崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

私の地縁、学縁、血縁

2016年11月24日 05時37分42秒 | 旅行

 数人の方の斡旋で釜山の東亜大学の総長と会った。私は総長に関して何の予備知識もなく、ただ下関の東亜大学と同名であることで親善訪問したのである。博物館では70年史、発掘資料の展示などを見て圧倒された。行く車内で同大学の金粉淑教授から彼がソウル大学国文学科出身であることを聞いただけであったが、韓錫政総長との面談の時間は楽しかった。それは韓国式の出会いであった。
 彼は私に関する情報を多く持っていおられた。まず彼は私の著書から私の名前を知り、満州映画に関する文を覚えている。ソウル大学の彼の先生たちと私の友人、知人の話で人脈の探索が始まり、私の教え子の蔚山大学の魯成煥教授から聞いた話から広がる人脈、また昔私の慶南大学の同僚であった韓錫泰氏が彼のお兄さんであることなど話は無限に広がった。彼の私への誉め言葉は「崔先生のところで勉強した人は全員教授になる」ということである。多くの弟子を生み出したことが称賛された。地縁、学縁、血縁などが総動員したような人脈の話であった。私は彼に親善のための講演を頼んだ。彼は総長という行政とアカデミズムのバランスが難しいことばを漏らした。私は老後のためにも楽しい学者の道をやめないようにアドバイスを残して空港へ向かった。空港で私の所持品の中の真鍮の靴ベラがX線検査に引っかかってボーディングカードをチェックされ、それを戻してもらったような、ないような、その過程で紛失しておお騒ぎになり、結局のところ再発行してもらった。