髑髏フラワー

ママの口ぐせお花はドクロ!

高尾山から景信山を経て陣馬山を越えて熊を見たお話し

2019-07-13 | アウトドア
2019年6月13日(木)

ずーっとやりたい行きたいと思っていた

「高尾山~景信山~陣馬山」

の縦走をしてきた。
「縦走」と書いたが一瞬も走ることはなくすべて歩いている。時には四つん這いになりながら。

合計で18キロ、8時間ほどの行程になるので、まるっと一日のお休みを頂けないと行くことが出来ない。
この日は夕方の長男の習い事がお休みで、保育園のお迎えを嫁さんにお願いできたし、梅雨の中の晴れ間と、千載一遇のチャンスになったので実行に移した。
あらかじめエバーノートに行程表を作っておいて時間を記入したり、持ち物のチェックリストを作っておいたので、準備は前日の夜にちゃちゃっと終えられた。

ざっくりした計画は

保育園送り
8:30
高尾山口(京王線)
10:00
高尾山山頂
11:00
一丁平
12:00
城山
12:20
小仏峠
12:40
影信山
13:10
明王峠
15:20
陣場山
16:00
陣馬高原下
17:00
高尾山口(京王線)
18:00

結論から言うと、ほぼこの行程どおりに進むことは出来たが、体力的にはかなり厳しかった。
この日はしばらく20度前半の日が続いた後に来た久しぶりの夏日超え(最高気温26.4度)だった。
登りが続く場面で汗だくになり、身体がまだ暑さに順応していなかったために熱中症のような状態に陥り、初めての長時間行動でペース配分もできずに後半はかなりバテた。
そして陣馬山から陣馬高原下のバス停に向かう途中で熊を見てしまったために動揺して慌てて下りたので、さらに体力気力も奪われてしまい、なかなか過酷な山行となった。

では時系列で記録していく。

9:40
高尾山口の改札を抜けてケーブルカー清滝駅へ。



前日までの雨続きが嘘のように気持ちよく晴れた。
駅の周囲には小学生や幼稚園生などの集団が数百人規模で整列していた。自分も小学生の集団に囲まれてスタート。他は老人が多かった。
さすがは世界で一番登山客の多い山である。

登山道は6号路を使った。京王線の改札を抜けてまだ3~40分しか歩いていないのに、周囲は静かで木々の美しい景色に変わり、運動が始まって少し体温の上がった身体にひんやりした空気が気持ち良い。







今年4度目なので気持ち的にも余裕があったからか、最後の200段の階段は苦痛の表情でぜえぜえ言って泣きそうになりながら登れた。
何度登っても苦しい。

10:42
高尾山山頂へ。
下の駅の混雑に比べれば全然人がいなくて拍子抜けした。
天気は晴れだが周囲はもやっていて雲も多く、富士山を見ることはできなかった。
水をがぶ飲みしてバターロールパン2個を体内に吸収。
10分ほど休憩して出発。





11:22
一丁平へ。



高尾山からここまでの道のりが一番好きかも知れない。
先ほどまではざわざわ人がいたのに、奥高尾へ入るとほとんど人に会うことがない。
道は平坦で息が上がらないので、五感をフルに使って自然を堪能できる。
まずは左に富士山を見つつじっくり景色が楽しめる(この日は残念ながら富士山は見えなかったけど)。
葉っぱといえばひと言で終わるけど、ほぼ無限と思われるほどの緑色の種類と、数えきれないくらいの様々な形があって、こんな美しいグラデーションを無料で楽しんでしまっていいの?という気分になる。



そして静寂と鳥の鳴き声。
どこかにスピーカーが設置されていて、有線で「ウグイスの声」を流しているんじゃないか?と思えるほどに大きく鮮明に聴こえる。

一丁平で休憩の予定はなかったけど、あまりにも空気が美味しいのでしばし腰をかけて休んだ。
この日はいたるところでやたらと白い蝶々がたくさん飛んでいて、なんとなく天国っぽい演出であった。
もしかしたら知らないうちに自分は死んでいて、天国に着いてしまったのか?なんて妄想もした。
帰宅してから白い蝶々のことを調べたら、蝶々ではなく黄脚毒蛾(キアシドクガ)であった。
天国どころか地獄のような名前だが、毒はもっていないらしい。



毎度のパターンになっているが、 景信山の手前の登りで汗だくになり、ずいぶんと体力を奪われた。
休みなく足を動かし身体を上へ上へと押し上げていく動作で、身体中のカロリーがすごいスピードで減っていくのがなんとなく分かる。
そしてここでの無理が祟ったか、軽い熱中症のような状態になり頭痛が始まってしまった。
後になって思えば、ここで身体を冷やすために休憩を取ればよかったかも知れない。

12:30
景信山山頂へ。



ここでお昼ご飯。マルタイの棒ラーメンとビール。
アマゾンのポイントで交換したSOTOのバーナー「アミカス」を初めて使ってみた。
強風というほどではないが時折風が吹く環境で、風防なしで5分くらい?でラーメン用のお湯が沸いた。





頭痛もあったので13:50までのんびりした。

ここからは未体験ゾーンなので、少しどきどきしながら進んだが、これまでのような急登はなく、ひたすら気持ちのいい稜線歩きができた。



15:00
明王峠へ。



ペース的に余裕があったのでしっかり腰を下ろして水分補給とスニッカーズでエネルギー補給。
エネルギー源として他には柿ピーも持ってきたが暑さで喉が乾くためか食べる気にはならなかった。



