共産主義の時代と言われた20世紀が過ぎ、21世紀の様相が最近おぼろげながら見えてきた感じがある。
それは、フランスで左翼政権であった、在任12年間のシラク大統領からサルコジ新大統領に。
ドイツでも、左派の社民党のシュレーダー首相から中道右派のメルケル首相に。
英国では、ブレア氏から同じ労働党右派・中道路線のブラウン氏。
日本では、当然戦後派の安倍氏と言うように、共産主義を元にした左派社会主義から中道右派へと世界の首脳が替わってゆくのが分かる。
フランスで左派の社会党セゴレーン・ロワイヤル氏が大統領に選出でもされれば、流れはどの様になるか分からなかったが、そうはならなかった。
この事から時代の流れとしては、米国で民主党のヒラリーが大統領に選出されると言う事は「ない」可能性がある。
共産主義の夢想から醒めた今、世界は20世紀という「社会主義者が跋扈した時代」が抜け落ちた「19世紀後半から20世紀初頭の世界」にたとえられると思われるのである。
即ち、19世紀の次に21世紀が続いているというイメージだ。
だから、「『坂の上の雲』ふたたび 甦る日露戦争の時代」(諸君2007_06)という論調もある。
その様に見てくれば、中国(支那china)は清朝の版図を目指し、韓国、北朝鮮の朝鮮半島は、宗主国中国のご機嫌を伺うという構図は全くそのままである。
但し、19世紀と違うのは、阿片戦争もなければ、日清、日露戦争もない世界だと言うことだ。
当時から見れば、東南アジアには独立国はほとんどなく、インドは英国の植民地。
オーストラリアも英連邦という認識が強く、フィリピンは米国、ハワイも米国が併合したばかりだ。
この様な世界観からすると、日本は宗主国中国であるという「朝鮮半島」に係わってはいけないことが分かる。
まして、清朝の李鴻章子飼いの北洋艦隊よろしく、中国は海軍軍事力も増強している。
又ヨーロッパでは普仏戦争も、クリミヤ戦争もなかった20世紀の後の21世紀。
国境線は固定化されて、領土拡大が出来ない以上集団的自衛権の行使又は、自国の充実を狙うと言うことが予想される。
この結果、米国のみならず、欧米諸国も自国の内に籠もる、そして二次大戦の要素ともなったブロック経済と内政充実を図るような気がする。
ゆえに、米国は朝鮮半島には興味を示さず、イラクやアフガンに於いても撤兵。
その国は「その国に任せる」と言わんばかりの行動に出るのではないだろうか。
そうであるならば、日本は中国の勢力範囲となるところから撤収をして「関係を持たない」と言う事が賢明な選択だろうと思われる。
‥‥と言う事は、戦後の独立国である東南アジアとの関係は深めるべきであり、中国との関係は疎遠にするのが正しい選択であるという事が分かる。
そして、台湾はどうかと言えば、元々中国の権力が及ばなかった地域と考えれば、中国が占領をするという前近代的なことは許されるはずもない。
元々、日清戦争で条約に基づき日本に譲渡したところだ。
日本の北方領土の様に、ソ連が勝手に占領したところではない。勝手に占領したと言えば実はカラフトの半分もそうなのだ。
これは、千島カラフト交換条約で決めたことだ。何と言っても、ソ連とは戦争をしていない。
21世紀は、20世紀の様に国境線を移動できない時代だ。
只出来ると思っているのは中国だけであるというのは、未だに20世紀の世界から抜け出していない旧態依然の体制であると言う事だろう。
しかし、この様な反動(時代の流れに逆らう)は、歴史上許された例はない。
必ず大激震と共に崩壊すると見るのは、長谷川慶太郎氏の説である。
しかし、フグ料理屋に入るときに、暖簾に「長谷川慶太郎、長谷川慶太郎、長谷川慶太郎」と三度言うとフグにあたらないと揶揄する評論家もいる。(予言が外れるということ)
そして、北朝鮮に関しては、中国はリップサービスで日本の強行姿勢の進行を抑える動きをするが、実は何もする様子はない。
要は、金政権の崩壊の時間待ち、時間稼ぎだ。
逆を返せば、日本がより強硬姿勢に出ることや、中国に対抗して強大になることは「悪夢」であり続けると言う事だ。
いつでも、朝日新聞やNHKが嫌がる政策というものは、日本のためになるという逆説的真実は生きているように思える。
その良い例が、2007_5_18の朝日新聞社説「集団的自衛権―何のために必要なのか」‥‥‥「私たちは、集団的自衛権の行使は憲法上認められないし、認める必要もないと考える。」との答えだろう。
即ち、世界が内向きになる以上日本のことは、日本自身で解決しなければならない時が来たということなのだ。