崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

自分史的な植民地研究史

2020年05月30日 06時09分02秒 | 研究業績

 カミュの「ペスト」終りに近い。死との戦い、人生に触れている。深く考えさせられる。今、80余年の自分の人生を振り返って考えている。戦争や伝染病などで多くの人の死を見てきた。自分史的に、分からないうちにドラマのようなストーリーが出来上がる。なぜこのような人生になったのか。その中で一つは学問という一抹の出来事を考える。
 私の母の巫俗信仰、中学生になって迷信と思い、遠ざけようとしたが大学の初年次の頃、任皙宰・李杜鉉の先生から、私の生れ故郷の楊州が秋葉隆博士の調査地であることを知らされた。その縁で巫俗研究、泉靖一先生にもお会いして、1970年10月には楊州の我が家の先祖代々のお抱えシャーマンの趙英子が行うクッに先生を案内した 。その時、私の日本留学が決まった。反日から親日(?)へ道のりであった。悲劇か喜劇か、その話を含め自分史的な植民地研究史を綴った。一読を願う。*写真『植野弘子・上水流久彦編『帝国日本における越境・断絶・残像』風響社への寄稿論文