にれっちのつれづれ日記

本州最北端の小児科医にれっちの独り言(^^)

「様子をみる」と「放っておく」は何が違うの?

2017-05-09 09:18:21 | 病気のはなし
「咳と鼻が出ていたので様子を見ていたのですが、良くならなくて・・・」
いわゆるカゼの診察の時によく聞く話ですが、具体的にどうしていたのか尋ねると、その中身は千差万別です。
「熱もなくて、元気も良かったので、特に何もしていませんでした」という人がいたかと思えば、ある人は「鼻を吸うようにしていました」ですし、またある人は「市販の薬を飲ませていました」だったりします。
この三者で考えたとき、どの人の対応が正しいでしょうか??
答えは「これだけでは判断できない」になります。
症状が軽ければ慌てずに自宅で様子見すること自体は、とりあえずは正しい対応なのですが、何を観察するか=何日位で症状がどう変化すると予想するかがハッキリしていないと、ただ見ていただけ=放っておくになってしまいます。
風邪など通常の急性疾患で数日で症状が改善していくだろうと考えたのであれば、熱が出てない、元気が良いというのは、様子を見るのを止めて急いで受診を考える必要はないという目安にしかなりません。
判断の基準はあくまでも予想通りに症状は改善してきているか?なのです。
そう考えると、もし悪くもなっていないが良くもなっていないのだとしたら、最初の見立て(数日で良くなってくるだろう)が外れたわけですから、見立て直しをする必要があります。
診察して処方された薬を飲んで数日見ても症状が良くなってこないのに、「同じ薬出しときますね」では納得できないでしょう?
ですから特段の根拠もないのに「熱もないし、元気もあるから、今度こそは数日で良くなるだろう」ではダメなのです。
ただ見ていただけの様子見だったのなら、部屋を加湿したり、鼻を吸ってやったりなどするのでも良いかもしれません。
それくらいは既に行っていたよというのなら、保育園を休ませてあげることを考えるのも一つの選択肢かもしれません。
もし「どうしたらいいかよくわからない」ということならば、迷わず医療機関を受診して相談しましょう。
そうして「見立てを立てて、それを評価をし、適切に対応する」ことを繰り返していくうちに、親がその子専門の医療者に育っていくのだと思います。