スパニッシュ・オデッセイ

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コスタリカの田舎のトイレ

2014-01-31 11:40:57 | コスタリカ
 コスタリカに限らず、中南米の町のトイレは基本的に洋式で珍しくもなんともないが、田舎はやっぱり面白い。1980年ごろのことであるが、コスタリカの田舎には電気や上下水道、さらにはガスも通っていないところもあった。以下は、女房殿の実家があるリモン州グアピレス近辺に住むおじさんの家の話である。

 トイレは屋外に作る。田舎のことゆえ、土地は十分ある。裏庭に穴を掘って、そこに爆弾を落とすわけである。水道がない(井戸はあった)ので、当然水洗にはできない。かつての日本も田舎では同様に屋外にトイレがあったものだ。日本では排泄物をためておき、それをくみ取って肥料にしていたのに対し、コスタリカでは汲み取らないのである。いくら田舎とはいえ、やはりコスタリカのトイレは洋式である。穴は日本のものに比べると直径が小さいが、その分、深そうである。爆弾投下用の穴を残し、周りをコンクリートで固める。最後に木製の丸い洋式トイレの便座を作る。コスタリカでは、中国や古代ローマと違って、人に見られるとやっぱり恥ずかしいので、簡単な小屋を作る。そして、腰かけて、落ち着いて作業するわけである。この作業をスペイン語では obrar「作品を作る」とも言う。名詞形は obra「作品」(英語では opus だが、この複数形が opera というわけだ。)。「作業すること」が「オペラ」と関係があるとは感慨深い。
 さて、穴がいっぱいになったら、穴に土をかぶせて蓋をする。そして、他の場所にまた穴を掘るわけである。いくら広い裏庭とはいえ、いつかはすべてがトイレの穴で埋め尽くされてしまう。そうなったら、どうするかという疑問が当然起こる。答えは、「昔掘った穴を掘り返して、また使う」である。年月がたてば、作品群は黒くなって、原形をとどめていない。もちろん、においもしなくなっている。掘り起こした作品群は栄養たっぷりで立派な肥料になっているのである。というわけで、田舎のトイレは永遠に循環していくのである。
 しかしながら、このトイレは10人家族で、何と5年ぐらいももつのである。穴の底に生息する微生物が作品を分解するので、体積がぐっと小さくなる。ということで、実際問題として、永遠の循環トイレということはまずないのであった。

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