書道家Syuunの忘れ物

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日米戦争に招いた「幣原喜重郎」とそのエリート意識

2011-05-01 23:04:52 | 読み解けば‥‥

日米戦争に招いた「幣原喜重郎」とそのエリート意識

「帝国海軍の勝利と滅亡」別宮暖朗著には、単に海軍軍人の話だけではなく外務官僚の話も出で来る。
戦前の外交史というのは、戦争という外交手段を招いたのが単なる官僚となった軍人や、職業外交官などの学力試験で選ばれたエリート層の暴走であるとしている。
この著書では、海軍について論じているから「山本五十六が海軍を滅ぼした」という章を設けている。
しかし、山本五十六が真珠湾攻撃をする前の段階で幣原喜重郎の「幣原外交の稚拙」というサブタイトルをつけて批判している。
奇しくも雑誌「正論6月号」に「21世紀の世界はどうなるか」(岡崎久彦)という新連載がある。
その連載に「アメリカを知らなかった幣原喜重郎と山本五十六」という章を設けてこの2人が日米戦争を起こした張本人であると述べている。
この岡崎氏と言えば「幣原喜重郎とその時代 (PHP文庫)」という著書を書いて、幣原外交の失敗について散々擁護しているから、論旨の転換というものである。
正確には、岡崎氏もようやく80歳を過ぎて本当のことが書けるくらいこの夜に未練がなくなったと言うべきなのかもしれない。
なぜなら戦後の外交史において、幣原外交と言うのが外交官としての見本であって、理想とされたからである。別の言い方をすれば対米追従外交、事なかれ主義外交である。
その国益を無視した「事なかれ外交」の結果、種々の国益が損じていることは明白なのである。しかし、外交官試験に受かったエリート外交官官僚というのは、旧海軍提督同様に失敗しても更迭されない。外交官は、姻戚関係を利用してみんな縁者ばかりで適材適所ではなかったというのは旧海軍提督と瓜二つである。
この幣原喜重郎は、歴史教科書には「国際協調路線の幣原外交」という高評価としか載っていないことが多い。しかし、幣原喜重郎(全権大使)の単独判断によって、チャーチルも日本政府も廃止に反対していた日英同盟を廃棄したのである。
ここで別宮氏はワシントン軍縮会議の時、駐米大使の幣原喜重郎が「イギリス全権グレイ(Grey)とまったく人間関係がつくれなかった。」と書いている。
「グレイは『二十世紀を代表する外交官』(吉田茂)であったが、同時に自然愛好家であり、‥‥」と書かれている。
ここで、グレイは銀杏を見せて暗喩を掛けている。それに対して、幣原は興味がない「迷惑だ」という態度であったという。
別宮氏は、幣原喜重郎は「英会話能力だけが取り柄」と書いている。一方、岡崎氏は「誰が判断を誤ったのだろう。それは二人の日本人である。」と書き始め、
「英国が、米国から、日英同盟廃棄の圧力を受けて苦慮している最中に、日本から助け舟を出して、同同盟廃棄を手伝った。幣原の個人的外交能力が無ければ、英国は独りではとうてい同盟を破棄できない状態だった。」‥‥中略‥‥「もし、日英同盟が継続していれば、第二次大戦への日本の参戦などは問題外だった。」
ここで岡崎氏は、「幣原が才子才に走ったのではなく、彼の信念に基づいていた。」と弁護する。
しかし、政治の結果責任という観点から見れば、別宮氏の言う「事なかれ外交」と「日米外交」「日米関係」の成果主義という思い上がったエリート意識である。
この幣原は、まだ得体の知れない中国(北京政府)に対しても、「譲歩を繰り返し、中国の機嫌をとるだけで、譲歩する理由を国民に説明しようとしなかった。」と記している。
正に、幣原外交というのは戦後の日本外交そのままであると言うのは実に驚くべく事実なのである。

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