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NPO法人「ドネーションシップわかちあい」事務局ブログです

クロスベイス 宋さんのお話会&交流会

2019-12-28 15:46:02 | ドネーションシップ
※ドネ、会員交流掲示板より
12月14日ドネ会とお話会の報告です

◆◆ クロスベイス 宋さんのお話会&交流会(午後4時~) ◆◆

昨年ドネから寄付させていただいた
特定非営利活動法人クロスベイスの代表理事 宋悟(そん お)さんをお招きして、
https://www.cross-base.org/
寄付先現場のお話を聞かせてもらいました。
以下、そのお話の内容を要約して紹介させていただきます。

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◆特定非営利活動法人クロスベイスは大阪市生野区の御幸通商店街、生野コリアタウンの中にあります。
私は在日コリアンの3世ですので、昨年生まれた私の孫は在日コリアン5世ということになります。
私は子どものころから大学生になるまでは自分が在日であることは“隠さなければならないこと”という気持ちですごしていました。
あれから40~50年が経ちましたが、今の在日コリアンの子どもたちがおかれている状況も当時と大して変わってはいないと感じています。
むしろ部分的には露骨なかたちで差別や偏見、憎悪やヘイトスピーチなどが強まっています。

◆2017年の4月に特定非営利活動法人クロスベイスを立ち上げました。
「差別と貧困をなくし、ともに生きる社会をつくる」というビジョンを掲げての発足です。
今の時代、格差社会であることの問題と、民族問題をかけあわせて考える必要がでてきています。
いかにして差別や貧困から脱していくのか、そしてともに生きていける社会をつくっていけるのかが課題となっているのです。
クロスベイスの事務所があるコリアタウンは今、第3次韓流ブームを迎えています。
土日にコリアタウンに来ているお客さんの約6~7割は、10~20才代の女子で、商店街全体が揺れるかのような盛況ぶりです。
30年前ならキムチやチジミや豚肉などの“食材”が並んでいたコリアタウンも、今はテイクアウトできる食べ物や、Kポップのグッズやコスメのお店が増えてきました。
こうして賑わうコリアタウンがある一方で、その周辺では様々な社会問題があります。

◆大阪市生野区では、子どもの貧困がすすんでいます。
小学校・中学校で就学援助を受けている子どもたちは、生野区では約35パーセントになります。
つまり3人に一人は就学援助を受けているわけで、これは全国平均の2倍以上です。
区内でも地域によっては、もっとその比率が高いところもあります。

生野区は、多国籍・多民族化もすすんでいます。
大阪市生野区の外国籍住民比率は20%を越え、区民の5人に1人が外国籍住民です。
この比率は、全国の都市部では第1位です。
生野区の外国籍住民は60カ国以上で、2万8千人を超えました。
生野区に住む外国籍住民の内、約8割は在日コリアンですが、その比率は下がりつつあります。
2番目に多いのが中国の人、3番目はベトナムの人です。
最近は特にベトナムの人が急増しています。
つまり、生野区は“日本の人たちと在日コリアンが一緒に暮らしている街”から“それをベースにした多国籍・多民族の人たちが暮らす街”へと大きく変わろうとしている過渡期だと言えるでしょう。
これは日本社会の近未来を集約したものかもしれないと思います。

また生野区では、猛烈な少子化も大きな問題となっています。
生野区の西部地域には12の小学校あるのですが、数年先には縮小・再編・統合して4校まで減らす計画が立てられています。
コリアタウンの横にも御幸森小学校という大きな学校がありますが、全校生徒はたったの80人を超える程度です。
今年の卒業生は6人だけでした。

◆生野区はこうした“地域の社会問題”が凝縮した場所でもあります。
そのなかでクロスベイスは、まずは子どもたちの学習サポート教室を始めました。
最初は一人から始まり、2018年で25名、今は37名の小・中学生が通って来ています。
コリアタウンは生野区の西部にあるので、今年(2019年)12月に新たに東部にも教室を作りました。
子どもが近くで学べるように、区の南部にも拠点が必要だと思っています。
クロスベイスの活動をする上で一番大切にしている価値観は「自分のことは自分で決める」ということです。
 このことは人権の基本だと思うからです。まただからこそ、各人の自由に折り合いをつける力も必要になります。今の世界が抱える「分断の深化」という課題とつながっています。
 だから、クロスベイスの大人は子どもたちに対して、原則「命令・禁止・比較」はしないようにしています。子どものモチベーションを下げるからです。

学習サポート教室には、貧困家庭の子どもたちや、不登校の子どもたち、そして在日コリアン以外にもニューカマーの子どもたち(8か国にルーツをもつ子どもたち)も来ています。
日本・韓国・中国・ベトナム・フィリピン・ネパール・スリランカ、タイ。
難民の子どももいます。
両親は収容所にいたのですが、現在は仮放免中です。
仮放免ですので何の公的に法的保障もありませんし働くこともできず、他の支援団体からの支援でなんとか暮らしています。
その子はうちのサポート教室で学び、母親は働けないので他団体とタイアップするなかで母親得意の料理を活かす機会を作っています。

また学習サポート教室とならんで始めたのが体験活動です。
勉強ばかりではなく、実体験を通して見えてくるものも大事にしています。
昨年は子どもたちを連れて茨木市にある立命館大学へ、今年は近畿大学の学園祭に行きました。
こうした子どもたちが大学に行くか行かないかは別として、
「広い世界、異なる他者、未知なる自分」を発見する機会にしたいという思いです。 今後は子どもたちが、より体験活動の企画・運営に参加できるような仕組みや内容を作りたいと思います。

