何億円もすることで有名なバイオリンの名器「ストラディヴァリウス」や「ガルネリ」は、現代のバイオリンと大差ないとする意外な実験結果を仏パリ大学の研究者らが米科学アカデミーで発表した。研究チームは、2010年、米インディアナ州で開かれた国際コンテストに集まった21人のバイオリニストに協力してもらい、楽器がよく見えないよう眼鏡をしたうえで、18世紀に作られたストラディヴァリウスや、現代の最高級バイオリンなど計6丁を演奏してもらった。
どれが一番いい音か尋ねたところ、安い現代のバイオリンの方が評価が高く、ストラディヴァリウスなどはむしろ評価が低かった。
これまで、木材、塗料、製造法などの分析でストラディヴァリウスなどが優れている特段の理由は解明されていない・・・・。
このニュース、ヴァイオリン界の最高峰の超高級品として名高い「ストラディヴァリウス」と、最近作られたヴァイオリン、どちらも音質に違いがないという事が証明された、ということだが。
いや、正確に言えば「誰も音質の善し悪しの違いを判断できなかった」となる。
これは我々音楽愛好家にとってはかなり「痛いニュース」だったりする。
だって、高いものになると数億円する楽器ですよ!。
ギターで言えばオールドの「マーチンD45」やギブソンJ-200と、その辺の楽器屋さんで売ってる韓国製の安い楽器の音と違いがないという事になる。
バイオリン奏者の諏訪内晶子さんが楽器のもつ意味については本でこんなことを書かれています。
諏訪内さん曰く:「音色と表現力の違いだと思います。楽器が変わったからでしょうか。」・・・演奏家にとって、楽器の持つ意味は限りなく大きい。・・・ストラディヴァリウスと出会い、そこで私は始めて(使用している)グァダニーニでは自らの想いを達成することは、これからも難しいと気づいたのである。そして、そういったことを表現するために必要なのが、たぶん音色なんです。 ... そして、ストラディヴァリウスは、そういった世界中のあらゆる音楽家の要求に応えてくれるだけの深さと幅を持っているんです。
私も実際にストラディヴァリウスを使った奏者の生の演奏自体は何回か聴いた事があるのですが。
その上で言わせてもらえば、ストラディヴァリウスは弱音でも会場の隅々まで美しい音が行き渡ります。
強く弾いても音が濁らず美しく響きます。
だから、このニュースは,にわかには信じられないのです、楽器は「弾いてなんぼ」ですから、私には明らかに別物だったのです。
ですから、この ニュースの内容が正しければ、わが耳も確かではないことになります。
それと、テストに協力したバイオリニストが普段からストラディヴァリウスを弾いているかどうかは?あやしいと思います。
そして名器とよばれる楽器ほど、奏者を選ぶ(というか弾きこなすのが難しい)といわれるのは、その楽器の持つポテンシャルを引き出すにはそれなりの実力が必要なのです。
... 結論として楽器 の良し悪しは最終的には奏者の力量と嗜好により判断するしかないのではないでしょ うか。
ストラディヴァリウスはプロでも弾きこなすのに相当苦労すると聞いているので、その場で渡されてすんなりと自分の出したい音が出せるのか非常に疑問に思いますね。
うん億円と聞いただけで良さそうに聴こえてしまうのでしょう。
高級な製品の音は良い。高価な製品の音は良い。それが「高ければ良い」となってやがては裸の王様になってしまいます。
人間は見かけとか肩書きに弱い(だまされやすい)ものですからしょうがありません。「馬子にも衣装」と昔の人は言いました。商売はそういうところを攻めてきます。
名器の音を一度も聴いたことがない人は聴いておいた方がいいでしょう。でないと判断できませんから。その後でブラインドテストをすると先入観にとらわれているかどうかが分かります。
ただし商品は見てくれもセールスポイントになります。性能が良くても見てくれが悪いと商品価値は落ちます。B級品としてアウトレットに回されるのはそれです。
人間がだまされやすいから偽物で儲けようという人が出て来ます。知り合いが「A型を改良型のCとして売ってやるよ」と言ったことがあります。コーン紙に△マークをつければC型になると言うのです。裏のフレームを見ればすぐにばれるのに、そんなことを言うのです。
世の中には偽のストラディバリウスをつかまされた人もいるでしょうね。ボディの、表の板と裏の板と横の板とでは表の板が一番大事であって、それが残っていればストラディバリウスとして通用するというのです。しかし取り外した裏板を再使用して別のバイオリンにつけてストラディバリウスとして売る人もいるのではと思ってしまいます。
本物の職人が時間的なコストなどを考えず、欲しい人一人の為に最高の材料を使って作った物で、ほかで真似の出来ない物ですね。それだけが本物と言えるのではないでしょうか。
もし予算が十分にあって腕のいい職人に出会えたなら、その職人さんが自分の為にその人に最高の物を作ってくれるなら、それは最高の贅沢だと思います。