐縮です(^_^;

これは、珍しいんですよね。
辰砂の色を綺麗に出すのは難しいようですね。
そのため、伊万里にも滅多に辰砂はないんですよね。
そのようなことを知ってないと、この良さが分からないですよね(^_^) 玄人好みになりますよね(^-^*)

美術館のものよりも古格があるかどうかは分かりませんが、辰砂の花の数では上回っていますね(笑)。
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