四月のある日、ばったり山の入口で出会ったこのキノコ
かわいいじゃないか、名前はなんて言うんだい?
おっさんがかわいい地下アイドルに声をかけているところを妄想して欲しい
この子はもったいぶって笑顔を振りまくくせに名前を言いやがらない
有名菓子メーカーの某キ○コの山そっくりの子なんてすぐにわかるだろう
・・・甘いな(お菓子だけに)
仕方がないから地下アイドル名鑑(図鑑ともいう)を広げてみる
このかわいこちゃん、柄(軸の部分)が黄色い
傘がこげ茶で柄が黄色いキノコを図鑑で探してみよう
そうそう、ここで何の図鑑を使うのかも重要な案件だ
小型の掲載数の少ないきのこ図鑑と大型の掲載数の多いきのこ図鑑があったらどちらを使われるだろうか
徳がある方なら、舌切り雀がくれるという葛篭(つづら)のように小さいものを選ばれるのだろう
ある日のきのこの観察会で小型の図鑑と大型の図鑑を使ってきのこの同定を30分くらいやってもらったが
小型の図鑑を持っていた人は実はその日の採集物を30分で一つも同定できなかった
1時間かけたとしても1個しか無理だ、なぜなら採集物のうち1個しか掲載されていなかったからだ
大型の図鑑を使っていた人は30分で4~5個、1時間かけたらもっとできただろう
なにせ採集物のキノコのほとんどが掲載されていたのだから
ちなみにその日使った大きい方の図鑑は『日本のきのこ』(山と渓谷社)だ
『時間をうまく使うコツ10選』などのまとめサイトに
『デキる大人はキノコの同定に大きな図鑑を使う』をひとつ書き加えていただきたい
有名なきのこしか載っていない図鑑のきのこは、残念ながら有名アイドルをあなたの街で探すようなものだ
さっき、上の方で仕方がないから何を広げてみようと書いただろうか
そうだ、『地下アイドル名鑑』だ
その有象無象に見える集団こそが、あなたの街のキノコたちなのだ
すまない、上の写真のきのこはさっき紹介した大型の『日本のきのこ』図鑑にすら掲載されていない
あちらこちらの山で確認しているので、さほど珍しくはないが
当たり前の形をしたものほど視界から外れてしまう典型的な例だろう
そういうときはどうするべきか、アイドルに置き換えてみよう
名前がわからないからといってしつこく付きまとうことがいいことだろうか?
そう、忘れずそっと見守ってあげるのが一番いいのだ
名前がないと忘れてしまうので『マイコ』とでも名づけておこうか
そのうち地下アイドルデビューする日(図鑑に載る日)がきっとくる、この世に存在する限り
(キアシベニヒダタケ)