書道家Syuunの忘れ物

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政府民主党・海外依存丸出しの新成長戦略案とは‥‥

2010-06-16 00:41:01 | 民主党政権関係綴り
政府民主党・海外依存丸出しの新成長戦略案とは‥‥

「首相を委員長とする国家戦略プロジェクト委員会を設置し、2020年までに、海外への鉄道や原発などのプラント輸出を含め、19・7兆円の社会基盤整備の市場創出を目指すことが柱だ。」
「環境・エネルギーの分野では20年までに、50兆円超の新規市場を開拓し、140万人の新たな雇用を生み出す。そのために、13年度までに『環境未来都市整備促進法』(仮称)を制定するとした。」
「医療・介護など健康分野では20年までに281万人の雇用創出を目指す。そのために、日本の最先端医療を受けるための『医療滞在ビザ』を創設、外国人患者を50万人受け入れ、年間約1兆円の経済効果を目指す。」
(2010年6月15日03時09分  読売新聞Web・2010/06/15朝刊)

こういう成長戦略というのは、内需拡大という国内需要を諦めたということである。
そもそも消費税を10%又はもっと値上げすると言う予定では、日本は消費国家ではなくなるから内需など有り得ないと言うわけである。
それだから国内に外国人を呼び込んだり、環境技術やインフラを売ると言うことなのだが、実際今後も先進技術を開発し続けることが出来るのかと言う部分で、本当は疑問なのである。
なぜなら、日本は元々自国のマーケットがある程度大きかったために、日本国内の需要と評価そして競争に曝されて良い技術が発展した。
ところが、消費者がいないとなると消費者は海外に求めなければならず、消費者の近くに営業所や工場が移るというのは常識である。
それが何を意味するのかというと、消費国でない国では国民が先ず必要とする民生品技術の進歩が止まることである。
別言い方をすれば、消費してくれるお客がいてこそ新商品が生まれ、技術が進歩する。
そして、消費税が上がればいくつかの大企業は潰れるか国外脱出になり、雇用も技術流出も続くと言うことである。
こういう政府の考え方というものは、今まである既存のものが潰れるとか機能しなくなると言うことを想定していない。
橋本元首相が消費税を5%にした時のことに関しても既存の企業の倒産、金融不安などは想定していなかった。
こんな記事のエントリーがあった。
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景気後退・消費税増税遠のくが、増税詭弁まかり通る2008.10.7
http://pub.ne.jp/Indianinkworld/?entry_id=1698965より抜粋。

日経新聞NETアイ「プロの視点」2008/10/6)清水 真人 編集委員に「麻生太郎と小沢一郎の『ヤバい経済学』」と称して1997年橋本内閣で消費税が3%から5%に増税したとき事が書かれている。
ここで、「計9兆円の増収を見込んで、結果は前年度比で4兆円減だった。差し引き13兆円も読み間違えた。予想屋としては最悪。あれから学習しないのは愚かだ」という麻生首相のことを批判している。
この年、「秋が深まると三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券などがよもやの連鎖的な経営破たんに見舞われ、日本経済は奈落の底へ落ちていった。」と書かれているとおり、日本経済は失速して二段底に落ち込んだ年だった。
いずれにせよ、散々公共事業によって金を注ぎ込み、上向きかけた景気を消費税導入が先折れさせ、夏場のボーナス商戦でさえ閑古鳥の鳴く状態だったのは誰も否定しないだろう。
結局電気屋などは、値下がりを予測して消費税増税分の値引きで対応した。

この時、この様な景気の先折れを予測していたのは、マスコミ関係では「竹村健一氏が米国での過去の事例を引いて警告した」のみだった。
多分、日経新聞など今消費税増税賛成にまわっているように、当時も賛成だったはず。

そして、「プロの視点」での論点は、「97年度の一般会計税収は決算ベースで前年度より約1兆9000億円増えている。」として、麻生首相の発言を問題発言としている。
・俗に言う「9兆円の負担増」‥‥「税制では消費税率アップで5.2兆円、減税廃止で2.0兆円の増収を想定した。年金、医療の保険料引き上げが0.6兆円、病院の窓口での患者負担増も0.8兆円あり、国民負担増の合計は8.6兆円となっていた。」
そして、ここからが詭弁なのだが、政府は「前年度当初比で見込んだ増収額は約6兆5000億円」という。
普通、増税するとそれに見合う節税効果があるので減収になるからなのだが、減収になると思われるのは消費税値上げ分のみであって、確実に3.7兆円の増は間違いないだろう。
なぜなら、減税廃止は確実に 2.0兆円であるし、その他の保険料引き上げなども節税効果はあるはずがない。
そうであるならば、最低でも確実に1兆8000億円は減っている。
そして、消費税分の予測としての5兆2000億円はどこへ行ったというものだろう。

