オバサンは熱しやすく涙もろい

とてつもなくミーハー。夢見るのはお気楽生活

「この森で、天使はバスを降りた」

2007-08-15 15:00:15 | 映画・DVD【か】
このDVDは、大分前に、通いのレンタルビデオ屋の「オススメコーナー」においてあった。
何度か手にとりながらも、迷った末に棚に返す。
そんなことを幾度となく繰り返した。

そして、ある日、安いDVDが出ていることを知り、購入した。

チャンスは幾度もあったのに、何故随分たってからこのDVDを見ようという気になったのかはわからないが、日々の母の介護に疲れ(適当に手は抜いているが)、ストレスも積み重り爆発寸前だったワタシの心を、癒しのベールでやんわりと包んでくれたことを考えると、それが自分にとって見る時期だったのかなーと思ったりする。



1996年 アメリカ作品

監督・脚本:リー・デビッド・ズロートフ

出演:アリソン・エリオット(パーシー)
   エレン・バースティン(ハナ)
   マルシア・ゲイ・ハーデン(シェルビー)
   ウィル・パットン(ネイハム)

5年の刑期を終えたパーシーは、ギリアドという森に囲まれた美しい町でバスを降りる。
「神が最も美しい土地だと降臨した」というインディアンの伝説があるカナダに程近い町だ。
彼女はこの街で人生をやりなおそうとし、サラという女性が経営する「スピットファイア・グリル」で働き始める。
都会ではレストランのウエイトレスが変わろうが、またその素性がどうであろうが誰も気にもとめないだろうが、こういう小さな田舎町ではよそ者に遠慮なく好奇の目を向ける(らしい)。
人々の視線を感じたパーシーはハナに向かって「ワタシが5年間、刑務所で暮らしていたって言ったっけ?」と店中に響くように話しかける。
店の喧騒が一瞬ぴたりととまり、人々の目は好奇から警戒へと移行していく。

だがサラや、サラの甥ネイハムの妻であるシェルビーは、パーシーの純粋さ、不器用な優しさを感じ取り徐々に心を開いていく。



サラはヴェトナム戦争で一人息子を亡くし、悲しみのあまりかたくなに心を閉ざしていた。
また、シェルビーはネイハムに常に「頭の悪い女だ」といわれ続け、深く傷つき「自分は本当に頭が悪いのだ」と思い込んでいた。
そして実はパーシー自身も誰にもいえないような深い傷を抱えていたのだ。

パーシーのすごいところは、本来ならば一番信頼できる存在である母親に裏切られ、義父になぐさみものにされながらも、それでもなお人と関わりを持とうとし、また人を傷つけまいとするところだ。
悲しい過去を持つが故に、傷つくことの辛さ、残酷さを彼女は知っているのだ。

しかし、そんな彼女を快く思わない人間もいる。
それはまっすぐに生きようとする「パーシーに対する嫉妬」なのか、前科のあるパーシーを警戒し彼女の本質を理解していないだけなのか、その両方なのかは定かではないが。

この物語はそんな「彼女を快く思わない人間」によって、思わぬ形で終わってしまうのだが、この結果には賛否両論らしい。
ワタシもラストでは涙腺決壊だったのだが、人間と言うのは大切な人を失うことによって、決意を新たにしたり、また己の過ちを省みる生き物だと思うので(そうでない人もおるでしょうが)、このラストでよかったのではないかと思う。
あの天使は、ワタシにも何か大きなものを残してくれたから。

パーシーの存在が、サラとシェルビーに大切なものをもたらしてくれた。
そして町の人々も、これから訪れるものを受け入れる広い心を養っていくことだろう。
コメント (16)
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