シカゴは初期のハードなブラスロック路線から方向転換。起死回生とばかりに、AOR系の甘いバラードバンドへと変身して奇跡の大復活を果たすわけです。
結局「シカゴ17」はバンド最高の成功を収めます。アルバム、シングル、ツアーと全てにおいて順風満帆。まあ、当時レコーディングスタジオではピーターセテラとプロデューサーのデビッドフォスター、そしてTOTOなどを中心とした一流スタジオミュージシャン達が仕切り、当のシカゴメンバーらは蚊帳の外だったらしく、「いつシカゴを辞める?」なんて自虐な会話をしていたらしいです。これが売れちゃうんだから、複雑な心境ですよね。
このヒットで好感触を得たピーターはソロでもいける!と判断。長年抱いていた過酷なツアー、あまり好みではないブラスサウンドなどを理由に脱退を宣言するわけです。ピーターはマジなのかジョークなのか「シカゴ加入した直後に脱退したかった」なんて言ってましたね。この脱退劇は、世界中のシカゴファン達に激震が走りました。
結局、シカゴはピーターそっくりなハイトーンシンガーでありベーシストの、若きジェイソンシェフを迎え入れて危機を乗り越えます。
ピーターはシカゴ在籍中にソロアルバム、シングルを発表してはいましたが、その頃のシカゴは低迷期ゆえに話題にはならず…とても素敵なポップロック満載なのですが残念。
晴れて脱退後、ピーターはセカンドアルバムをリリース。
そこからの第1弾シングル「グローリーオブラブ」は見事全米1位を獲得します!
ピーターと当時の奥様とデビッドフォスターとの共作。
一聴しただけで「これは売れるでしょう!」ってわかるほどの、琴線震わすメロディとアレンジ展開。
ミリオンダラーボイス面目躍如の瞬間。
この曲は空手版ロッキーとも言える「ベストキッド2」の主題歌としても話題になりましたね。映画は沖縄が舞台の中心で、まああの日本の表現や勘違いは、怒りを通り越して爆笑もの。ヒロインのタムリントミタちゃんが健気でめちゃくちゃに可愛いから、我慢してあれはあれで楽しめました。ピーターに話を戻して、この次のシングルはエイミーグラントとのデュエット「ネクストタイム」
これも見事に全米1位を記録!
邦画「竹取物語」主題歌「スティウィズミー」もオリコンチャートにおいて4週間1位。
その後もシェールとのデュエットなどなど順調にヒットを輩出。マイペースでの活動で、素晴らしい歌声を聞かせくれています。また最近は一時興味が薄れていたベースを再びプレイしてもいます。その元気でカッコいい姿を再びこの目で目撃したいものです!
元シカゴのオリジナルスーパードラマー、ダニーセラフィン率いる本格派ブラスロックバンド「カリフォルニアトランジットオーソリティ」の初来日は大成功でした。
実質的なるCTAのリーダーはもちろんダニー。
アルバムのプロデュースはダニーとサウスポーのスーパーギタリスト、マークボニーラが担当。でもステージにおけるバンドマスターは、キーボードのエドワードロスでした。
通常のプレイ中は座っているのですが、曲の場面展開、起伏、強弱、ブレイク、回数の合図、エンディングなどなど、ことあるごとに立ち上がって大袈裟なくらいに左手を高く振り上げて、ジェスチャーで一生懸命指揮していました。
見るからに知性漲る、インテリ風なエド。髪型や髭がとても良く似合っていますよ。
その彼のソロアルバムが、2枚もグッズ売り場で販売されていました。
彼のことはCTAまで知りませんでしたから、これは当然初めて見ました。(来日も初なのかな?以前はハードロックバンドに在籍していたこともあったそうです。)
だからエドのCDは想定外。制作販売されていることも知らなかったのですからね。
もちろん迷う事なく、2枚ともに購入。
これを両方共に買った人っているのかな?
ネットでも販売していますが、結構な値段。ここで買っておいて良かったあ!
ライブ後、エドにサインをお願いすると、それまでポーカー・フェイスだったのに「ワオ!」と飛び上がるほどの勢いで喜んでくれたよ。
サインの横に書き込んでくれたのは似顔絵?自画像?
まあ、それはともかく、このアルバムがことのほか大当たり(しかも安かった!)。
想像していた以上にクオリティの高い作品でして、さすがCTAのライブバンマスを任されるだけのことはあるなあ・・・と改めて納得をした次第です。
サウンドとしてはスムースジャズ系なんだけど、決してBGMにはなり得ない。聞き応え満点。
2012年作品「ED ROTH」は14曲入り。
なんと8曲でドラムスを叩いているのは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのチャド・スミス。
いつもの派手に暴れる爆音ドラムを想像して聞くと、意外な彼の側面に良い意味での裏切りにあいます。もちろん極上のファンキービートは堪能できるから、心配ご無用。
3曲ではホーン・セクションも参加しています。
セルフ・プロデュースでピクチャー・レーベル。
たぶんこれはファースト・アルバムなのでしょう。9曲がカバーで網羅されています(最後はリプライズ)。CTA結成中にリリースされています。
クインシー・ジョーンズ「アイル・ビー・グッド・トウ・ユー」、アンブロージアの「ビゲスト・パート・オブ・ミー」、チャック・リオ「テキーラ」、スティービー・ワンダー「ハイヤー・グラウンド(これはレッチリもファンキーロックにカバーしてるよね)、ガーシュイン「サマータイム」、キャッシュ・キャッシュ「ハウ・トウ・ラブ」、ウォー「ロウ・ライダー」、そしてフーの「フー・アー・ユー」とバラエティに富んだ贅沢な内容です。
スペシャルサンクスには、「ダニー(ホーネストアベ)セラフィン」のクレジットもしっかりあります!
セカンドアルバム「MAD BEATNIK」は2016年の作品。
タイトルから察するにエドはビートニク世代かな?しかし「MAD」とは?!^_^
11曲入りのピクチャー・レーベル。セルフ・プロデュース。
全曲をチャド・スミスが叩き、エドは数曲でベースもプレイしています。
4曲でホーン・セクションが参加。トム・スコットもサックスを吹いていますよ!これは超目玉。やはりトムの存在とプレイは別格に光っています。
そしてCTAのソウルマンことトニー・グラントが1曲で歌っています。
トニーは「ザ・マグネット」と紹介。
ここでは1曲をのぞく全てがオリジナル。唯一のカバーに、ビックリしましたよ。ブラスロックバンドのアイズ・オブ・マーチ「ヴィークル」なんだから!!さらっとオシャレなインストに仕上げていますが、こういう解釈もありですね。
もうこれ1曲だけでも買いでしょうよ!