パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

いろいろアレコレ

2012-12-03 23:35:01 | Weblog
 いつも天の邪鬼なことばかり言っているのも、なんなのだけれど、どうしても言っておきたいことがある。

 それは、「絆」とか「仲間」とか言っているが、諸悪の根源中の根源、「原子力村」ってのは、まさに「仲間」でしょう。

 もちろん、「だから仲間意識なんかくだらないのだ,もつべきではないのだ」などと言うつもりはないが、「絆」とか「仲間」という言葉はそういうマイナス面を含むのだということをわかっていないまま、「絆」とか「仲間」を言い募るのは、特に日本のような「同一言語同一民族国家」では大事を誤らせかねない、なんとも無責任な態度であると思う。

 シャープがピンチになっている最大の原因は、「亀山モデル」とやらに過大に期待しすぎたことは明らかだと思うが、この期待を「モノづくり大国のシンボル」扱いして、煽ったのも、まさにマスコミではないか。

 もっともそんな浅薄な報道論調にシャープが乗せられていたとしたら、それだけでシャープの今日の窮状も知れるわけだが、しかし数日前のニュースで、シャープの掃除機の宣伝が「過大広告」で注意処分を受けたと言っていて、シャープがいまだに掃除機をつくっていることを知ってびっくりした。

 とか言って,今テレビとパソコンの両方の受像機として使っているのはシャープ製で、性能は大変にいいです、とフォロー。

 小沢昭一死亡。

 20年以上前の今頃、四谷三丁目の交差点の自動販売機の前で、やや長髪気味のロングコートを着た初老の男性が、背を丸くしながらワンカップ大関を買っているのが目に入り、「このおっさん、なんかかっこいいなあ」と思ってよく見たら小沢昭一だった。

 小沢昭一の仕事では、役者以外に、日本の芸能の聞き書きの仕事を評価している人が多いが、私も,読もうと思って買ったことがある。

 しかし、熱意は伝わってくるのだが、その熱意に辟易して,10ページくらい読んでやめてしまった。

 要するに,面白くなかった。

 小林信彦がこの小沢昭一のことを、喜劇人は普通「上昇志向」が強いが,小沢昭一は「下降志向」が強く、そこが「面白くない」と言っていたが、そういうことだと思う。

 でも、かっこよかったことは事実。

 ああいう,かっこよさが、映画でも発揮されていると断然ファンになるのだが、今村昌平の第一作が印象に残っているくらいで、他はどうも。

 ラジオの「小沢昭一的こころ」も、わたくし的には今イチなのだな。

 それにしても、勘三郎も死ぬし。

 勘三郎は、もしかしたら勘九郎時代かもしれないが、テレビで「髪結しんざ」を見て、観客を自由自在に操る芸はまさに日本一だと思った。

 舞台役者は、あれくらいはするものなのかもしれないが。

 でも、昨日のNHKの追悼番組で、その「髪結しんざ」をやっていて、やっぱり評判のいい芝居だったんだと思ったが、あれは、河竹黙阿弥の芝居がすべてそうであるように、「台詞を聴く芝居」なのだな、と改めて思った。

 詐欺師の詐欺師っぷりを楽しむ芝居で、今だったら「オレオレ詐欺(振り込め詐欺)」の詐欺師っぷりを楽しむ芝居、映画があって当然だと思うが、それが全然ないのが、今の日本の異常なところだと思う。