テムテムな日常

頑張れみんな!頑張れ自分!

無意識に潜む言葉の暴力

2006-08-08 | 介護職

高齢者に対する虐待があとをたたない・・・朝刊の社説にも例の事件のことが取り上げられていましたね。まったく・・・同じ職種として恥ずかしいかぎりですが、介護職のみなさん、ちょっと考えてみてください。

「便がたくさんでてよかったですね」
「あとひとくち、頑張って食べてください」

・・・こういった言葉がけ、普段何気なくしてはいないでしょうか。

介護の仕事について5年・・・福祉についても介護についても、それこそ心理学についてもまったく知識がなかったのが幸か不幸か、未だに「えっ?!と思ってしまう職員の言動が少なくないのですよ・・・。たとえば、排泄の場面。排便コントロールのため下剤を飲まされ、浣腸されあげく摘便で排便をすませる・・・。普通に考えるとこれだけでもかなり屈辱的だとは思いませんか?便がたくさんでて「よかった」のは職員の都合ではないですか?もちろん、利用者側もすっきりするかもしれませんが、排便のことを他人に、しかも年の離れた赤の他人に言われてうれしいでしょうか。排泄のことをあからさまに口にしないのは、ごくごく普通のマナーではありませんか?

食事だってそうです。「頑張って」食べるものではないはずです。食べたくなければ食べなくたっていいし、残したければ残せばいいんです。そんな利用者まかせにしてたら餓死するやん?!などという人もいますが、体が欲していないのに無理に食べる必要なんてないのです。極論になりますが「無理に生きながらえさせる」必要なんてないのではないですか?食べたくないものを無理に食べさせるのは虐待ではありませんか?

介護とは、できないところを補う・手伝うことです。視力のよくない人にとっての「メガネ」と同じなんです。メガネやコンタクトを利用している人は、それらを使うことによって、「スーパーマン」のような特殊な能力を得ていますか?一般の能力を10とすれば、メガネを使うことで自分の能力を10にあげる。ただそれだけのことなんです。介護職はメガネと一緒。6しか出来ない利用者が10を望む場合に、10になれるよう手助けするだけのことなんです。

無意識のうちに介護職員の言葉は暴力になっている場面が多いと思います。よく「ひとのためになにかしてあげたい」なんて言ってる職員がいますが、「してあげたい」なんて言葉が自然にでてくるような人間は介護職ではない。その気持ちは単なる偽善です。私達の関係は「してあげる」「してもらう」関係ではない。ここには上下関係なんてないのです。作ってはいけないのです。