崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「太平洋の奇跡」の「帝国軍人像」

2011年05月09日 00時00分31秒 | エッセイ
 下関映画館で「太平洋の奇跡」を鑑賞した。200余席の映画館で土曜日の昼過ぎに、たった4人で鑑賞した。映画産業が廃れていくことが痛感できた。この映画は太平洋戦争の末期のストーリーで、大場大尉が率いる陸軍歩兵第18連隊がサイパンへ送られ、大尉が軍から離れて、アメリカ軍と戦う話である。アメリカ軍は大掃討作戦に出る。彼は47人で4万5000人の米軍を相手にした。米軍に“フォックス“と仇名され恐れられた大場栄大尉の実話を映画化したものだという。天皇の玉音放送により終戦は解ったが帝国軍人として降伏はしない。この映画のクライマックスは大尉が米軍との会談に現れて「降伏はしない、ただし上司の命令には従う」という所である。一応山に戻った彼は少将から降伏が命じられて、山を降りて銃を米軍に渡し、降伏した。
 人間的な交渉には応じず上からの命令だけを尊重する帝国軍人の精神が表れている。これは帝国軍人だけではなく広く軍人の基本姿勢である。それは軍という特殊な組織の精神とはいっても社会の基礎ともいえる。しかし社会には命令以外に多くの論理や姿勢があるが、特に日本人には命令体系を尊重する精神、私から見ると「軍人精神」のような特性が非常に強い人が多い。同僚の中でも第三者のアドバイスは一切受け入れず、上からの命令だけを尊重する人がいる。彼らはそれを意識してないかもしれないが私には「帝国軍人像」が感じられる。