パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

大島渚死す

2013-01-16 23:46:04 | Weblog
 今,坂本龍一のEテレの番組、「スコラ」を見ながら書いているのだが、映画音楽をやっていて、なかなかおもしろいのだが、劇場映画の発明者、リュミエール兄弟は案外長生きしていて、一人は、なんと1954年に死んでいる。

 私は映画の発明者と,ある時期,ともに生きていたわけだ。

 「近代」とは,ずいぶん身近なものだったのだな、と思う。

 映画と言えば、大島渚死す。

 昔、「戦場のメリークリスマス」でインタビューを申し込んだら,けっこう気楽にオーケーしてくれた。

 「朝生」のはじまるずっと前だったが、その頃から「強面」、「頑固」、「おっかなそう」という印象があったのに,実際は優しい、分け隔てのない、好奇心のあふれた人で、彼の作品は、大概見ている。

 チンパンジーを愛する女の話(ヨーロッパでつくった映画)まで見ている。

 外国でも,けっこう大きく報じられているようだが、いわく「日本の伝統に抵抗した」と紹介されているようだ。

 まったく今の日本映画、というか日本全体に欠けているのは、まさに「伝統に反抗する果敢な意識」なのだ。

 それなしに「前進」なんてないのに、全部、八方美人でやろうとしている。

 前進も,進歩もなくてもいい、現状を維持できれば、と考えている人も多いと思うが、「現状維持」は実際は「退歩」につながり、それは滅亡につながる。

 デフレがまずいのも,結局それで。

 大島渚は、「愛の渇き」を見逃しているのがちょっと残念。