あと、クロスベイスではまちづくりにも関わっています。
先ほど話に出たコリアタウンの横にある公立の御幸森小学校が、再来年の4月には統合されて廃校になります。
生野区は長屋住宅が多いので、防災・減災の観点からこの大きな小学校の建物はそのまま残すことになっています。
これをどう役立てていくのか、生野区ではまちづくり構想のなかで“みんなの学校”というコンセプトを打ち出しています。
“跡地検討委員会”の委員として私も参加していて、多文化共生のまちづくりに寄与したいと思っています。
生野区が民間事業者に土地と校舎などを貸して、賃料を取り“みんなの学校”というコンセプトで活用する制度設計です。
クロスベイスも参加しているのですが、「IKUNO・多文化ふらっと」という市民団体を発足させ、そこに“多文化共生センター”を作るように提案し、働きかけています。
地域のしんどい家庭の人たちや外国籍の人たちなどを、社会的に包摂していくような視点は絶対に必要だと考えています。
そうした意義を持つ“多文化共生センター”を収益事業も同時に運営しながらとしてどう運営・経営していくのか、今後の課題です。
参加エントリー会議に来ていた企業のなかには、多国籍のシェアハウスを提案しているところもあり、そういったところとタイアップすることも考えています。
また生野区には大学が無いので、大学のサテライトを誘致すれば、○○大学人権問題センターなどとして、多文化共生・子どもの貧困・少子化など、生野という“課題先進エリア”でこそ学べることがたくさんあります。
大学側や学生がそうした課題を授業や研究のテーマにして、地域の住民や行政とともにすすめることもできるでしょう。
あとアイデアとしては、収益事業として校庭を芝生広場にしてコリアタウンの食材でバーベキューをしたり、またはKポップのプロモーション会社がコリアタウンにあるので、体育館をKポップのコンサートホールにすることなどもでています。夢は大きく、これからが本番です。
「言うは易し、行うは難し」ですが。 生野区の区長さんが、市政の3つの柱のひとつに“多文化共生”を掲げているので、今がいいチャンスだと思っています。

◆全国各地でニューカマーの子どもたちがどんどん公立の学校に入ってきています。
そこで問題になってきているのは、日本語指導の必要な子どもたちが増えていることです。
最新のデータによると、日本語指導の必要な子どもたちは全国で5万人以上いるそうです。
その内訳は外国籍の子どもも増えていますが、日本国籍にもかかわらず日本語が十分に話せない子どもたちも増えていて、日本国籍なのに日本語指導が必要な子どもたちは約1万人を超えています。
そのなかには親とともに海外赴任からの帰国した子どもたちや、あと国際結婚カップルの子どもたちも多くいます。
日本では全国平均で、結婚するカップルの29組に1組は国際結婚です。
特に東京では16組に1組が国際結婚です。

◆日本は少子化の影響で、外国人が増え続けています。
今や日本で暮らす外国人の人口は、283万人といわれています。 (旅行者は含みません)
大阪市の人口が273万人なので、それよりも多いのです。
今年2019年の4月に日本政府は海外からの単純労働の労働者を受け入れる方針を示し政策を転換しました。
新たに14の職種で、5年間で34万人は増えることを政府は想定しています。
“労働力”というモノが来るのではなく、血も出れば涙も出る“人間”が来るのですから、教育・医療・住居・福祉などの生活支援の課題がすでに深刻です。

◆今の日本の制度では、外国籍の子どもたちは小・中学校の義務教育の対象ではないのです。
ではどういうスタンスなのかといえば「外国籍の保護者からの要望があれば、その子どもを日本の学校に受け入れる用意はありますよ」という恩恵的な考え方なのです。
そうなると最近来たニューカマーの人たちは、非正規雇用として工場などで働く過酷な労働者になりやすく、生活することで精一杯になり、子どもの就学にまで意識が向きにくくなりがちです。
また日本語もよく分からないなかでは、学校に行かせない子どもたちがでてきます。
この問題は国内の支援団体がずっと指摘してきたにもかかわらず、ずっと実態調査のデータがありませんでした。
最近になってやっと文科省が全国の外国籍の子どもたちの就学状況をアンケート調査しました。
その結果、全国で約2万人の外国籍の子どもが未就学の可能性がある状況にあることが分かりました。
国籍がどうであれ、どこに住んでいようと国際人権基準から言っても、子どもが教育を受ける権利はあるのです。

また2017年に法務省が外国人生活実態調査を初めて行いました。
外国籍をもっている外国人が2016年から過去5年間にさかのぼって、国籍を理由に住宅への入居差別を受けた人が約40%もいました。
同じく、就職差別を受けたという人が25%もいました。
今日のお話の最初に私は「私は子どものころ自分が在日であることは“隠さなければならないこと”という気持ちですごしていました」と言いましたが、それから40~50年経った今でもその状況ほとんどは変わっていないのだということを、これらのデータが物語っています。
日本全体が多国籍化・多民族化していくなかで、今後こうした多くの問題をどう改善していくのかが、更に大きな課題となっていくでしょう。

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以上、特定非営利活動法人クロスベイスの代表理事 宋悟(そん お)さんからのお話でした。
ありがとうございました。
その後、午後6時からの交流会では、宋悟さんとも歓談しながら和やかな時間を楽しみました。

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