崔吉城との対話

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『ヨーロッパからみた独島』

2015年04月14日 05時17分42秒 | 旅行
 『ヨーロッパからみた独島』(明石書店)が届いた。私の『哭きの文化人類学』(勉誠出版)の訳者である舘野氏が訳した本である。日本名の竹島を「独島」と韓国の地名をそのまま表記したことは意外な感がした。まず韓国で「竹島」という題で本が出版されるかが疑問である。記憶に新しいアメリカの川島氏の小説「竹林はるか遠く」がバッシングされた風潮があるからである。東北亜歴史財団の理事長鄭在貞氏の「刊行に寄せて」には「日本が韓国の固有領土である独島に対する領有権を主張し、国際舞台での争点をつくり出そうとする動きを強めている現実において、本書は今後の国際舞台で、韓国の主張がもつ正当性を広めていく広報戦略の樹立に、学術的で専門的な資料提供の役割を果たすと期待されます。」と記しており、「訳者あとがき」舘野氏は「メディア報道の最終的な評価や位置づけにおいては、韓国政府の主張とほぼ符合するものになっている。けれども、そうした結論に達するまでの定性的、定量的分析を行う過程は、公正かつ客観的なもので納得のいくものである」と書いている。
 まず韓国で客観的とはいえ、日本側にたって領土問題の本が出たとしたらどうなるかを想像する。以前は事前検閲があったが、今はなくなった。朴裕河氏の本が裁判中であることを考えると日本に比べて韓国には民衆の言論の自由意識が非常に低調だと言える。自由とは法律によるものではなく、自由意識から闘争して得られる先進化の過程を経て得るべきである。その意味では日本も民衆の自由意識は高くないが、民主化の道が浅い韓国では民衆の言論意識がそれほど成長していない。民主化の路程はまだ険しい。「まえがき」に「韓国の領土主権の問題だけでなく、東アジアの歴史を正しく理解しようとする際により広い視覚と展望を提供することになると信じている」と書かれている。


 

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