パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

人工透析の研究

2008-06-19 16:29:04 | Weblog
 TBSラジオ、「アクセス」の最後に、麻木久仁子が「明日は渡辺万里さんです」とアナウンスしていた。ということは、要するに、渡辺万里と麻木久仁子のダブルキャスティングなのだ。

 私に言わせれば、どっちも同じで、どっちも嫌だ。まったくなんて、酷い組み合わせだと思うが、プロデューサーの好みなんだろう。

 人工透析についてウェブで調べてみた。

 日本の人工透析を受けている人数は、1996年で17万人。2004年で25万人。平均して一週間三、四回、四時間透析を受けるが、それでも、10年後の生存率は42%。五割を切っている。糖尿病が原因で透析を受けている場合は、生存率はさらに下がるらしい。

 この生存率は、一回の透析時間の長さに比例するようで、一回八時間にすれば、10年後の生存率は85%にはねあがるのだそうだ。(フランスの実験結果による)

 かかる費用は、一ヶ月に40万円から100万円が相場らしいが、価格がなかなか下がらない理由は、透析膜を一回使うごとに廃棄しているかららしい。そんなに透析膜って高価なのか! それで諸外国には、透析膜を再生して使っているところもあるらしいが、危険だということで日本ではおこなわれていないらしい。

 じゃあ、透析膜とやらはいったいいくらぐらいなのだろう。透析を一週間に三回受けたとして、月に十二回。かかった費用を40万とすると、40万割る12で、三万三千円。

 もちろん、人件費は捨象、機械本体の価格も減価償却済みということでゼロと見積もったので、透析膜そのものの値段は二万円くらいか……。(しかし、高性能フィルターは最近あちこちで見かけるし、一枚二万円もするフィルターなんて、ちょっと考えにくいが……)

 ところで、透析時間を増やせば、確実に生存率が上がるのに、四時間で止めているのは何故だろう。

 ほとんど週の半分を八時間づつ透析に使うのでは、受けるほうもたまったものではないが、しかし、生存率が倍になるとわかっていたら、我慢して、「八時間やってください」ということになるだろうが、それだと保険がもたないということなのだろう。

 というわけで、肝心の人工透析にあてられる保険の問題だが、法律で窓口負担金額の上限が決められているそうで、患者の窓口負担は一万円だそうだ。仮に週四回だと、月に十六回、一回に払う金額は……625円! 安い! もちろん、足りない分は保険から支払われる。

 というわけで、今の健康保険制度について、最近は「少子高齢化でもたない」と言われることが多いが、それよりも、この人工透析をはじめとする「高額治療」が一般化してきたせいではないのか。

 実際、数年前までは、マスコミ自身、そう言っていたはずだ。マスコミは自分の頭で考え、記事を書くということをしていないから、数年前に自分の書いたことをケロリと忘れてしまい、官僚の意図的誘導に簡単に洗脳されてしまうのだ。お前はニワトリか、と言いたい。(ニワトリを差別するな、か?)

 というわけで、問題は、要するに、高額治療を所得の差を問わず平等に受けることができるようにするか、それとも、高額治療はそれなりの代金を払える人でなければ受けられないが、低額の治療は基本的に無料で受けられるようにするか。この二つのどちらを制度設計の際に採用するかということなのだと思う。

 もちろん、日本の場合は前者だが、その場合、かなり高額の健康保険料を、治療を受けようが受けまいが、払わなければならない。しかし、近年の先端医療の進化で、それですら間に合わなくなってしまったので、(財務省の提案で)問題を「少子高齢化」問題に絡めて、あたかも、「新しい問題」が発生したと思わせるようにした、というのが実情ではないか。

 ちなみに、窓口負担率は、日本では平均20%弱だが、イギリスは2%、スェーデン3%、ドイツ6%、フランスは少し高いが、それでも12%弱。もちろん、イギリスもスェーデンもドイツもフランスも消費税が高いが、日本では健康保険料金そのものがメチャクチャ高くて、しかも窓口負担が20%とはどうなってるの!と言いたいところだが、それはまた後で。