16:00
陣馬山山頂へ。



ネットでよく見ていたあの白い馬をやっとこの目で見ることができた。



と感激して喜びたかったが、体力の消耗が激しく、また頭痛も治らなかったために、ひとまずベンチで横になって寝た。
この時に、なんとなく気になって自分の顔を携帯のカメラで見てみたら、しかめっ面が張り付いたというか、苦悩が顔面に張り付いたような顔をしていた。たぶん体力的な限界を3回くらいは超えていたかと思う。極限とまでは言わないが、過酷な環境にさらされると私はこんな顔になるんだなと参考になった。写真に撮っておけばよかった…!
平日であるし時間も遅いからか、陣馬山山頂には私を含めて3人しかいなかった。
10分くらい眠り、それでかなり体力気力は復活した。

16:30ごろ
下りは「新ハイキングコース」を選んだ。
登山道40分、舗装公道20分のコースだ。
その登山道の中盤くらいだろうか。

道は平坦であった。
前方で突然ガサガサ!という音がしたので前を見ると、自分の目の前を横切り、左前方から右下の谷へ向かって、真っ黒な生物が四つんばいで走り去っていった。
距離にして約30~40メートルほど先だっただろうか。
大きさは自分と同じか少し小さいくらいか。しかし胴体や手足の太さはすごく大きい。

熊だ。

あれ?俺はここで熊に襲われる予定?
え?俺の人生はここで終了するの?
一瞬の間に家族の顔も脳内に流れる。
正直、この瞬間まで熊のことなど少しも考えたことはなかった。
勉強不足でこの界隈に熊がいることを知らなかったのだ。

スピードはとてつもなく速かった。
なんで山の中をあんなスピードで動けるんだよ、と思うほど早かった。
あれがこちらに向かってきたら絶対に逃げきれない。
完全にこちら側がアウェイだ。

まずは自分の身には何も起きていないし熊は横切っただけなので、落ち着こうと深呼吸。
今まで観てきた映画や漫画や小説でも、冷静さを失った者が命を落とす場面が多かった。

自分の進行方向に対して90度の角度で谷の下へ向かったのなら、あのスピードだったらたとえ数分でも熊との距離は十分に離れるはずだ。
自分の現在地は分からないが、下り登山道の半分以上は過ぎているはずなので、もうしばらく進めば車の走る公道へ出る。
慌てて怪我でもして動けなくなったら最後だ。

呼吸を整えて周囲を警戒しながら山を下った。

「新ハイキングコース」で陣馬山に行ったことがある方ならご存知だと思うが、かなり傾斜がきつい。



滑り落ちないように踏ん張っていないと尻もちをつきそうになる。
調子よくリズミカルに傾斜を下っていくと、登山道はどんどん右に曲がり、先ほど熊が急降下していった谷の方向に向かっていった。

ほほう!あの熊は先回りして私を待ち伏せするために走っていったのか♪

ここまでは少なくとも自分の前方だけに注意を払っていたが、ここからは全方位に警戒が必要になった。
感覚としては、自分の現在地がちょうど熊が走り去っていった場所になり、もう熊がどこにいるのかはさっぱり分からない。

自分では慎重に進んでいるつもりだがやはり慌てているのだろう。
ここからは足を滑らせて尻もちを3回はついた。
そのたびに「いやね!もう!」とか「あらあら!困るわね!」などとオネエ言葉が頻出し始めた。
命の危機を感じ、本能がむき出しになってオネエ化したのか、生命の終わりに今までの人生がフラッシュバックし、小さな頃に熟読して影響を受けた「マカロニほうれん荘」のきんどーさんが出てきたのかも知れない。

気がつけば登山道は沢沿いの道になり、ますます熊が飛び出してきそうな雰囲気になる。
まだ16時台とはいえ、木々が生い茂っているので周囲は薄暗くなってきた。
武器になるのはザックに入っているモーラナイフ1本のみ。
念のために手に持って歩くか迷ったが、それでさらに怪我をしてしまいそうだったのでザックに入れたままにした。

「あん!いやん!」などと叫び、なかば小走りで滑り落ちるように下っていき(体感は1時間くらいだったが、20分くらい)、ようやく舗装された公道が見えた。

ここで携帯を取り出し、この界隈で熊が出現する可能性があることを知り、自分が見た熊が「ツキノワグマ」だったことが分かった。

17:00
陣馬高原下バス停に到着。

19:00ごろ
地元駅の交番に立ち寄り、神奈川県警につないでもらって熊の目撃情報を通報。
翌日に相模原市役所から目撃の時間、位置の確認の電話が来て対応した。

バス停に着いた頃には「ああ~しばらく山に行くのは止めようかな~」なんて思っていたが、翌日には「熊鈴買わないとな…」と前向きになっていた(今回の山行でも熊鈴を付けている人を何人か見た。景信山くらいならまだ無くても大丈夫かもしれないけど、陣馬山まで来るなら必要だと思った)。

そこから一週間は、今まで体験したことがないほどのガチガチな筋肉痛に襲われた。
身体が「あれは無謀だった。お前は無理をし過ぎた」と語りかけてくる。
あーくそーまだ今の自分には早かったかーなどと思いつつも「あの場所でスローダウンしてあの場所で小休止すればまだ体力は持ったかな」とか「今度は始発で出て時間に余裕をもって行けば筋肉痛も半分くらいで治まるかな」などと次回へ向けてのチャレンジ精神が湧いてくる。

学生時代はずっと帰宅部で体育会的な精神は1ミリも持ち合わせていないが、こんなにも辛いことをまた何度もやってみたいと思わせるのは山の魔力なんだろうか。
次回は逆コースで、陣馬高原下のバス停から攻め上がりたい。

最高の小旅行であった。
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