崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

荊棘の道

2020年03月21日 05時46分37秒 | エッセイ

 昨日は簡易卒業式、心構えをして出勤したが卒業式は既に終わったという。例年の11時学長室によるつもりであったが1時間も早く学科ごとに行ったという。櫛田宏冶学長の時代に先駆け社会を変革する」というメッセージが届いた。新型コロナウィルス感染症の世界的な流行の影響を受けて、卒業式を中止、書面にてお祝いのことばを伝えとた。 
 留学生たちは多く日本で就職して嬉しい表情であった。教会に一緒に通った崔ハラム君が成績優秀賞の花束をもって記念写真を撮った。卒業生の今後の歩みを祈る。60余年の前の私の卒業式は病気で休学中、1学期れで卒業した。そんな私は卒業後の今も大学の中で人生を送っており、本当の世の中を知らないかもしれない。大学は修道院に似た象牙の塔と言われ、世俗社会とは区別されるようであったが、大学の中でも利害関係、トラブルや嫉妬、競争などがないわけではないが、世間に比べて程度の低い良い環境だと思う。私はその中で長生き、幸せだと思い、感謝している。

 以前にも卒業生に言った言葉であるが、「この世を学ばない」という聖書の箇所が気になる。卒業を迎え、社会に出る皆さんに「社会に適応しなさい」と言う一方、世俗に汚れない生き方を勧める。不平・不満ばかりのマイナス思考ではなく、前向きに良くなる方向へと導いていけるような歩みであって欲しい。大学で真理や真実を学び考えた皆さんが世俗の不正に慣れ適応していくことなく、社会へ影響を及ぼすように、生きるという意味である。決して平坦な道ではない。この世の光とか塩になるのは難しい、時には荊棘の道にもなるであろう。