Sotto voce (^-^)

楽しみを待つ事は、それ自体が楽しみ。
そんなカンジの日々を綴ります♪
Non vedo l'ora!

メトロポリタン・オペラ ビゼー《カルメン》

2013-03-10 19:29:12 | オペラ
メトロポリタン・オペラ
歌劇「カルメン」

指揮:ヤニック・ネゼ=セガン
演出:リチャード・エア
振付:クリストファー ・ウィールドン
2010年1月16日
メトロポリタン歌劇場

カルメン:エリーナ・ガランチャ
ドン・ホセ:ロベルト・アラーニャ
ミカエラ:バルバラ・フリットリ
エスカミーリョ:テディ・タフ・ローズ
スニガ:キース・ミラー
フラスキータ:エリザベス・カバリェロ
メルセデス:サンドラ・ピック・エディ

2011年にNHKでも放送されましたね。
そのときは第2幕までしか観てなかったので続きが観れてうれしい
だってなんといってもガランチャがカッコよすぎ
歌声といい容貌といい完璧な美しさうっとりですぅ
そしてdolce-vitaお気に入りのテディ・タフ・ローズのエスカミーリョ
こちらもカッコよすぎデシタ

もうひとつ楽しみだったのが
指揮のヤニック・ネゼ=セガン
2週間ほど前、東芝グランドコンサートで彼の指揮を聴いたばかり
いいタイミングです



こんなにもドキドキする「カルメン」はありませんっ

まずは前奏曲
ネゼ=セガンさんの指揮
すごい爆発力で演奏が始まります。
疾走するような快速テンポ。
dolce-vitaはカルメンの前奏曲は
こういうぎりぎりバランス保ってるような前のめりな演奏が好きデス
前奏曲ですでに興奮ぎみっ

幕が開くとガランチャのカルメンに籠絡されっぱなし
ドン・ホセのアラーニャもデレデレのスケベ親父っぷりでしたが
dolce-vitaも負けず劣らずデレデレですぅ。

以前の記事にも書いたけど
ガランチャのカルメンはクールでカッコいい
決して直情径行型でもないしヒステリックでもない。
ガランチャのカルメンのいう「自由」は
気分的に自分の好きなようにしたいというフワッとしたものではなく
自分の行動は自分の責任において自分の意思のみに基づいて決定する
というような確固たる信念を感じる。
そしてそれは常に変わらず全幕を通して貫かれている。
だから第4幕でドン・ホセに脅されても
全く動じることなく感情的にもならない。
彼女の意思決定を変えさせることができないなら
彼女を止めるには「死」しかないとなるわけで
このプロダクションは全体的にすごく説得力がある。
だからドン・ホセも第4幕でカルメンに懇願する。
「以前のように愛してほしい」
でもドン・ホセも愛を取り戻せないことはわかっていて
この懇願は「カルメンを殺させないでほしい」という叫びに聴こえるのであった。

カルメンがホセにもらった指輪を投げ捨てる場面。
今まで観たカルメンは激昂してドン・ホセに指輪を投げつけるパターンが多かった。
ガランチャのカルメンは指輪を外すとうっすら笑って
「いらない」と言って手から取りこぼすようにその辺にポロっと捨てる。
もう好きじゃない相手に対する仕打ちとして
ホントに自然で説得力がある。
(↑ヒドイけど
しかもそんなことされたドン・ホセの絶望を思うと
そうだよね、刺しちゃうよね、うんうん
と、頷いてしまうdolce-vitaなのであった。
ここの説得力もなかなかの迫力です。

それからカルメンの気持ちの動き。
リーリャス・パスティアでドン・ホセを待つカルメンに
ダンカイロが密輸の仕事の話を持ちかける。
でもカルメンは興味なさげに断る。
「恋をしてるの」と、うふふ(^.^)と笑う。
この時点ではホントにドン・ホセのこと好きなのねと
観ているdolce-vitaもうふふ(^.^)ってなる。
そして第3幕でエスカミーリョがカルメンに会いに密輸団のいる山中に現れて
ドン・ホセといざこざになりつつも
みんなを闘牛にご招待してカッコよく立ち去る。
その姿を見送りながら
カルメンはエスカミーリョの名前をつぶやきながら
うふふ(^.^)と笑う。
観客はこの笑顔でカルメンの気持ちが完全にエスカミーリョに移ったと悟るのであった

もうひとつ新鮮だったのが
フラスキータとメルセデスとの友情
3人の絆は、リーリャス・パスティアでも、カルタの場面でも感じられたけど
やっぱりセビリアの闘牛場の前
「ドン・ホセが来てるから気をつけて」と心配するフラスキータとメルセデス。
カルメンは2人を抱きしめる。
これが最後と悟っているのでしょう、ホントに悲しい表情で
万感の思いを込めてぎゅうっと抱きしめる。
でも体を離して2人の顔を見るときは「大丈夫」とにっこり笑う。
この場面で泣きそうになったのは初めてデス

ミカエラもきりりと意思の強さが全面に出たミカエラだったし…
ドン・ホセに対するダンカイロもいい味出してて…
と、言い出したらキリがないくらい登場人物ひとりひとりの人間描写が素晴らしくて
それがこのプロダクションの説得力に繋がっているカンジです。

ああ、そしてエスカミーリョのテディ・タフ・ローズ
ピーター・グライムズ」以来、超☆気になるバス・バリトンさん。
前回この「カルメン」観たときも「闘牛士の歌」ドキドキしながら聴きました
テディ・タフ・ローズのエスカミーリョは
低音域がホントに力強く響いてカッコいいのです
そして何かのときの声の響きがヒロシさんとびっくりする程似ていて
dolce-vitaは心臓が飛び出しそうになっちゃいます
しかもすらりと長身で手足が長く
闘牛士の正装もめちゃめちゃ似合います。
ガランチャのカルメンとのツーショットは文句なくカッコいい
本番3時間前の急な代役ということもあり
これがもっと準備されたものだったら
どんなにか素晴らしかったであろうと期待の持てるエスカミーリョでした。
もう一回言っちゃう
とにかく声がすてきぃ

アラーニャはとかくdolce-vitaに文句言われがちですが
今回も手錠が上手にかけられなかったり
「花の歌」の後でお水をがぶ飲みしてみたり
ツッコミどころ満載でした
でも決してキライな訳ではありませんの。
素晴らしいドン・ホセでした。

ガランチャはカルメンでも端正
踊りながらも端正に歌い
仰向けで担がれても全く乱れない、スッゴい
もうっガランチャに釘付けっ
カッコよくて魅力的で大好きですo(^o^)o

ホントにいろんな意味ですごかった「カルメン」
このプロダクションがdolce-vitaにとって
今まででNo.1「カルメン」です