BOSSの壷

"Southern Valley" の日常とBOSSの《壷》をお伝えします。

《復活! オヤジの壷/第2弾》はオーバーオール。

2013-04-02 07:50:16 | ぼやき
本来の overall は日本でいう「つなぎ」を指すが、
アメリカでは一般に胸当てとサスペンダーの付いたズボンを指す。
サロペットという呼称はフランス語。
その歴史はアメリカの西部開拓時代にまで遡る。
元々は中に着ている服を汚さないように作られた服で、
鉄道員・蒸気機関士はもとより、農夫などにも人気を博した。
今ではファッションアイテムとして根強いファンが少なくないが、
私は "SV" での作業着としてオーバーオールを多用している。

胸当てのポケットには筆記具や小物が入れられ、
腰にはハンマーを吊るすハンマーループを装備。
反対側にはスケールポケットと呼ばれる定規用のポケットもつく。
広い敷地の "SV" では、何かと道具を身に着けられるのは非常に便利。
腰の部分を絞らないルーズなオーバーオールの使い方は多様で、
夏場の熱気も自然に外へ排出してくれるし、
冬場には厚手のアウターをオーバーオールの下に着られるからとても暖かい。

古着屋さんで見つけるオーバーオールはやたらデカいものが多い。
アメリカ人がデカいのも事実だが、西部開拓時代の古い写真を見ると
やたらデカいオーバーオールで仕事をしている農夫や作業員の姿が見られる。
そして、オーバーオールの下に上着を着込んでいる。
つまり、オーバーオールは下に着ている洋服を汚さないためのものであり、
軍手や革手袋のような存在であった事は間違いない。

最近では "SV" での作業がメインになった私は、
若い頃から持っているオーバーオールを引っ張り出し、
更に数着のオーバーオールを手に入れて実用性と収集を楽しんでいる。

オーバーオールには大別して4つのカテゴリーがあると思う。
一つは新品で買えるワークブランドのオーバーオール(多くはアメリカ企画)。
一つはデッドストックか古着でしか手に入らないヴィンテージ。(実名復刻も)
一つは古き良きアメリカにインスパイアされて生産される日本製。
一つは「色物」とも呼べるカワリダネ。

まずは私のコレクションの一部から紹介したい。

《Carhartt ブラック・ダック・オーバーオール》
1889年 US ミシガン州デトロイト創業のワークウエアブランドの老舗。
US 企画の製品はタフ&オーセンティックで昔ながらの無骨さを継承。
ヨーロッパ企画のプロダクツは都会的に洗練されたデザインで近年人気。
アメリカではヒップホップ系ファッションのブランドとして古くから人気がある。

【リポート】
機能性: 全てがオーソドックスで、ヴィンテージに偏りすぎない
     使いやすさが良い。
頑強度: アメリカ企画にしては縫製が丁寧。生地も丈夫。
     このカーハートを強度の基準として語られることが多い。
貴重性: 「珍しいか?」という部分では、そうでもない。
     会社がしっかりしているから供給状態も悪くない。
入手性: インターネットやアメ横などで入手可能。
    「アメリカ製じゃなくなった」という人もいるが
     アメリカ人は決して器用ではないから、私は気にしていない。
着用感: 所有のオーバーオールの中では最も生地が厚く安心なのだが、
     それだけに重量も重く、暖かな季節になると着ることをためらう。







《Dickies ブラウン・ダック・オーバーオール》
1922年 US テキサス州に創業のワーク・カジュアルブランド。
創始者の一人〈E.E.ディッキー〉が全米各地の工場や米軍などに
採用されて実用性を重視してきたが、今ではレディース・キッズ・
バッグ・キャップなどのアクセサリーも展開して
一躍ファッションアイテムとしても人気を博す。

【リポート】
機能性: カーハートと比べられることの多いディッキーズだが、
     少しばかりカジュアルになり過ぎた感がある。
     それでも優等生であることに変わりはない。
頑強度: 本気でハードに使うには生地が少し薄くて不安。
     普通の仕事や日曜大工程度なら全く問題ないが・・・。
貴重性: 地方のジーンズショップやショッピングモール、
     セレクトショップなどにも製品が置かれているので貴重性は薄い。
入手性: インターネットでもショップ数が多いが、オーバーオールは
     少ない感じ。俗に言う「バチモン」も少なくないらしい。
着用感: ハード過ぎない着用感が丁度よいのか、
     使い過ぎて色が抜けるほど着込んでいる。
    「いつでも買える」というセコイ感情も手伝ってのハードローテーション?