「プロの視点」では、「『4兆円の減収』に似た数字を探せば、この97年度の当初見積もりと決算を比べた落ち込みしかない。正確に言えば『前年度当初予算比では6.5兆円増と見積もったが、前年度決算比では1.9兆円の増収にとどまった。97年度の当初と決算を見比べると3.9兆円の読み違いがあった』となる。」と白状するのだが、それでは引っ込んでいない。
そして‥‥
「『4兆円の減収』も『13兆円の読み違い』もなかった。税収が予想をかなり下回ったのは確かだが、前年度に比べれば増えており、増税したのに減収になったわけではない。麻生は総裁選中から討論会などでこの『13兆円』説を繰り返し披露していた。他の総裁候補の1人は『明らかな事実誤認と見て、突っ込もうかとも思ったが……』と言葉を濁す。」

これを詭弁と言わずして何というのかと言うものだ。
なぜなら、景気は上向いて成長が見込まれるから消費税を上げても景気の先折れ、失速は起きないとして値上げしているのであって、「景気の先折れ、二段底」になると分かって増税するバカはいない。
だから、最低でも6.5兆円増と見積もったものが、本来のものではないか。
景気が先折れして、二段底になっても、前年度決算比では1.9兆円の増収だから、増税は間違っていないと言わんばかりなのである。
実際は、大幅増税したのに景気、消費が落ち込み、お陰で企業倒産、企業業績が悪くなって税収が伸びなかったという大失敗の増税例だろう。
それだけでなく、景気が上向いて何とか立ち直りかけていた三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券などが息切れして、国民は大損をした。
当然、小生のその一人なのだが、その後金融機関に資金注入という税金を投入せざる終えなくなり、赤字国債の山を高くしたのは間違いない事実だ。
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日本の社会主義化を推し進め、スウェーデン型の社会保障を理想とするならば現在のスウェーデンの状況を見てみる必要があるのではないか。
スウェーデンに関しては、既に何回も説明しているとおり企業の営業所や工場というものは消費者の近くと言うことで出で行かれてしまった。
そのために、今やろうとしているのがスウェーデンの政策と同じ、新成長戦略案での「法人税の優遇」。
そして、同じような国々のEUで同じように「法人税の優遇」をするというわけである。
そこで日本と違っているのが、EUは消費国ではないが軍事輸出という別チャンネルである。その軍事輸出の代わりに成長分野を「環境・エネルギー大国」「健康大国」など7分野と言うわけで、日本の80%程度の中小零細企業には関係がない。
政府のやり方を見てみると、国民の大多数である中小零細企業には目を向けず、大企業とその労働者。公益法人と官僚などだけしか視点が行っていないように見える。
別の言い方をすれば、大企業の労働者という労働貴族。年収は1,000万円は下るまい。
そして、官僚というのもある報道によれば、種々の特典を勘案すれば平均年収は1,000万円だという。
元々大企業の従業員の基準の給与だから地方によっては、その給料を払っている地元の中小企業などより大幅に高いことも珍しくない。だから、最近では新卒の公務員人気と言われている。
もう一度、新成長戦略案を見てみると、『環境未来都市整備促進法』で特殊法人が一つ二つ、『医療滞在ビザ』を創設で又特殊法人と役所の天下り先が出来る様にも見える。
そして、端的に言えばこれだけのカネを投入しても絶対に景気は良くならないと言うことは断言できる。
なぜなら、環境・エネルギー・医療と言ってもそれほど裾野が広いわけではない。
そして、そんなものは元々国の規制が強い分野で、一個人、零細企業が直ぐ明日から参入すると言うわけに行かない産業ばかりである。
もっと簡単に言えば、国民のふところ具合が良くならない、資産が増えないと言うことである。
国民の資産が増えないというのは、相対的に国民が貧乏になると言うことで、そのために消費を控えることである。もっともその時は、消費国家ではないから国内消費は関係ないかも知れないが。
そして、今の日本が豊かで、技術が進んでいてたくさんのお店があるというのは、前掲の様に消費国家であるという安定した国内需要が背景にあるからである。
その消費国家を廃業して、今までと同じような環境が続くと思っているとすればこんな「国家戦略」など何の役にも立たない。
何時も思うのだが、種々の政策を考える時に実施の模擬実験などをなぜやらないのかと言うことであろう。
もしそう言う模擬実験をするとすれば、今までの政策の失敗など結果を見なくとも明らかなはずである。
古くは、東京都の都電。
都電が交通渋滞のガンであると取り上げて、廃止をした。確かに一時的に交通渋滞は減ったものの、道が空いているというので車が殺到して直ぐに元の状態に。
こんなものは、予めわかる想定だろう。
橋本元首相が消費税を5%にした時も、模擬実験をしていればどの様になるか解ったはずである。
当時、竹村健一氏は米国の例を挙げてその時点での値上げに反対した。
結果は、竹村健一氏の予想と通りに以上に悪化して現在の大国債の積み上げに貢献した。実は、竹村健一氏はバブルのハードランディングの危険性を察知して、大不況になりますと予想した唯一の評論家であった。