どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

小津4K、鑑賞その2

2018年06月24日 18時15分00秒 | 映画
昨日に引き続き、本日は「東京暮色」を。

ロビーに展示されていた当時の古めかしいポスター...今の視点で見ると原節子さんと有馬稲子さんが母娘に見えちゃいますが、姉妹なのです(^_^;

「東京物語」という生涯代表作のあと、美しいドラマに疲れたのか、へそを曲げたのか...作風を一転ダークサイドへと突入し不倫をテーマにした「早春」を経て、さらにブラックな作品「東京暮色」...当時のキネマ旬報ランキングもベストテン圏外に落ち賛否両論を極めた曰く付き(^_^;

脚本の野田高梧さんとも喧嘩になったほど、黒歴史っぽい作品なので、4Kデジタルリマスターはもっと後回しにされるんじゃないかと思ってました。

これまでのフィルムやDVDでは全体的に暗く重いトーンでグレースケール的な階調幅が狭くて絵面も冴えない感じ...それだけで観るのが辛い作品だったのですが、やはり4K化は意味があるなぁと実感しかり!

台所に一人立って家事する原節子さんの場面、その窓の外には雪が降っているんですが、まずはこの雪の粒一つ一つがクッキリとして美しいなぁと感動すらします(^_^)

作品全体を覆う暗く重いトーンは変わりないんですけど、前述の階調幅が広くなり、部分的に色さえ感じるほどの美しさ...各シーンの照明の違いみたいなものまで感じとれました。

この辺り、ゲストトークで有馬稲子さんも言及。

照明にレベルが何段階かあって、その濃淡を決めていたのを思い出すほど見事に蘇ったとコメントされていました。

小津さんが巨匠監督だと意識せずに挑んだ作品だったなど、矍鑠とトークされた内容は取材記事で(^_^)

トークの最後に時間を決めて、観客にお姿の撮影を許可して頂いたのも嬉しい配慮でした(^_^)

話しながらも咳払いを頻繁にされていましたが、最近ノドにポリープができ除去手術をされたそうです。

宝塚出身で、どちらかといえば舞台女優の有馬さん、お歳を召されても背筋をシャンと伸ばす姿勢に矜持を感じました。

「今日、最後かもしれません」と仰ってましたが、まだまだお元気で我らファンのために想い出語りをお願いしたいと強く祈念しております!

そうそう、作中で有馬さん演じる明子にお節介叔母さんの杉村春子さんが見合い写真をもってくるのですが...。

「錦之助」の名前が出ていたのは今まで気づかずビックリしました...中村錦之助(後の萬屋錦之介)さんと実際に結婚することになるワケですが、この映画の4年も後の話しですからねぇ(^_^;


ロビーにはゲストトークの方々の本や出演DVD・BDが先行販売されてましたが...。

有馬さんの語りっぷりが面白く、まだまだ色々ありそうと思い、「わが愛と残酷の映画史」を会場で購入しちゃいました(*^o^*)

パラパラッと見た程度ですが、やはり有馬さん...どこか「東京暮色」の明子と重なるところがあるみたいですねぇ...。宝塚時代の有馬さんを私の母も見知っていますが、小生意気で好きじゃないって言ってます(^_^;

なんとなくですが、性格的なクセも強い感じだし、同姓ウケはしなさそう...。

ってなことで、小津ワールドのレジェンドお二人目のトーク含めて、大変たのしい鑑賞となりました(^_^)

次回は30日(土)の「浮草」、今回4K上映唯一のカラー作品です。ゲストトークは若尾文子さん。

この方も尖ったイメージの女優さんなので、どんなお話しが聞けるかワクワクです(*^m^*)




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