《BEN DAVIS エプロン付きホワイト・ダック・オーバーオール》
1935年 US サンフランシスコに創業。
    ブランド名でもあるベン・デイビスの祖父ジェイコブは、
    ワークパンツに欠かせないリベット(補強の鋲)付きの
    ポケットを生み出した人物。その技術がのちのジーンズの
    歴史に重要な役割を果たすことになる。

【リポート】
機能性: このオーバーオールはウエスト部分にポケット付き
     エプロンが付いており非常に便利。ちょっと可愛い感じなるが、
     私のような年配者が着るとシャレになって面白い。
頑強度: 上記の2ブランドに比べて縫製糸の番手が細い。
     ハードワークに使うのは無理だと判断しているので
     ガーデニングやワンコの散歩に最適だと思う。
     祖父と父の時代は頑強だったらしいが、孫の時代は軟弱に?
貴重性: このエプロン付きは貴重。アメリカ製と中国製が存在するが、
     ジックリ比べると生地や縫製に若干の優劣が見られる。
     アメリカ製は特に貴重かもしれない。
入手性: アメリカ製を店頭でお目にかかることは、まず無いだろう。
     更に希望のサイズを探すのはなかなか難しい。
着用感: 各部のディティールが素晴らしいと思う。
     ワークウエアと言うよりファッションアイテムに近い感じ。
     様々な意匠が独特な雰囲気を醸し出している名作。





ちなみに、同じく BEN DAVIS のエプロン付きブラウン・ダック・オーバーオール。
こちらは更に貴重で入手も難しい。
サイズが合わなくても、出遭ったら買いたいほど気に入っている。
こちらもアメリカ製と中国製があり、写真の VEN DABIS は中国製。
だから~という訳ではないがガンガン使っている。
アメリカ製は膝のダブルニー部分(補強のため生地が二重になっている)に
チェッカリングの縫製が施されている。更に背中の革製ブランドマークが大きい。





そうだ! ここで一言。(そして言訳)
私のオーバーオールの足、短いでしょ?
私の足が短いのも確かなのだが、それだけではない。
普通、オーバーオールは裾を折り返して着る人が圧倒的に多い。
私はロールアップした裾に砂や泥、草刈の葉っぱが溜まるのが嫌いで、
自分のミシンでかなり短くカットしている。

《ROUNDHOUSE オーバーオール3種類》
1903年 US オクラホマ州に創業。
    ルーズベルト大統領の時代。ライト兄弟が動力飛行に成功し、
    ヘンリー・フォードが最初の自動車をデザインした頃、
    何万人もの鉄道労働者が西部へ続く鉄道の建設に従事。
    蒸気機関車の工場が円形をしていたことから
    ROUNDHOUSE のロゴマークが生まれる。

【リポート】
機能性: 120年も昔から培った機能性はオーソドックスで堅実。
     どんな作業に使っても不便を感じる事はない。
頑強度: カーハートに次いで頑強。
     確かに裁断も縫製も「キレイ」とは言いがたいが、
     使えないほど壊れるようなハードな仕事をするとは思えない。
貴重性: MADE IN USA をかたくなに守るメーカーだが、
     在庫がなくなっても入荷状況は比較的スピーディー。
入手性: 実店舗ならアメ横に6店舗ほどある。
     ネットでも容易に探せて入手は割りと簡単。
着用感: 可もなく不可もない。しかしそれは如何なる仕事にも
     応用が利くという利点でもある。

上の写真はブラウンダックでオーソドックスなもの。
中の写真はヒッコリーストライプと言って、林業者に好まれたデザイン。
縦の縞模様は汚れが気になりにくく、森の中でも視認性が良いらしい。
下の写真は「ローバックスタイル」という、ヴィンテージに多く見られる形。
「女性労働者に好まれた」との説があるが、私は暖かな地方や
夏場の蒸れを解消するためのデザインではないかと思う。










以上は比較的簡単に入手できるオーバーオールのグループ。
以下は少しマニアックなオーバーオール。

《POINTERBRAND デニム・オーバーオール》
1913年 US テネシー州に創業。
    猟犬の競技者として有名だった KING氏が創業したブランド。
    頑強で耐久性の高い造りは4代目の今でも受け継がれている。
    ちなみに、ロゴマークの猟犬ポインターはKING氏が
    たいへん可愛がっていたビル君。
    私のものは少々珍しいローバックスタイル。

【リポート】
機能性: 多くのオーバーオールが労働者の需要によって
     デザインされて発展してきたこととは少し違い、
     犬の世話や散歩・訓練などに適したルーズさが特徴。
頑強度: ヴィンテージテイストをサラリと楽しむ程度の頑強さ。
貴重性: アメリカ製のデッドストックは存在するが、
     まず古着屋でしか見られないと思う。
     新品で見られるのは復刻版。
入手性: オリジナルは入手困難。
着用感: ゆるく使うなら非常に快適。







