・異形写本(神鳴・JTR・比良坂堂)
バロックに登場する敵である異形をテーマとした、3名の作者さんによる合同本。
では、収録作品ごとに感想を。
・KARTE
バロッカーなら、「この異形はもともとはどんな人間だったのか」ということは1度は妄想したことがあると思いますが、本作はまさにそこに焦点を当てたコーナー。
全21種の異形の元の姿をイラストと短文で描いています。
カトーが元サラリーマンと言うのは半公式バロック(でいいのか?)なんですが、それ以外の異形の過去も「なるほどなー」だったり「こう来たか!」だったりで楽しく読ませていただきました。
個人的には砂時計型のボディにも意味づけをしているコクトーヘッド、まさかの元重役のクレーマーおじさんだったアリエス、タロットが「恋人」で二体一組なのが皮肉としか言いようがないニクリとニクラ、欲情攻撃と「嘘つき」の意味がある名前からするとなるほどライア、「壁」からの発想が見事なブブゲル、若気の至りなセブンティーンがお気に入りです。
・誰が為の楽園
マルクト教団の面々と異形とはやはり切っても切れない関連性があるわけですが、本作は上級天使に従うほかなかった天導天使の葛藤を描いています。
コミック版での天導天使が徐々に歪んでいく姿も併せて考えると、天導天使の葛藤もより深く考えられます。
・ジンバルロック
非常に珍しい、呪葬天使視点での小説作品。
「回転」に強い執着を持つ呪葬天使と同じく、本文もぐるぐる堂々巡り的な構成になっているのが面白いです。
・Codex Arcana
これまた珍しい、モブ教団員視点でのお話。
営業スマイルモードの上級天使がなんだかすごく新鮮。
「赤と白」って上級天使がらみだと象徴的なカラーですね。
今日はここまで。