A Day in The Life

主に映画、ゲーム、同人誌の感想などをコンクリートミキサーにかけてブチまけた、ここはいいトシしたおっさんのブログ。

塚口サンサン劇場「モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン」見てきました!

2024-02-07 23:54:18 | 映画感想
 はい、塚口サンサン劇場の上映スケジュールがえらいことになってるのでもはやなんの余裕もありません。寒い寒いとか言って引きこもってたら1週間なんて光の速さでダッシュしてしまうので油断は禁物。
 というわけで今日見てきたのはこれ!
 
 
 例によって例のごとく内容の詳細は全然調べずに、予告を見たときに心の妖怪アンテナに感があったので見てみることに。
 精神病院に12年に渡って収監されていた少女モナ・リザ。それまでは大人しく無抵抗で収監されていた彼女は、ある日の赤い満月の夜、突如として他人を意のままに操る能力に目覚めます。その力で病院を脱走した彼女は、犯罪と享楽の街ニューオーリンズへとたどり着きます。その能力で次々と騒ぎを巻き起こすモナ・リザと、彼女を取り巻く人々の運命やいかに?
 本作で目を引くのは、目にも眩しいサイケデリックなネオンの光渦巻くニューオーリンズの街並み。その中で、名画のように微笑むことのないモナ・リザの姿は独特の存在感があります。彼女を取り巻く人々は、ある者は好奇心から彼女に近づき、ある者は彼女を逮捕しようとし、またある者は自分のために利用しようとする。そんな人々の欲望の渦に、モナ・リザは埋没するかに見えて逆にそれらの人々の運命を狂わせていくのが印象的。
 モナ・リザの能力は「目を合わせた他人を自由に操る」というものですが、作品全体を見るともう直接的に操られている人だけでなく、彼女に関わった人々全員が結果的に彼女の存在で行動を歪められていたように思います。
 特に、作品全体を通して彼女に好意的に接してくれたDJの青年ファズと、モナ・リザを拾って金儲けに利用していたストリッパー・ボニーの息子チャーリーのふたりも、一見自分の意志でモナ・リザを助けているように見えて実は……という気もします。
 そもそも本作の主人公であるモナ・リザの言動からは、自発的意志がどこまであるのかよくわからないんですよね。自らの意志で周囲の人々を利用しているのか、それともただ単に条件反射的に行動しているだけなのか。この独特の「得体のしれなさ」を増強しているのが彼女の風貌でしょう。本作の主人公であるモナ・リザを演じるのは韓国人俳優のチョン・ジョンソ。ニューオーリンズの街並みの中にあってアジア系の彼女だけがくっきり浮いているビジュアルが鮮烈です。
 また、本作の監督であるアナ・リリー・アミールポアー監督は、ポスターによれば「次世代のタランティーノ」と目されているようですが、本作はなるほど確かにタランティーノ的な諧謔とシニカルさを感じました。
コメント
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