崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

芥川賞受賞の田中慎弥氏

2012年01月18日 05時33分12秒 | エッセイ
 昨日ある新聞社から長いインタビューを受けたが、面接試験のようなインタビューには不向きなので、長く放談式に対応した。地方の新聞の意味を語った。地方やローカルから発信するような積極的な生き方を主張した。地方のメディアが発信してから中央の新聞がそれを利用するような仕組みになってほしいと注文も言った。それはインタビューの趣旨からは離脱したものであった。
 芥川賞が発表された。その一人は山口県下関市生まれの田中さん。彼は下関で高校卒業後、毎日、あてもなく書き続けた。2005年デビュー。実家で母親と暮らす。受賞作も下関の町が舞台だという。田中さんは「私がもらって当然」と言ったと報道された。全国的に話題になるまで彼の道のりは長かったのかもしれない。
 地元下関のメディアでは注目されたことがほぼなかった。彼の才能を早く認めて注視し、発信することができなかった。中央のメディアを通して地方に広がる現状である。この地方には「地方を生きる」力がまだ弱い。