パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

病いで得とれ

2010-01-21 14:25:15 | Weblog
 小林繁がなくなったと思ったら、今度は淺川マキが急死。

 黒ずくめで、日本のジュリエット・グレコとか言われていたんじゃなかったか。

 そのジュリエット・グレコは、82歳で現役バリバリ。

 シャア・アズナブルと名前が似てると話題になったシャルル・アズナブルはグレコ以上の年齢で、フランス政府から、どこかの大使に任命された。

 浅川マキは67歳だそうで、思っていたより年取っていたが(団塊の世代の真っ只中という印象だった)、でも若い。

 その記事の隣にはミッキー安川の訃報が。

 ミッキーは78歳くらいなので、まあ、驚くことはないけれど、体がでかくて傍若無人というイメージだったので、残念。

 やっぱり日本人は食生活がおかしいんだと思う。

 志ん朝の兄、馬生なんか、毎日、酒と刺身しか食べてなかったらしいが、刺身は糖尿病にもっともなりやすいとかきいた。

 あまりよく覚えてなくて、正確な情報ではないが、毎日寿司ばかり食べていたら、変になりそうな感じはする。

 糖尿になって透析を受ける羽目になっても経済的負担はわずかなので(父親が最後、数年間透析を受けたが、その請求書が安いので母親がびっくりしていた。もっとも、それ以外に金がかかったのだが)

 日本の場合は、健康保険証をもっていれば、高度な医療を安く受けることができる。

 それで、鳥越俊太郎なんか、自分がガン治療を受けたということもあるせいか、アメリカのオバマ大統領が公的保険導入に苦戦していることを評して、「日本に生まれ良かった。日本の健康保険制度は世界一」と言っていたが、アメリカが国民の医療にまったく金を出していないかというとまったくそうではない。

 ネットで知ったことだが、アメリカの予算、250兆円はほぼ医療費、社会保障、そして軍事予算の3等分でできている。

 つまり、アメリカ政府は日本の国家予算並みの医療費を負担している。

 対する日本の予算に占める医療費負担は、ほんの数兆円。

 そりゃそうだ。

 日本の健康保険制度は実質的に一種の頼母子講で、頼母子講のの講員が積み立てた金を、病気になったものが使うという仕組みで、政府支出はその支援に過ぎない。

 だから、数兆円ですんでいる。

 要するにアメリカの場合は、高度な治療を受けようと思ったら、私的保険に入っていなければ受けることができないが、簡単な治療ならただで受けることができる。

 ‥という仕組みではないのかな。

 よく、盲腸を手術しただけで数百万円かかったとかいう話を聞くので、実態はよくわからないのだが、少なくとも、インフルエンザのワクチンはアメリカでは無料、日本では一回5000円で2回の接種が必要だった。

 多分、アメリカで公的医療保険の導入に反対者が多いのは、高度な医療は金持ちのため、低収入のものはメディケアがあればよい、公的保険制度なんかは役人を太らせるだけだという理屈なのだろう。

 どっちを選ぶか、だ。

 はっきり言ってアメリカのほうが合理的だと思う。

 なぜなら、日本の健康保険制度が頼母子講から発展したということは、病気をしないと損という考えを内包している。

 食と健康に関しては、たしかに世界一といってもいい、中国人は、日本のサラリーマンが昼食に脂っこいラーメンを食べているのを見て、わざわざ病気になろうとしているようなものだと冷笑したという話を聞いたことがある。

 まさか、健康保険があるから、不健康な食生活をしても大丈夫と思っているとは思わないが、「食」は「娯楽」じゃないのだ、ということは肝に銘じるべきではないのか。

 病気をして「得」なことなんか何もないのだ‥‥。