明日へのヒント by シキシマ博士

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「ゆれる」 藪の中から…

2006年10月23日 00時00分30秒 | 明日のための映画
いつも同じことばかり言っていると、〝狼と少年〟の物語のように、肝心な時に信じてもらえないかもしれませんね。
でも…、ここのところ邦画を絶賛してばかりの自分が、また邦画を絶賛してしまいます。
だって、本当にスゴイんですよ、西川美和監督作品「ゆれる」は。

この映画の内容については、他の作品以上にネタバレを控えたいです。
事前の知識に影響されずに、自分の思考を働かせて感じ取らないと勿体無い。そんな作品だからです。
それに、仮に画面に映し出されることを克明に綴ったとしても、それでこの映画のことを語り切れるとは思えません。
言葉で表せない登場人物の心理を感じ取ることに、この映画の醍醐味があるんだと思います。
というわけで抽象的なことしか書けないですが、少しだけ作品概要を。

東京で気ままに派手な暮らしをする弟(オダギリジョー)と、田舎で様々な厄介を背負いながら地味に生きる兄(香川照之)。
正反対だけれどそれで上手くバランスが取れていた。何ごとも起こらないうちは…。
しかしある出来事をきっかけに、それまで心の底に沈めていた本根が露になる。
兄弟ゆえに露骨にわかってしまうこと。兄弟ゆえに許せないこと。でも兄弟ゆえに…ゆれる思い。
果たして、絶ち切られた絆の再生は可能か…。

俳優の演技も監督の演出も申しぶんないです。
予算や時間や技術がいくらあっても、こういう作品が撮れる監督はきっと少ないと思います。深い深い人間観察があってはじめて作り出せる作品だと思うから。
普通こういう題材は、激しく感情をぶつけあうことで表現するのが常套手段だと思いますが、この映画では殆どそれをしません。それが逆にすごい。緊張感があります。
いったい兄の本音はなんなのか。それを暴きたい気持ちと、でも、そうすることで自分自身のことも露になってしまうことを避けたい弟の気持ち。
そんな…弟と兄の〝ゆれる〟思いが観る者にも伝わってきます。

似たように姉妹の葛藤を描いたものに、昨年公開の「イン・ハー・シューズ」がありますが、心理の捉えかた・描き方の深さでこの作品に遠く及びません。

人間の心の底にまで踏み込む、息が詰まるような緊張感のある作品。
でも、最後までぐいぐい引き込まれてしまうのは、きっと監督も俳優も観客も、決裂よりも再生を信じているからなのでしょう。
藪の中から探り出そうとしているのは、事実よりも〝真実〟
これほどまでに、人間心理の深いところを客観視できる機会は滅多に無いと思います。
そういう意味でとても意義ある作品。
やはり今の日本映画はスゴイ! 本当ですよ!!

ゆれる

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4 コメント

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これぞ邦画の代表格! (こっちゃん)
2006-10-23 01:03:40
凄い映画です、これは。

シキシマ博士も

やっぱり感動ですね!



ここまで人間心理を映像化した作品にしばし出会っていませんでした。

押しつぶされそうな息苦しさと

魂を根こそぎえぐりとられたかのような心境で帰ってきました。



素晴らしい映画です。



ラストの余韻が忘れられません。
Unknown (やっぱり邦画好き…)
2006-10-24 05:38:50
コメントおそくなりました。

こちらこそいつもコメント&トラックバック頂き感謝です。



そして1周年おめでとうございます。



「ゆれる」は心理描写の描き方、映像での見せ方、とても素晴らしいですね。映画ならでは表現で見る者をぐいぐい引きずりこんでしまいますね。本当に西川監督は素晴らしいと思いました。





>こっちゃん (シキシマ博士)
2006-10-24 10:08:30
こっちゃんの感想も気合いが入ってますね(笑)



本当に見事な心理描写。滅多に出会えない傑作でした。

ちょっと遠かったけど、劇場に足を運んで良かった。

この凄さはテレビじゃ味わえないですからね。



重苦しいけれど、ラストに希望が見えた気がします。
>やっぱり邦画好き…さん (シキシマ博士)
2006-10-24 10:17:27
激しく感情をぶつけ合うより、息を殺すように相手の心理を探り合う兄弟の姿に引き込まれました。

西川監督の洞察力は凄いですね。



これからもよろしくお願いします!

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