『蒼天』という句集
金澤 ひろあき
京都は毎日36度を越えています。外出する気も起こりません。今年はついに、祇園祭に行かずじまい。そのかわり家にいて、借りた本などを読んでいました。
冠句の松尾明美先生から、『蒼天』という句集を借りています。これは久佐太郎師という、冠句に大きな足跡を残した人の句集です。
湖畔初夏 朝が来ましたオルゴール
湖畔初夏 トースト焼けるいい匂ひ
シガケース ぱちんと恋を射止めたり
宝石箱 いちどに春がこぼれ来る
たぶん昭和のモダニズムを句材に生かしたことが魅力だったのでしょう。最後の句、西脇 順三郎的な世界も連想しました。
走馬灯 五十を過ぎての早いこと
実感ですねえ。ただ句世界としては、川柳にも共通しそうですね。
他、連作集など、今の冠句が引き継がなかった新しい詩をも模索されていることに、可能性を感じました。そのうちの「貝殻の秘密」より
聴きたまへ
秋風の貝耳つけて
聴きたまへ
貝の奥なる潮騒を
君見ずや
貝の城なる騎士踊る
君見ずや
饗宴の幸福に酔へる頌歌ぞ
君見ずや
君若かりしシルエット
聴きたまへ
貝殻白き浪と戯れて
金澤 ひろあき
京都は毎日36度を越えています。外出する気も起こりません。今年はついに、祇園祭に行かずじまい。そのかわり家にいて、借りた本などを読んでいました。
冠句の松尾明美先生から、『蒼天』という句集を借りています。これは久佐太郎師という、冠句に大きな足跡を残した人の句集です。
湖畔初夏 朝が来ましたオルゴール
湖畔初夏 トースト焼けるいい匂ひ
シガケース ぱちんと恋を射止めたり
宝石箱 いちどに春がこぼれ来る
たぶん昭和のモダニズムを句材に生かしたことが魅力だったのでしょう。最後の句、西脇 順三郎的な世界も連想しました。
走馬灯 五十を過ぎての早いこと
実感ですねえ。ただ句世界としては、川柳にも共通しそうですね。
他、連作集など、今の冠句が引き継がなかった新しい詩をも模索されていることに、可能性を感じました。そのうちの「貝殻の秘密」より
聴きたまへ
秋風の貝耳つけて
聴きたまへ
貝の奥なる潮騒を
君見ずや
貝の城なる騎士踊る
君見ずや
饗宴の幸福に酔へる頌歌ぞ
君見ずや
君若かりしシルエット
聴きたまへ
貝殻白き浪と戯れて