きみの靴の中の砂

琥珀の海

 

 

 公園の銀杏並木に積もった落ち葉が美しい —— そんなことを水口イチ子がどこからか聞いてきたようだ。
「是非見に行きましょう」と七五三も近い、ある土曜の朝、有無を言わせずに連れ出された。

                    

 広い遊歩道沿いに銀杏の大木がそれぞれ十数本 —— 無数の落ち葉が風に吹き寄せられている。
 曇った晩秋の空から薄陽が映して、そこだけひときわ明るい。まるで磨き上げられた琥珀の海だ。

 イチ子は自転車に乗ると、アンバーの波を切って、しばしのクルーズに出る。
 
 

 

【Jim Photoglo - More To Love】

 
 
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