オバサンは熱しやすく涙もろい

とてつもなくミーハー。夢見るのはお気楽生活

「ハサミを持って突っ走る」

2008-02-11 01:10:15 | 映画・DVD【は】


2006年、アメリカ作品

監督:ライアン・マーフィー

出演:ジョセフ・クロス、エヴァン・レイチェル・ウッド、アネット・ベニング、アレック・ボールドウィン、ブライアン・コックス、グウィネス・パルトロウ、ジョセフ・ファインズ、パトリック・ウィルソン 他


有名になることを夢見る躁鬱病の母と、家庭をかえりみないアル中の父親。
そんな両親が離婚することになり、中学生の息子オーガスティンは母のかかりつけの精神分析医の家庭に預けられることになる。

だがその精神分析医ドクター・フィンチの家庭も、オーガスティンの家庭に劣らずかなり風変わりであった。
家族を養うために家族を犠牲にしている詐欺師まがいのドクター・フィンチを筆頭に、妻も二人の娘も息子もどこかしら狂気が感じられるアブノーマルな人間ばかりだった。
そして家の中は荒れ放題。クリスマスツリーは2年前から飾ったまま。そこかしこに物があふれ、それは庭にまでもおよんでいた。

フィンチ家になかなかなじめず、頼みの父親に電話をしても電話にでてくれない。養育費さえ払ってくれない。
母親は薬物依存に陥り、親としてオーガスティンを育てることを放棄し「フィンチ家の養子になりなさい」とまで言い出す始末。

親に見捨てられ、何のルールもないおかしな家庭の中で現実に押しつぶされるようになるオーガスティン。
だが彼はやがて悟るのだ。
他人に頼らず自分自身の力で生きていくしかないと。



原作は作家オーガステン・バロウズの自伝だそうだ。
たった14、15の少年に与えられた運命にしてはあまりに過酷なような気がするのだが、映画ではそんなに悲壮感は感じられない(それはどう見ても主人公役のジョセフ・クロスが14、15歳には見えないということも要因の一つのような気がするのだけれど)。
オーガステンを守り、導いてくれる大人は存在しなかったわけだが、だからこそ彼は自分のさなぎをとっとと抜け出ることが出来たわけで「あっぱれ」とは思ったが、同情はしなかった。
むしろ生きることがヘタで不器用な大人たちに同情してしまった。
彼らは自分自身の面倒さえ見ることが出来ないでいるのだ。

この映画を嫌いな方もおられるようだが、ワタシは結構好きなタイプの作品。
大人たちを単なる変人としてではなく、弱い部分も含めた人間としてちゃんと描いているから。
それに配役がうまいと思う。
それぞれの役者のうまみがちゃんと出ている。


やっぱりこの人の演技にはひきこまれる。ドクター・フィンチ役のブライアン・コックス。
一番ぶちきれていたけれど、憎めない役だった。


兄のレイフ・ファインズは好きだけれど、弟のジョセフはどーにも苦手だった。
ところが今回はワタシの中でかなりポイント高いです!!複雑な事情を抱えた息子(養子)役を気色悪く(?)そして可愛く演じている。詩の朗読会の場面は最高!


ただねー、一つ文句を言わせてください。
パトリック・ウィルソン目当てで見たのに、数秒しか登場してなかったってのはねー、許せんよ(涙)。
あの役が、彼である必要は果たしてあったのだろーか???
コメント (20)
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