寡聞にして「音訳」ということばを私は知りませんでした。10月の最終日に出版社から「読者カードをお届けします」というメールが来て、なにげなく目を通していたらこの「音訳」という熟語にぶっかったというわけです。
長崎市の書店で私の「ドラードの生涯」を買ったその人は感激して「音訳」を思い立って家事の合間に少しずつ進めて何年かかかって仕上げ、いま、図書館に来る目のご不自由の方に喜んでいただいている内容でした。
なるべく平易なことばを選んで書くようにはしているつもりですが、耳から聴いてくださる方を意識して書いているわけではありませんし、横文字の名前や地名もたくさん出てくるだけにさぞかし読んで吹き込むことは大変だったと思われました。
カードにあった電話番号にさっそくお礼の電話をしました。受話器からひかえめで慎ましやかな中年女性の恐縮しきりの声が伝わってきました。やはり、ドラードの生まれた諫早にお住いのかたでした。
ちょうど来週大阪で「コンスタンチノ・ドラードとキリシタン版」の講演の予定があって、準備をしているときだけにその偶然に驚きながら、こういう読者がおられることに感激し、喜んでいる私です。これは、イラストレーターの杉浦範茂さんの手になるドラードの顔のイメージスケッチです。
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