《POWERHOUSE ヴィンテージ・オーバーオール》
1920年 US イリノイ州シカゴに登場した「ストア系」ブランド。
    「ストア系」とは、デパートなどが立ち上げた独自のブランドを言う。
    1872年創業のMongomery Ward というデパートから生み出された。
    POWERHOUSE パワーハウスとは発電所のこと。
  
【リポート】
未使用のためリートは無い。
偶然、古着屋で見つけて手に入れた品。
私には遥かに大きいサイズだったが、そのヴィンテージ感と色合いに一目惚れ。
試着してみたら、「超デカいっ! でも、こんな着方もアリか?」~で購入。
ジャストサイズだとしたら、身長 190センチ、体重120キロといったところか?
1950年代のヴィンテージ。もしかしたら私と同じ年くらいかもしれない!






HEADLIGHT ホワイトツイル・オーバーオール》
1920年 シンシナティとサンフランシスコに拠点を置く
    カーター&カンパニーのストア系ブランド。
    鉄道員・機関誌などに人気があり、50年代になると
    機能的なデザインは完成の域に達する。
    「もし洗って縮んだら新しいものと交換します」
    ~と語って、革新的なサンフォライズド加工
   (あらかじめ生地を地締めて防縮性を得る加工)
    をアピールして成功を収める。
    1960年代には CARHART に合併吸収されて消滅。
    HEADLIGHT とは蒸気機関車のヘッドライトのこと。

【リポート】
入手したのが去年の秋。「やっぱり白は夏でしょう!」
ということで今だ未使用。
1960年代に消滅したブランドだが、東洋エンタープライズが
最近になって実名復刻させたモデル。
この復刻モデルは、アメカジショップを経営していた
横浜・元町の有名アメカジショップの知人に勧められたもので、
今は亡き彼の形見のつもりで大切にしている。
オリジナルを忠実に再現したサスペンダーの金具などのディティールが、
「金属フェチ」にはタマラない魅力の逸品。









《PAY-DAY インディゴ・オーバーオール》
1922年 US ワイオミング州ケメラーに発足したストア系ブランド。
    アメリカ最大級のデパート J.C.PENNEY が立ち上げた
    BIGMACと双璧を成したワークブランド。
    PAY-DAY とは「給料日」という意味で、
    労働者のウエアに相応しい、何ともシャレたブランド名だろう。
    ちなみに、「スーパー ペイ デイ」とはボーナス支給日のこと。
    1950年代のヴィンテージモデル。

【リポート】
申し訳ない。こちらも未使用。
「着ないのにドウして買った?」~と言われそうだが、
もちろん、 PAY-DAY というシャレの効いたブランド名で買いました。






《AVIREX オーバーオール》
1937年 US 空軍への戦闘服のサプライヤーだった前身のエアロ・レザー社
    のブランド。厳しい軍規定を満たした製品だけが納品を許される
    ミルスペックブランドとしても有名な AVIREX。
    1975年。AVIREX のフライトジャケットは街着としても脚光を浴び、
    これを期に一般市場へ製品の供給を初めて人気が爆発する。
    私も二十歳の頃、渋谷のバックドロップで高嶺の花を眺めていた一人。
    ワークブランドではないゆえに、伝統に固執しない自由なデザインが
    購入のポイントだった。まあ、邪道と言えば邪道。

【リポート】
機能性: かたくなな伝統を受け継ぐワークウエアとは異なり、
     ミリタリー系の機能的な装備を自由な発想で展開した逸品。
頑強度: 「さすが ミルスペック」~と言いたいが、最近の AVIREX は壊れやすい。 
貴重性: ファッションモールなどにテナントとして入ることの多い AVIREXだが、
     数はそれほど多くないと思う。
入手性: 私の知る限り、各店頭に存在したのは半年程度。
着用感: 最近のデザインだからスリムに出来ていて、
     立ち座りの多い作業では少し窮屈。

「邪道なのにナゼ買ったの?」~ 昔のAVIREX に敬意を表して買いました。






さて、ここからは MADE IN JAPAN のオーバーオール。
これはサラッと行かせて頂く。
しかしながら、古き良きアメリカにインスパイアされ、
「温故知新」を極めた MADE IN JAPAN は本当に素晴らしい。

《JELADO ヴィンテージストライプ・オーバーオール》
様々な US オーバーオールを参考に造り出されたキレイな一着。
装備されたエプロンの使い勝手も満点。
どんな仕事をしても非常に便利なディティールが満載だ。






