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フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

Nikon Freak385. 揺らめいて陽炎となってゆく沖縄の光景

2019年06月04日 | Okinawa

 

 

 デジタル画像と比較すると、ネガカラーフィルムはラチチュード(絵として認識できる範囲)が広いという特徴がある。昔、誰でもが使ったことがある国民的フィルムフジカラーN100で那覇市内を徘徊した。

 2本のフィルムを現像をし、1本のフィルムはニコンF3のスプロケットに正しく装填されていなかったために何も撮されていなかった。フィルム固有の失敗だ。そうした失敗経験を次に活かしてゆく、というなんとも面白すぎる機械だ。

 モノクロ画像をみているとジャーナリスティックだ。そうなると沖縄が抱えている基地問題がある。

 例えば普天間基地の辺野古への移設問題に限ってみてみると、普天間基地周辺が都市化してきたので、基地の移転が望ましいとする都市問題が発端だったと記憶しているが、都市開発を推進してきた立場、つまり役人の立場からみれば筋書きは明白だ。

 辺野古への基地移転反対、工事予定地の地盤が悪く地盤改良には法外な費用と時間がかかる。そうであれば通例基本的な大きな問題が二つ揃うと事業は中止するのが一般的。そんなことは事業開始前の事前調査でわかっていたはずだが、それでも、できないことをあえてやるという政府の意図は何だろうか。

 それを探ると、工事が完成するまでの時間を、できるだけ先延ばししようとする遅延策があげられる。移設事業に着手して工事のまねごとをしているが、地域が反対し、地盤が悪い、とする複数の要素がでてきたことで基地完成までに時間がかかる。当然現政権では解決しない。工事のまねごとをしつつ国際情勢をみながら判断できる時間をできるだけ稼ごうとしているのではなかろうか。官僚達の手元には、複数の、いや多数のオルタナティブがすでにできあがっているだろう。少なくとも理論上ポジティブで7タイプ、ネガティブで7タイプ、合計14タイプの施策が考えられる。今その一つを実験しているわけだろう。

 「政府としては普天間基地周辺の都市化を改善すべく基地移転の努力はしていますが、なにぶん辺野古周辺の地盤が大変悪く工事が遅れているので、いつ移転できるかの時期はわかりません」、そんな答弁が予測できる。基地移転は都市化という国内事情によるものであり国際情勢を反映した事業ではない。だから国際情勢が変化するまで遅延させておいたほうが望ましいとする官僚達のスタンスがあるのだろう。あとは政治家を動かして時間を稼げばよい。それに普天間基地があるのだから在日駐留軍としては特に基地の移転を急ぐ理由がない。

 そんな風に考えてゆくと、施策が提案できる官僚達の強さが際立ってくる。実行には、民主主義の制度手続きをふめばよいから政治家を利用するという構造ができあがる。今は施策が立案できる能力が際立ってきている社会である。

 さて、最後の画像をみていると、古民家にピエト・モンドリアン風の看板ですか・・・。人間がどんな努力をしても熱い空気の中ですべてのことが揺らめいて陽炎となってゆく沖縄の光景は、どこか示唆的でもある。


沖縄県那覇市牧志市場

NikonF3+MD4、Carl Zeiss Distagon25mm/F2.8,フジカラーN100

 

コメント
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