Creator's Blog,record of the Designer's thinking

クリエイターのブログ。デッサンによる官能小説、フィールドワークの映像、エッセイで構成。描き、撮り、書いてます。

番外編339. 蒲田

2018年04月18日 | Tokyo city

 当時の横浜の自宅から京浜東北線で二つ目の蒲田は魅力的な街だった。街の混沌というのは、玩具箱からはみ出すような感じもしていて整然とできない雑然とした都市の姿と定義しておこう。そこが街の魅力だったのだろう。最近そんな街が整然としてきて少なくなったのではないか。

 自治体や地元商店会が放置自転車撤去などに着手したのだが、本来放置しているのではなく、生活の必要があって遠くから街へ繰り出して来て自転車を駅前に置いているのだから、それは生活の一部だ。それをするなというのだから、次第に不便な街に人々が近寄らなくなってしまったと思うけど。今では宅配便があるからさらに店に依存する必要がない。そして駅前の店が寂れだした。そこを狙って全国チェーン店が進出し、今では全国どこにでもある駅前景観が誕生するという都市形成の経過があるのだろうか。

 当時の蒲田駅は、JRと東急のターミナルだったし、商店街を突き抜けると京浜急行羽田線の分岐点でもあった。だから混沌そのものの街でとても活気があった。そして駅前は自転車の川である。街路は狭く人は多く店は乱脈に連なり、そこが面白く結構徘徊していた。大井町から南というのは、どこか荒っぽい結構面白い街だった。それが次第にヒタヒタと整備されてしまった。

 蒲田の裏道を歩くと、自転車置き場のさらに大きな川ができている。昔の川を暗渠にしたのだろう。東海道線の線路を越えて続いている。金村修さんの傑作の一つは、ここからガードレールに立ち上がって撮ったのだろう。同じ位置に立ちそんなことを考えていた。ここで撮っちゃうと金村修さんになってしまうから私は素通りした。

 この街は、玩具箱から玩具をぶちまけたようなところが面白い街だった。

 

1997年東京都大田区

NikonF4,NikkorAuto35-70mmF2.8,トライX

 

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