《STUDIO D'ARTISAN デニム・オーバーオール》
D'ARTISAN とは「職人工房」の意。
本藍カセ染め、セルビッチデニム、打ち抜きリベット、
バックシンチなど、ヴィンテージデニムのスタイルを
守り抜く貴重な日本のブランド。






《SUGAR CANE オーバーオール》
東洋エンタープライズの前身会社は三菱財閥系の商社で
生地貿易を行っていた「港商」。
戦後まもなく「スカジャン」を作り始め、テーラー東洋の
スカジャンは 1960年代、米軍 PX の納入シェア90%を占めた。
現在ではアメリカンカジュアルウエア全般の企画・製造を
展開し、実在したアメリカン旧ブランドの実名復刻も行う。
このオーバーオールも前述の今は亡き知人から購入。
胸当てにポケットがなく不便だったので、彼への想い出を込め、
彼のショップ名ラベルをポケットに改造して縫い付けた。





【リポート】
さすが日本の誇る優秀なブランドだけに製作上の欠点は見当たらない。
あえて欠点を言うならば「味」か・・・。
しかし、ハーレー か ホンダか?ポルシェ か スカG か? ~みたいな話で、
比べること自体がナンセンスでしょ?


さて、最後に登場するのは
《DIESEL デニム・オーバーオール》

1978年 イタリア・モルヴェーナに創業。
今では「お兄さん系の高級ブランド」として超有名。
私のようなオジサンには縁のないブランドだと思って
数年前までお店に入ることも無かった。
ところが、サンフランシスコで時間つぶしに入った
DIESEL ショップで「目から鱗」の発見をした。
本来 DIESEL は「ちょい悪オヤジ」をターゲットにしたブランドで、
日本では若者向けの商品をラインナップしているに過ぎなかった。
サンフランシスコ店では日本には無い興味深いアイテムが沢山あって、
それからは何かに付けて立寄るようになった。

そして 2012年の DIESEL のテーマが「ワークテイスト」。
この1年間だけだが(評判が悪かったか?)
アメリカのワークウエアを意識してイタリア風に解釈した
私好みのテーマが壷にハマった。
日本への納入は約20着という少なさで、アッという間に完売したらしい。

これがまた優れもので、「アメリカンワークスタイルのイタリアン」だ。
「これはアメリカ人の発想にないだろうな~」と感心したのが
胸当ての裏側にあるポケット。
きっと、オーバーオールをファッションとして捉えるイタリア人は、
肩からストラップを外したラフなスタイルも楽しむのだろう。
そんな場面を想定した「裏側ポケット」は、折り返した方向から
使えるように、ポケットが逆さまに付いている。
思わず「スッゲ~!」とつぶやいてしまった。

【リポート】
機能性: ほぼ満点に近い機能性。気になるのはイタリアブランドという部分だけ。
     第一、私にイタリアは似合わないでしょ?
頑強度: 縫製や各部の補強は極めて丈夫で丁寧に作られている。
     生地自体の耐久性は、触った限りでは必要充分な感じ。
貴重性: DIESEL には「並行輸入品」や『バチモン」も少なくない。
     実際、ネットではストラップ部分がシルバー色ではなく
     金色をしたモデルを見つけることができるが、「コレは?」・・・。
入手性: 本物は、まず入手が難しいと想う。
使用感: 出ました 100点満点!
     ただし、貴重性と価格を考えるとハードな作業はためらってしまう。
     アウターを着て胸当てが見えなければ、(パンツ部分だけ見えていれば)
     デニムに優れた DIESEL の「カッチョいいジーンズ」となる。
     だから、買物や散歩に出かける時に着ている。
     裏染めのパープルなんてナウイでしょ?








オーバーオール・コレクションの一部をご紹介したが、
こんな「ドーでもよいこと」の話を最後まで有難うございます!
私、小さい頃から工作が好きで、小学生の頃には既に一通りの工具を持っていた。
何でも自分で造らなければ収まらない性格は今でも同じ。
これらのオーバーオールも、私にとっては道具の一つではあるのだが、
それ以上に、「自分のライフスタイルに合ったウエア」として愛用している。

でも、私のように肉体労働者風のダーティー感(薄汚い?)がないと少し浮くかも・・・。
キチッと整髪されて色白なら、フォーマルなウイングチップの革靴や
ウールのジャケットなどに合わせ、ニューヨークハットを少し斜めにかぶったら宜しい。
実はオーバーオール、コーディネイトによってどんな雰囲気の人にも対応する魅力があるのだ。

「オーバーオールが似合いますね!」
そんなことを言われるジジイになりたいなっ!
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