テムテムな日常

頑張れみんな!頑張れ自分!

あの小さな手は探し物をみつけられたのか

2006-01-17 | 雑談

センター試験がようやく終わった。今まで読みたくても我慢していた本やマンガ、好きな音楽を耳コピして楽譜にする作業・・・いろいろなことを受験のために控えてきた。それもようやく終わる・・・私の志望大学は二次試験が歌と作曲だけ。楽勝だ。ちょっと早いけど、もう受験は半分以上終わったようなものだ。

センター試験の自己採点では、まぁ志望校の合格ラインには届いているはず。第一志望どおりに願書をだそう。明日の午前中に郵便局に行こう。

・・・そんなことを思いながら眠りに付いた私は、明け方ものすごい地響きのような音と振動で目を覚ました。台所の食器ががたがたと鳴った。ストーブの上においていたやかんはひっくりかえっていた。

地震?ま、大丈夫か・・・。

とりあえず、たいしたことはなさそうだったので、もう少し眠ることにした。

次に目が覚めたときに、ようやく事態が深刻であることを理解した。
テレビでは繰り返し、被災地の様子が映し出され、見るたびに死者の数が増えていった。

まるでそこは、日本ではないような感じだった。全くの異世界だった。

そして数日後・・・私は実際に、神戸の町を見ることになった。受験のため京都まで行かなければならなかったからだ。代替バスは神戸の町を揺れながら走った。

あちこちにブルーシートがかけられた家、がれきの山、たちのぼる線香の煙、花束、手を合わせる人々、がれきのなかからなにかを必死に探している幼い子供やお年寄り・・・。

のんきに受験なんかしてる場合ではないと思った。平和ボケしていた自分を恥じた。

・・・・・・・・・・・・・

その後大学に入学し、友達ができた。彼女の自宅は、地震で全壊したそうだ。

数年後、彼女が神戸の自宅に招待してくれた。きちんと区画整理され、真新しいアスファルト、新しい家が立ち並ぶ住宅街・・・。

「モデルハウスの展示場みたいやろ」と、彼女は笑った。

「この家には、なんの思い出もないんや」彼女はまた笑った。

 

もう11年もたった。変わったもの、変わらないもの、癒されたもの、傷つきつづけるもの、いろいろあるだろう。文明がこれだけ発達した世の中になっても、人間は、自然の力に勝つことはできなかった。そしてこれからもきっと、自然の力を超えることはないだろう。そして11年前の出来事も、いつか忘れられていくのだろう。なにごともなかったかのように

あの日の子供は、なにを探していたのだろう。探し物は見つかったのだろうか。