もう八回が終わったね。
いよいよ、中井貴一と緒形拳さんが対決する。でも、おじいちゃんは息子がガンだって知ってしまったわけだ。
俺は最後まで息子を許さないいんじゃないかって思っていた。でも、そこは親と子。やっぱり許してしまう。その理由をどうするか?家族をかえりみず、浮気を繰り返し、奥さんを自殺に追い込んでしまう様な男を、どう許すか?そこで鍵を握るのが岳君な訳だ。岳君がおじいちゃんに、お父さんを許してあげて、と言えば、許さざるを得ないもの。
でもそれまでは、絶対に許さない。だから、てっきり、ガツンと言うと思った。
こんな風に。
~グリーンハウス。
白鳥貞美「ご無沙汰してます。お父さん。」
白鳥貞三「・・・どのツラさげて、帰ってきた。」
貞美 「・・・」
貞三 「今頃になってノコノコと、まるで盗み見るかのように、帰ってきた。一生、富良野には足を踏み入れるなと言った筈だぞ!」
貞美 「それは分かっています・・・」
貞三 「ガンになって余命がないから、もう死ぬからと、そうすれば俺がお前を許すとでも思ったか?」
貞美 「・・・」
貞三 「冗談じゃない。このガーデンを見ろ!この花を見ろ!冴子さんが、どういう想いで、この花を育てていたか・・・・。種を蒔き、水をやったか?貴様にわかるか!?毎日毎日、貴様が帰って来ると、信じて、待っていたんだぞ。」
貞美 「・・・」
貞三 「だが、悔しいが・・・お前は、ルイと岳の父親だ。どんなに駄目な父親であっても、あの子達にとっては、この世でたった一人のな。」
~カットイン。ブツブツ独り言を言う白鳥岳(ガク)。
(石山 しゅう 「聞いたか?ガブリエルっての、あれはお前の父親だ。いやあ、びっくりした。マジびっくりした。あんなキャンピングカーで来てるとは思わないもんなあ。」)
白鳥 岳 「ガブさんは天使ガブリエル。ガブさんは天使ガブリエル。でも、ガブさんが父さん?ガブさんが父さん。父さんは死んじゃった。父さんは死んじゃった。でも、ガブさんは父さん。ガブさんは父さん・・・ガブさんが死んじゃう。ガブさんが死んじゃう。 僕が言ったから?僕が秘密をばらしたから・・・。僕が秘密をおじいちゃんに言ったから。ガブさんが死んじゃう。ガブさんが死んじゃう。僕のせいだ。僕のせいだ!僕のせいだ!ああああ~~~~!」
パニックになる岳。
~グリーンハウス。戻って。
貞三 「だが、悔しいが・・・お前は、ルイと岳の父親だ。あの子達にとっては、この世でたった一人の父親だ。」
貞美 「・・・」
貞三 「そして、俺にとっても、唯一の息子だ。どんなバカな息子であってもだ。どこの世界に、自分の子が、可愛くない親がいると思う?貞美。」
貞美 「父さん!」
イントロダクション。
追伸。
こんなセリフを言う緒形拳さんを、想像していたが、そうはならないみたいだ。でも、ガンと闘いながらガンの息子を看取る役を演技してると思うと凄いね。ウルウル来る。
それにしても岳君役の神木君は良いねえ。うまいや。中井貴一の演技を凌駕して余りある。
倉本總の脚本は、駄目な人間を書く。駄目な人間が何とかしようと努力するさまを書くみたいな。そこがいいんだ。「善人なをもて往生をとぐ、いわんや悪人おや」みたいなさ。