「彼女だよ！」と妻の携帯に写メが入った。初めてのことだ。「いったいどうしたんだろう？」と妻と私は一瞬固まった。いても、絶対に教えないと言っていた息子の写メに驚いたからだ。その後、妻が聞き出した情報によると、転職する直前に知り合ったらしい。しかし、すぐに転職して九州に引っ越したから、遠距離の付き合いのようだ。息子は３２歳、独身。いつになったら結婚するのかとやきもきしたところだったから、なおさら気になった。付き合うのに遠距離だと、費用も掛かるし、大変だろう！と、心配するのは親心。そこで、「貸してある金返さなくていいから」とメールしたら、妻に、「父ちゃんがまた変な、訳のわからないこと言って来た。」とチクリのメールがあった。妻から「変なメール入れたんだって？」と、聞かれ、貸してある金返さなくて良いとメールしたと答えた。「借金しかないのに結婚しようと言ったあんたと違って、ちゃんと考えているから、余計な心配いらないよ！」といやみを言われた。
確かに、私は当時、一文無し、洋服屋に借金があった。それと奨学金の返済もあった。でも、それがなんだってんだ。結婚式なんて親がやってくれるものと思い込んでいたし、今も、そう思っている。若いのにちまちまと貯金なんかしているのはそれこそ問題だと思っている。まあ、結婚してからは、自活し、経済的にある程度の余裕が必要だが、一人のうちから考えることじゃないと思う。確かに、息子はできた息子かもしれないが、だからこそ心配なところもある。「いい若いもんが貯金なんかしてるんじゃないよ！」、「ばっかじゃないか！」、「真面目過ぎるやつはもてないんだぞ！」、「だいたい間違いを犯すから結婚するわけで、まじめに慎重に考えたら、ほとんどの人は結婚しないだろうさ！」等々、息子に色々言いたくなった。しかし、また、チクられると、面倒なので、まだ、メールは入れていない。
