TAMAちゃんダッシュ

愛犬タマとマル民の私の毎日です

老若男女

2006-02-28 | 
 ラッシュの時間ではありませんでしたが座席はほぼ埋まっており通路に立っている乗客が多くありました。偶然に同じ駅の同じ扉から一組の老夫婦が乗り合わせました。私のすぐ前で列車に乗り込みましたのでその様子がよくわかりました。年齢は少しばかり夫の方が上でどうやら足が不自由な様子。扉が開くと同時に妻の方は人を掻き分けるようにつかつかと進み、夫の方は乗客の流れに任せるかのように乗り込み出口付近のつり革につかまっていました。
 次の瞬間、我先にと乗り込んだ妻の方が少しばかりのスペースをみつけ、少し離れてあった夫をここだと呼びつける。そのスペースには一人座るのがやっとでしたが彼女は何とかそこを確保しました。しかしその状況を何となく見ていた夫は妻の呼びかけになかなか答えようとしません。そうしているうちに右隣にいた小さな子ども連れの若いお母さんが自分もかんり荷物があったというのにその場所を譲りました。そこまですると居心地が悪そうではありましたが俯きながらも座席を譲ってくれた母親に礼を言ってそこに落ち着きました。

 不思議な光景。でも当たり前の光景。

 一部始終を見ていた私はある程度の起こりうる筋書きを予想していたとはいえ、こんなにもピタリとはまるなんて…ちょっとした騒ぎが起こると騒ぎ立てることはしなくともザワつくことがあるだろうが、その場面を途中から気付いた人や席を譲った子どもでさえも黙って見ていたのである。それが当たり前の光景だと皆一様に感じたのか声も発することのできない状態だったのか…誰も違和感を覚えない静かな時間がしばらく続きました。

 老夫婦が咄嗟に見せてくれた出来事はその年齢の男女の様子をよく表現していました。
 女性はいくつになっても目前のことに一生懸命。自分を犠牲にしても他のことを顧みることもなく気持ちのままに行動する。
 男性はまず周囲の状況を確認して耐えることは耐えるのだ。人の目を気にかけながら耐えられることはギリギリまで耐える。年若かったら妻の意見に耳を貸さずに怒り出していたかもしれないが、自分の身体の状態がどうなのかということを認識していたのと、一生懸命になっている妻の気持ちがわかったのでしょうね。

 この世界には老いも若きも、男も女も個々の場面に応じて瞬時に間違えることなくそれぞれの役割を果たしながら生きている。自身もそこに生きている一人である限りその場にふさわしい行動を続けていかなくてはならないと感じることのできた出来事でした。まだまだ日本は健全な社会です。