崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

2009年03月30日 06時21分07秒 | エッセイ
 韓国の伝統的な謎に足が三つある動物とは?その答えは老人だというものがある。杖は老人専用の物と思っていた私には縁のないものと思っていたが、ひまわりの穴見社長からお土産にと言われて嬉しい一方、シュッキングなことであった。杖には高価な贅沢なものもあるとも聞いた。
 杖は老人がバランスを取るために補助的に用いる道具であり、老人が持つ杖のほか医療用の松葉杖も杖である。白杖は、視覚障害者の象徴として使われる。それが老人文化の重要なものであることを知った。人が死んであの世に到達するまでに鉄製の杖が12個も所要とすると謡うシャーマンの歌を思い出す。杖は老人の権威を表すものであり、それがひげとともに宗教聖職者の独占的な権威を象徴するものにもなった。旧約聖書の「出エジプト」にはモーセの神秘的な魔術を持つ、魔法の呪文により効力を持たせるための小道具としても表れている。君主や宗教的な指導者が、その権威の象徴として手にしたこともある。
 モーニングや燕尾服を着用するときは、礼装として帽子と杖をセットで用いている紳士像がある。また、山岳地域では土産物などとしても販売されている。近代の登山ではピッケルを杖代わりに使用する。
 人間にとって何より杖は肉体的に自立しにくい人が依存するものである。また精神的にも依存しなければならない。人の愛、神の保護に頼らなければならない。杖を見て考えるこの頃である。

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