間違いじゃないです。
ほんとに終わってないんです去年の紅楼夢レビュー。
だから光り物はしまって!!
・ 悲しきかなや身は籠鳥 再演(折葉坂三番地)
紅楼夢で大量に既刊を手に入れたのでまだ新刊を読んでない折葉さんの本作は、まさに圧巻の戦国絵巻。
物理的にも圧巻で、ページ数にして464ページ、厚さはなんと約2センチ!
ぬえのラストスペル「源三位頼政の弓」から着想を得たという本作は、歴史のうねりに翻弄される源頼政と、京の都を襲った正体不明の怪物ぬえの長い長い物語。
ほとんど大河ロマンレベルの歴史考証と情報量で構築された本作は読み応え十分で、頼政の生涯を余すところなく描いています。
正直なところ、歴史の説明パートがかなり多いため話がなかなか進まない印象もありましたが、やはりひとりの人物の人生とそれを取り巻く歴史の流れを描くにはこのやり方じゃないといけなかったんだろうと思います。
もしかしてこれでも文字数切りつめてたりするんだろうか。
以前既刊をレビューしたときにも書きましたが、このサークルさんはとにかく語句のチョイスがいい。
摂関藤原家の権力を「みやこに蔓延る藤の蔓」と表現する辺りは読んでて悶えるくらいにいい。
徹底して大河ロマンを意識しているんでしょう、地の文もテーマに合わせておそらくは古めかしい書き方を選んでいる感じ。
それがまた作品の雰囲気を高いレベルで統一しています。
宇治橋でのラストバトルは激しい合戦が目に浮かぶようで、そこから続くラストシーン、そしてエピローグの流れはたまらなく美しい。
特にエピローグ、ド王道というか作品のテーマから言ってこのラスト以外考えられないシーンを余すことなくきっちり書ききっていて、すっぱりきっちり見事に作品を終わらせることに成功していると思います。
終わりよければすべてよし、ラストシーンを上手く書けると作品全体のレベルが上がるという好例だと思います。
読み終えて思いましたがこの作品はある意味恋愛小説ですよね。
今日はここまで。