崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

『東京物語』

2013年01月26日 04時55分20秒 | エッセイ
1953年小津安二郎監督の『東京物語』を鑑賞し、昨夜のNHK広島TVの金曜スペシャル「尾道人情物語り」を連続して鑑賞した。前者は年老いた夫婦が成長した子供たちに会うために上京して尾道に戻り母が亡くなり、葬式を済まして父親を残してサッサッと帰る息子や娘たち。非常に平凡な日常をドキュメンタリーのように細やかに描写して、家族の絆と、その喪失を予告している作品である。亡くなった息子の嫁の紀子に再婚を勧め、独身を通すか、不安を打ち明け、涙を流す紀子に、周吉は妻の形見の時計を与える。日本の家族や社会の変化、特にその変化の中に愛の希釈化していく寂しさを語っている。しかし昨夜の番組では尾道の坂道に住んでいる人たちは薄れた隣人愛の絆で生き続ける話である。尾道を歩いた私の記憶と二重三重にダブって社会の変化を感じている。伴侶を亡くして一人で海を眺めていきる老人、子供を叱る価値観の「孝」もない社会にただ生きる道を、多くの人が立たされている。人生を考えさせられる名作と思った。
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