崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「聖戦」

2013年01月28日 05時34分09秒 | エッセイ
日本の企業がアフリカで石油や天然ガスの開発の過程でイスラム武装勢力による人質事件で日本人10人を含め8カ国の外国人40人弱が死亡した。そもそもイスラム過激派の聖戦信仰が後ろに横たわっていることを理解すべきである。それが再発防止であり、日本のアフリカなどへの進出のためにも必要であろう。テレビや新聞などで「聖戦」ジハードという言葉を聞き、読むと多くの人は異様に感じ、また多くの人は日本の戦前の皇民化政策と大東亜戦争でよく聞いたことを思い出すであろう。つまり現在では聖戦という言葉は異様である。
 イスラムの聖戦については以前本欄で触れたことがあるが、『コーラン』に神の道のために奮闘せよという「奮闘」「戦争」から「異教徒との戦い」「防衛戦」として使われている。聖なる経典の教えからの「聖戦」は「聖」の暴力であることを理解してほしい。子供の時から宗教化、教化、教育によって人はそれなりの人になりうる。
 日本は1937年日中戦争の勃発以降皇民化運動(天皇の臣民)で学校では「忠良ナル皇国臣民」の教育、国民精神総動員運動、愛国班をつくらせ、宮城遥拝、神社参拝、「国旗」掲揚、皇国臣民の誓詞斉唱、愛国日などで聖戦に参加した。終戦後それらから解放されて教育によって現在日本人は自由民主主義を享有している。しかし北朝鮮では戦前が連続しているような感がある。私は教育に携わっている者として教育の怖ろしさも常に戒めている。
 聖戦思想は怖い。しかし怖いからといって逃げるわけにはいかない。グローバル化している時代において、いつどこで聖戦が起きるかもしれない。日本では宗教や信仰というものはオカルト、オウム真理教のように思われ、避ける傾向が強いが、信仰の伝道することではなく、知識として宗教理解の教育はもっと必要である。私は日本宗教史の科目を担当しながらイスラムのコーランなど、先週は聖戦について講義した。他の宗教への理解を求めてのことである。
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2 コメント

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Unknown (黒羊)
2013-01-29 03:03:51
>信仰の伝道することではなく、知識として宗教理解の教育はもっと必要である。

今年から下関市では「下関文化らく~ざ(楽座)」というのが開催されますが、この様な場所で、宗教理解の講座が開かれても良いように思います。
読者へ (崔吉城)
2013-01-29 06:37:27
小倉在住のドイツ語専門の赤毛先生がフェスブックに書かれた文を見つけた。そこに載っていても時々知らず失礼することがあるが、今度は早く気が付いた。「おつかれさまです。Koreanistikの古いファイルから1982年(S.57)九州史学会研究発表要旨が出てきました。「沖縄・韓国の比較民俗学的視角」(啓明大学校崔吉城)と題するものです。数次にわたる現地調査をもとにした実証性のある内容とお見受けしました。もっとも、門外漢の自分としては「琉球弧」といったmythologischなロマンに魅かれますが。」。実は当時韓国からパスポートが間に合わずこの会議には参加できず家内が代わりに参加しました。
 また小生のブログへの今朝早く黒羊氏のコメント(2013-01-29 03:03:51)「信仰の伝道することではなく、知識として宗教理解の教育はもっと必要である。今年から下関市では「下関文化らく~ざ(楽座)」というのが開催されますが、この様な場所で、宗教理解の講座が開かれても良いように思います。」にも感謝である。
 古いスクラップの中から広島の「中国新聞」に私が当時広島県立広島女子大学の原田環教授と対談した記事を見つけた。二人とも若かった写真が懐かしい。原田先生とは共同編集や教育と研究などで長い間協力関係にある。私は広島大学を定年して東亜大学へ移った。彼は去年定年の時多くの蔵書の一部を私が所長を勤めている研究所へ寄贈をしてくれた。離れて暮らしてもその距離感は感じない。親しい友人でも信頼性が薄い場合があり、逆に遠く離れている人からでも信頼されることもあり嬉しい。多くの読者とは距離を感じることなく文通ができるようになった。韓国では旧友が多いが、高齢になってインタネットで文通もできない。久しぶりに韓国から遅れながら年賀状がメールで送られてきている。日本では正月が過ぎ、バレンタインデーを迎えるが、中国文化圏ではまだ正月までは随分の日数が残っている。新年なりすでに一月も下旬になって早さを感じているが、陰暦では時間の流れが遅く感じられて(?)それも良いとも思える。(写真は「中国新聞」2001.7.27)

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